キー局が製作した放送用テープをローカル局が配信する場合の著作権に関する話

キー局が製作した放送用テープを、ローカル局が貸与を受けて、放送する場合に、著作隣接権の取扱いがどうなるかという点について、小倉秀夫弁護士がベルヌ条約をもって問題になると主張しています。 参考のため、関連しそうな法令等を引用しています。なお、強調はまとめ作成者が付しています。 ベルヌ条約は著作隣接権を対象としたものではないはずなのですが、小倉弁護士は何を問題にしようとしているのでしょうか?
法律 著作隣接権 著作権法 小倉秀夫 ベルヌ条約 放送
2

発端は録画視聴における視聴率調査の話から。

小倉秀夫 @Hideo_Ogura
テレビ局のため、日本はあるの〜。
小倉秀夫 @Hideo_Ogura
人民の、テレビ局による、テレビ局のための支配。
小倉秀夫 @Hideo_Ogura
ローカル局にいると、あの程度の論理でも、周囲に威張り散らせるんだろうね。

キー局・ローカル局の著作権処理の話へ
小倉秀夫 @Hideo_Ogura
実のところ、キー局で作った番組について、放送用のテープをキー局に作ってもらって垂れ流すローカル局って、著作権法的にはアウトだったんじゃないかって気はするんだけどね。
小倉秀夫 @Hideo_Ogura
加戸さんの本とか見ると、ローカル局での放送のために、キー局の設備を使ってキー局の職員が行うテープ作成における著作物の一時的録画の主体はローカル局だということで44条適用って話になっているんだけど、これっておかしいよね

日本国著作権法第四十四条

第四十四条  放送事業者は、第二十三条第一項に規定する権利を害することなく放送することができる著作物を、自己の放送のために、自己の手段又は当該著作物を同じく放送することができる他の放送事業者の手段により、一時的に録音し、又は録画することができる。

3  前二項の規定により作成された録音物又は録画物は、録音又は録画の後六月(その期間内に当該録音物又は録画物を用いてする放送又は有線放送があつたときは、その放送又は有線放送の後六月)を超えて保存することができない。ただし、政令で定めるところにより公的な記録保存所において保存する場合は、この限りでない。

小倉秀夫 @Hideo_Ogura
ローカル局に頒布する目的で、キー局の職員がキー局の設備を使って放送用テープに録画しているんだから、普通に考えれば録画の主体はキー局だよね
小倉秀夫 @Hideo_Ogura
そういう運用について権利制限規定を設けるとベルヌ条約に抵触するということで、加戸さんはローカル局が録画主体説を採用しているんだけど、キー局で作った番組を垂れ流すだけのローカル局という存在自体が、ベルヌ条約の枠組みに合致していないんだよね。

ベルヌ条約
http://www.cric.or.jp/db/z/t1_index.html

第九条 〔複製権〕
(3) 録音及び録画は、この条約の適用上、複製とみなす。

第十一条の二 〔放送権等〕
(1) 文学的及び美術的著作物の著作者は、次のことを許諾する排他的権利を享有する。
  (i) 著作物を放送すること又は記号、音若しくは影像を無線で送るその他の手段により著作物を公に伝達すること。
  (ii) 放送された著作物を原放送機関以外の機関が有線又は無線で公に伝達すること。

(3) (1)の規定に基づいて与えられた許諾には、別段の定めがない限り、放送される著作物を音又は影像を固定する器具を用いて記録することの許諾を含まない。もつとも、放送機関が自己の手段により自己の放送のために行う一時的記録の制度は、同盟国の法令の定めるところによる。当該法令は、その一時的記録が資料として特別の性質を有することを理由として、これを公的な記録保存所に保存することを認めることができる


ただし、ベルヌ条約は著作隣接権については定めていません。

日本の特殊事情として、キー局が番組の製作著作持っているものが多い、というのがあります。しかし、ドラマ化といった場合には原著作者が存在します。もっとも「別段の定め」があればいいわけですけど。

