【企画】青峰大輝の驀進

「赤司征十郎の独白」の期間限定キャラチェンジ企画、「青峰大輝の驀進」のシナリオを纏めたものです。 アイコン提供:@daigakagami
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赤司征十郎の独白 @aksryouki

【自身の構造(生体アンドロイドプログラム)を思い出しました。】 【破損した部位の修復を行いました。】 【痛覚システムを再作動させました。】 【リミッターを再作動させました。】 【セーフティモード終了。記憶プログラムをロードします。】

2013-02-17 23:20:37
赤司征十郎の独白 @aksryouki

…この声な。どっから聞こえてくるのかと思ったら、どうも俺の頭っから響いてるみてぇで、切ろうと思っても切れやしねぇ。大分ガタが来てるな、この身体も。仕方ねぇか、だから俺は…こんな所まで来たんだ。とは言え、こんな騒ぎを起こしちまった後だ。この「世界」からは一旦、退いた方がいいかもな。

2013-02-17 23:22:14
赤司征十郎の独白 @aksryouki

……傍らを、見る。……に良く似た、金属組織液に濡れた鋸が転がっている。切った時随分と手に馴染むと思ったが、今思えばそれは、俺が刃物を使い慣れていたからだろう。……――だがこれは、俺の物じゃねぇ。俺の獲物は……そうだ、あそこにある。……早ェ所、取りに行かねぇとな。あれは、目立つ。

2013-02-17 23:23:48
赤司征十郎の独白 @aksryouki

【タク体ーンサ・ミッテ・遙。 ×IxI×:129】

2013-02-17 23:24:44

回想、エピローグ

赤司征十郎の独白 @aksryouki

……俺は生体アンドロイドだ。全くの機械、という訳じゃねぇ。高校までは24時間365日正真正銘の男だった。…悲劇の切っ掛けは、一つの事故。俺がヤケになった、その不注意が原因で…膝を壊した。俺を苦しめ、悩ませ、そして救い、過保護過ぎる程共に歩んできたバスケの女神が、唐突に姿を消した。

2013-02-18 00:29:04
赤司征十郎の独白 @aksryouki

……傑作だよな、プロへの道程へまさに脚を掛けたその瞬間に、梯子を外される気分ってのは。周囲も掌返しで腫れ物扱い、俺には本当にバスケしかなかったんだと……思い知らされた。…自棄になって、卑屈になって、どんな道にも身を落としてもいいと思った。だがその中でも俺は…尤も最悪な道に堕ちた。

2013-02-18 00:31:47
赤司征十郎の独白 @aksryouki

近々何処ぞの国で戦争が起きる、そんな話は聞いていた。その飛び火が此処まで来ないように、その防衛手段の研究の為に力を貸せと言われて。…頷いちまったのが縁の尽きか。上手く行けばもう一度膝が動くようになるかもしれねぇと、甘い餌ちらつかされたのも原因だろうな。…未練を、捨てられなかった。

2013-02-18 00:34:06
赤司征十郎の独白 @aksryouki

何度も繰り返される手術、改造の末に、俺の身体は確実に人から人でない物に近付いていった。……そんなある日の事だ。俺を改造していた科学者達は、別次元へと移動する装置を開発した。それは、俺の体内へと組み込まれた。本当に移動出来るか、移動して帰って来られるか……俺はその実験を強制された。

2013-02-18 00:36:42
赤司征十郎の独白 @aksryouki

断る理由も無ェ、二つ返事で頷いた俺は、その装置を使って色んな次元を飛び歩いた。……「世界線を渡る能力」とでも、言うべきか。俺の世界に似た、然し別の、色んな世界が其処にあった。なかなか興味深かったぜ、DNAは同じ人間でも、過ごした人生や環境によって、性格も少しずつ変わるらしい。

2013-02-18 00:38:43
赤司征十郎の独白 @aksryouki

そんな感じで俺は適当に世界線旅行を楽しんだ後、元の世界へと帰った。……筈だった。だが其処に、…俺の世界は無かった。…俺は、もう二度と歳を取らねぇ身体に改造された。それをすっかり忘れていて…随分と長い時間を過ごしちまったみてぇだ。俺の世界では、俺が旅立ってから数十年が経過していた。