孝好 @soul_warden
.@Hideo_Ogura あ、あとその著作権処理違ってるぞ。本業くらいしっかりしてくれい。主体はキー局。制著ついてるじゃん。昔みたいに恥かくよ?
小倉秀夫 @Hideo_Ogura
加戸さんの逐条講義の44条読んでみてね。RT @soul_warden: .@Hideo_Ogura あ、あとその著作権処理違ってるぞ。本業くらいしっかりしてくれい。主体はキー局。制著ついてるじゃん。昔みたいに恥かくよ?
小倉秀夫 @Hideo_Ogura
「自己の手段又は当該著作物を同じく放送することができる他の放送事業者の手段により」という条文にしたから、ローカル局がキー局の手段を使って一時的録画するのはokというのが加戸説ですと。RT @soul_warden: .@Hideo_Ogura あ、あとその著作権処理違ってるぞ。
孝好 @soul_warden
それを番組販売に当てはめてしまうのが違ってる。 RT @Hideo_Ogura: 「自己の手段又は当該著作物を同じく放送することができる他の放送事業者の手段により」という条文にしたから、ローカル局がキー局の手段を使って一時的録画するのはokというのが加戸説ですと。
小倉秀夫 @Hideo_Ogura
つまり、キー局のローカル局へのテープ頒布ってやばいよね。今ではやっていないかもしれないけど。RT @soul_warden: それを番組販売に当てはめてしまうのが違ってる。
小倉秀夫 @Hideo_Ogura
まあ、「当該著作物を同じく放送することができる他の放送事業者の手段により」って入れること自体、ベルヌ条約的にはやばいよね
mohno @mohno
ローカル局へのテープ頒布って著作権者の許諾が得られないのですか? RT @Hideo_Ogura つまり、キー局のローカル局へのテープ頒布ってやばいよね。今ではやっていないかもしれないけど。RT @soul_warden それを番組販売に当てはめてしまうのが違ってる。
小倉秀夫 @Hideo_Ogura
著作権者や隣接権者の許諾を得ない前提の規定ですから。RT @mohno: ローカル局へのテープ頒布って著作権者の許諾が得られないのですか?
小倉秀夫 @Hideo_Ogura
実際のところ、ジャスラックとは包括契約を結べるので、問題は隣接権でしょうね。放送することに許諾いらないしね。RT @mohno: ローカル局へのテープ頒布って著作権者の許諾が得られないのですか?

隣接著作権に関する保護に関しては、以下の条約が該当します。


実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約(抜粋)

第三条 〔定 義〕
この条約の適用上、
(a) 「実演家」とは、俳優、歌手、演奏家、舞踊家その他文学的又は美術的著作物を上演し、歌唱し、口演し、朗詠し若しくは演奏し又はその他の方法によって実演する者をいう。
(b) 「レコード」とは、実演の音その他の音の専ら聴覚的な固定物をいう。
(c) 「レコード製作者」とは、実演の音その他の音を最初に固定した自然人又は法人をいう。
(d) 「発行」とは、レコードの複製物を相当な数量で公衆に提供することをいう。
(e) 「複製」とは、固定物の複製物を作成することをいう
(f) 「放送」とは、公衆によって受信されることを目的とする無線による音の送信又は影像及び音の送信をいう。
(g) 「再放送」とは、放送機関が他の放送機関の放送を同時に放送することをいう。

第七条 〔実演家の権利〕
1 この条約によって実演家に与えられる保護は、次の行為を防止することができるものでなければならない。
(c) 次に掲げる場合に、実演家の承諾を得ないでその実演の固定物を複製すること。
 (i) 最初の固定自体が実演家の承諾を得ないで行われたとき。
 (ii) 実演家が承諾した目的と異なる目的のために複製が行われるとき。
 (iii) 最初の固定が第十五条の規定に基づいて行われた場合において、同条に掲げる目的と異なる目的のために複製が行われるとき。

2
 (1) 実演家が放送を承諾した場合における再放送、放送のための固定及びそのような固定物の放送のための複製に対する保護は、保護が要求される締約国の国内法の定めるところによる。
 (2) 放送のために作成された固定物の放送機関による使用についての条件は、保護が要求される締約国の国内法に従って定める
 (3) (1)及び(2)の国内法は、実演家が放送機関との関係を契約によって定めることを妨げてはならない。

第十二条 〔レコードの二次使用〕(注:留保)
商業上の目的のために発行されたレコード又はその複製物が放送又は公衆への伝達に直接使用される場合には、単一の衡平な報酬が、使用者により実演家若しくはレコード製作者又はその双方に支払われる。当該報酬の配分の条件については、当事者間に合意がない場合には、国内法において定めることができる。

第十三条 〔放送機関の権利〕
放送機関は、その放送に関し、次の事項を許諾し又は禁止する権利を享有する
(a) 放送の再放送
(b) 放送の固定
(c) 次の複製
 (i) 放送機関の承諾を得ないで作成された放送の固定物の複製
 (ii) 第十五条の規定に基づいて作成された放送の固定物の複製であって、同条に掲げる目的と異なる目的のために行われるもの

第十五条 〔保護の例外〕
1 締約国は、国内法令により、次の行為については、この条約が保障する保護の例外を定めることができる。
(a) 私的使用
(b) 時事の事件の報道に伴う部分的使用
(c) 放送機関が自己の手段により自己の放送のために行う一時的固定

2 1の規定にかかわらず、締約国は、国内法令により、実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関しては、文学的及び美術的著作物の著作権の保護に関して国内法令に定める制限と同一の種類の制限を定めることができる。ただし、強制許諾は、この条約に抵触しない限りにおいてのみ定めることができる。

[日本国の留保宣言]
2 第十六条1(a)(ii)の規定に基づき、放送及び有線放送において商業用レコードが使用される場合に第十二条の規定を適用すること。


実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約

第二条 定義
この条約の適用上、
 (a) 「実演家」とは、俳優、歌手、演奏家、舞踊家その他文学的若しくは美術的著作物又は民間伝承の表現を上演し、歌唱し、口演し、朗詠し、演奏し、演出し又はその他の方法によって実演する者をいう。
 (b) 「レコード」とは、実演の音その他の音又は音を表すものの固定物(映画その他の視聴覚的著作物に組み込まれて固定されたものを除く。)をいう。
 (c) 「固定物」とは、音又は音を表すものの収録物であって、装置を用いることにより知覚し、再生し又は伝達することができるものをいう。
 (d) 「レコード製作者」とは、実演の音その他の音又は音を表すものの最初の固定について主導し、かつ、責任を有する自然人又は法人をいう。
 (f) 「放送」とは、公衆によって受信されることを目的とする無線による音の送信、影像及び音の送信又はこれらを表すものの送信をいう。衛星によるこれらの送信も「放送」である。暗号化された信号の送信は、暗号解除の手段が放送機関により又はその同意を得て公衆に提供される場合には、「放送」である。
 (g) 実演又はレコードの「公衆への伝達」とは、実演の音又はレコードに固定された音若しくは音を表すものを放送以外の媒体により公衆に送信することをいう。第十五条の規定の適用上、「公衆への伝達」は、レコードに固定された音又は音を表すものを公衆が聴くことができるようにすることを含む。

第二章 実演家の権利
第八条 譲渡権
(1) 実演家は、レコードに固定されたその実演の原作品及び複製物について、販売その他の譲渡による公衆への供与を許諾する排他的権利を享有する。
(2) この条約のいかなる規定も、固定された実演の原作品又は複製物の販売その他の譲渡(実演家の許諾を得たものに限る。)が最初に行われた後における(1)の権利の消尽について、締約国が自由にその条件を定めることを妨げるものではない

第九条 貸与権
(1) 実演家は、実演家自身による又は実演家の許諾に基づく譲渡の後も、締約国の国内法令で定める範囲において、レコードに固定されたその実演の原作品又は複製物について、公衆への商業的貸与を許諾する排他的権利を享有する。

第三章 レコード製作者の権利
第十一条 複製権
レコード製作者は、そのレコードについて、直接又は間接に複製すること(その方法及び形式のいかんを問わない。)を許諾する排他的権利を享有する。

第十二条 譲渡権
(1) レコード製作者は、そのレコードの原作品及び複製物について、販売その他の譲渡による公衆への供与を許諾する排他的権利を享有する。
(2) この条約のいかなる規定も、レコードの原作品又は複製物の販売その他の譲渡(レコード製作者の許諾を得たものに限る。)が最初に行われた後における(1)の権利の消尽について、締約国が自由にその条件を定めることを妨げるものではない

第十三条 貸与権
(1) レコード製作者は、レコード製作者自身による又はレコード製作者の許諾に基づく譲渡の後も、そのレコードの原作品及び複製物について、公衆への商業的貸与を許諾する排他的権利を享有する。

第四章 共通規定
第十五条 放送及び公衆への伝達に関する報酬請求権
(1) 実演家及びレコード製作者は、商業上の目的のために発行されたレコードを放送又は公衆への伝達のために直接又は間接に利用することについて、単一の衡平な報酬を請求する権利を享有する。(注:留保)
(2) 締約国は、実演家若しくはレコード製作者又はその双方のいずれが利用者に対して単一の衡平な報酬を請求するかについて、その国内法令において定めることができる。締約国は、単一の衡平な報酬を配分する条件について実演家とレコード製作者との間に合意がない場合には、当該条件を定める国内法令を制定することができる
(3) いずれの締約国も、(1)の規定を特定の利用にのみ適用すること、(1)の規定の適用を他の方法により制限すること又は(1)の規定を適用しないことを、世界知的所有権機関事務局長に寄託する通告において、宣言することができる。

第十六条 制限及び例外
(1) 締約国は、実演家及びレコード製作者の保護に関して、文学的及び美術的著作物の著作権の保護について国内法令に定めるものと同一の種類の制限又は例外を国内法令において定めることができる。
(2) 締約国は、この条約に定める権利の制限又は例外を、実演又はレコ―ドの通常の利用を妨げず、かつ、実演家又はレコード製作者の正当な利益を不当に害しない特別な場合に限定する。

[日本国の留保宣言]
2 第十五条(3)の規定に基づき、放送及び有線放送において商業用レコードが直接利用される場合に同条(1)の規定を適用すること。
3 第十五条(3)の規定に基づき、同条により留保を付している国の国民をレコード製作者とするレコードについては、相互主義に従い当該留保の範囲に制限して同条(1)の規定を適用すること。


mohno @mohno
現実には得られれば問題ないんですよね。被害届を出したがってる人をご存じなのですか? RT @Hideo_Ogura 著作権者や隣接権者の許諾を得ない前提の規定ですから。RT ローカル局へのテープ頒布って著作権者の許諾が得られないのですか?
残りを読む(58)

コメント

Tuba56@法律の素人 @Tuba56 2013年2月6日
「キー局が製作した放送用テープをローカル局が配信する場合の著作権に関する話」とトギャザリました。
Tuba56@法律の素人 @Tuba56 2013年2月7日
.@mohno まとめを更新しました。
ログインして広告を非表示にする
ログインして広告を非表示にする