2013-02-18 00:41:08
赤司征十郎の独白 @aksryouki

……その数十年の間に、何が起きたのか。地球は荒廃し、都市は壊滅、…生物という生物が、既に息絶えていた。…俺を作る事が出来るぐれぇの文明があった筈だ、他の場所に逃げていてもおかしくねぇとは思うが…経過した時間を考えると、俺の家族やダチは無事であろうと無かろうと、生存は望み薄だろう。

2013-02-18 00:42:48
赤司征十郎の独白 @aksryouki

俺は、帰る場所を喪った。…永遠に。

2013-02-18 00:43:57
赤司征十郎の独白 @aksryouki

……まぁ、過ぎた事は仕方無ェさ。俺は世界を離れ、再び世界線を辿る旅に出た。何の目的も無ェ、ただの暇潰しだ。……だがこれも、永遠には続けられねぇ。最後にメンテナンスを受けたのは、いつだったか。…修復機能にも限界がある。何処かで新しい燃料を調達しないと、これ以上は稼働出来そうにない。

2013-02-18 00:44:45
赤司征十郎の独白 @aksryouki

何処だ、何処にある。俺の世界とは名前は違うかもしれねぇが、俺のバッテリーになる何かが、何処かにある筈だ。それさえあれば俺は稼働出来る。…無ければそれまで。電池切れ。電池が切れりゃあこんな身体、直ぐに腐って錆びれて……ブッ壊れる。…それを探す為に、俺は色んな世界線を転々として…。

2013-02-18 00:45:43
赤司征十郎の独白 @aksryouki

……その途中で、隕石にぶつかっちまってな。……うっかりこの世界に落ちちまった。服に飛び散っていた…いや、俺の液体金属は、落下の衝撃で身体が四散した後にもう一度修復した名残だ。…流石にメモリーへの負担が強すぎて、一時的に負荷を下げた、ら…記憶喪失状態になっちまった、っつー訳だ。

2013-02-18 00:47:02
赤司征十郎の独白 @aksryouki

……俺は今、公園にいる。俺が落ちた、あの公園だ。ああ、何で気付かなかったんだろうな……多分、見ねぇようにしていたんだ。記憶喪失の俺にとって、公園には不釣り合いに思えたこの非日常的な道具。丁度俺が倒れていた、傍らに深く深く突き刺さる………――身の丈程の、大刀。俺の、獲物だ。

2013-02-18 00:48:21
赤司征十郎の独白 @aksryouki

其れを静かに、地面から引き抜く。刃に仕込んだ機械に連動して、俺の左の義眼が薄い金色に輝いた。……この大刀が、世界線を渡る鍵になっている。……軽く振り被り、空に一閃、人の大きさ程の円を描く。するとその部分だけ空気が切り取られて……宇宙空間が覗いた。…正確には宇宙じゃねーけどな。

2013-02-18 00:49:44
赤司征十郎の独白 @aksryouki

金属で補強された膝をぎしりと動かして、その中に足を踏み入れる。……この世界とはお別れだ。もう時間も無ェ、また次の世界に…バッテリーを探しに行かねぇとな。……――まだ時間はある。間に合わなかったら、それまでだ。焦る必要も無ぇ、どうせ暇潰しだ。じっと壊れるのを待つのは、退屈だからな。

2013-02-18 00:50:20
赤司征十郎の独白 @aksryouki

――――俺は自分の道を……驀進するだけだ。 http://t.co/kX4wPa3

2013-02-18 00:51:41
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赤司征十郎の独白 @aksryouki

【青峰大輝の驀進 DATE:1 END】

2013-02-18 00:52:35
赤司征十郎の独白 @aksryouki

【生体維持バッテリ LIMIT:127】

2013-02-18 00:52:48
赤司征十郎の独白 @aksryouki

……―――生体アンドロイド「DAIKIAOMINE」、稼働停止まで、残り127時間。

2013-02-18 00:53:04
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