作者の「思惑」が透けて見えない「キャラクター」の作り方@榊一郎

榊一郎先生の創作講座。今回はキャラクターの作り方。 ポリフォニカのキャラクターたちを例に、物語の目的に適したキャラクターの作り方を解説します。 作者の思惑が透けて見えない、一本筋が通ったヒロインたちの作り方は大変参考になります。 てか、コーティカルテって「天地無用」の魎呼が要素として入ってるのか……。 続きを読む
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榊一郎@ノベライズ『サマナーズウォー』1&2発売中♪ @ichiro_sakaki

勿論、そのまま使う訳にはいかないし、そのまま使っても作品世界に馴染まないので、彼女のキャラとしての魅力と成り立ちを分解します。

2010-08-29 16:16:22
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まあ他人様の作品(しかもアニメ)なので詳細は省きますが、「主人公を長い間見守ってきた」=「母性とも分かちがたい程の強い恋愛感情」「パワーは主人公よりある癖に、最後の一線で主人公に惚れているので、何かあると弱い」この辺がポイントかなあと。

2010-08-29 16:18:14
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ついでに言えば「元宇宙海賊」=「前科者」=「元テロリスト」なんて処も似てますな。勿論その流れで、キャラの『禊ぎ』としての長い幽閉期間――つまり「犯罪者が何のおとがめもなく許されてヒロイン」というのを防ぐための、言うなれば刑期を設定するのも同じ。

2010-08-29 16:19:59
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つまり。ヒロインは元テロリストで(暗い過去、拭いがたい罪を背負っている)、世界の成り立ちにも関わる程の長命(キャラのドラマから世界観へのアプローチのしやすさ)、それ故に長い期間をその罪から幽閉されていた(キャラの禊ぎ)が、その間、ずっと、主人公の事を思い続けた(一途さの演出)

2010-08-29 16:22:57
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要素だけ取り出してみると、確かにコーティカルテと魎呼はかなり似ています。要するにこの「一つ筋の通ったキャラ造形」を骨格だけにして流用している、という事です。

2010-08-29 16:25:06
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更にここからは趣味としていじっていく(なのでむしろ魎呼からは離れていく)のですが、精霊という設定から「人間そっくりだけど人間じゃない」というアイコンを作りたいと考えますので、「人間にはまず無い髪の色」「人間にはまず無い輪郭的特徴」を用意します。

2010-08-29 16:27:23
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コーティカルテの髪が赤いのはそのせいですね。そして精霊の羽根も。ちなみに精霊の羽根が出し入れ自由で、消す事が出来るのは――実は「押し倒した時に羽根あったら気になるよなあ」とかそういうw

2010-08-29 16:28:46
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ここで重要なのは、キャラ造形の微調整をする場合に、単なる思いつきで足し引きするのではなく、予想し得る場面に有効利用出来るかどうかの判断で足し引きしていく事です。

2010-08-29 16:31:14
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ラブコメ要素を多少なりとも入れるのは当初からの予定でしたから、「まあベッドの上にうっかり間違いで押し倒したりとかもあるだろうしなあ」みたいな判断。ちなみに結果的には逆というかいつもコーティカルテが馬乗りの構図ですが、まあそれは結果オーライでw

2010-08-29 16:32:33
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また、そういうラブコメ要素を入れるにあたり、「精霊は定期的に精神の成熟度をリセット出来る」という設定を裏側で入れてあります。まあこれも漫画「3×3EYES」のヒロイン絡みの設定から考え方を拝借したのですが。

2010-08-29 16:35:12
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「そりゃ何百年も生きている女が乙女みたいな反応はせんわなあ、たとえ処女でもさ」という考えになりがちだったので、コーティカルテがフォロンにどきどきしてもらう為の仕掛けとしてそういうのを頭の片隅においておいた、という事です。

2010-08-29 16:35:41
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ここまで考えてくると、「永く生きているけれども、定期的に精神性をリセットしている為に、普通の女の子の様な性格、でも知識と自覚はあるからやたら偉そう、口調も何処か古臭く、偉そうで、たまに旧い言葉がぽろっと出る」

2010-08-29 16:37:33
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ですがただ偉そうなだけのヒロインは単純にうざいので、ここで可愛らしさを演出する為に「引け目」を利用する。そう、「罪の意識」とか「過去」ですね。

2010-08-29 16:38:17
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つまり、ただ単に「偉そうなツンデレキャラが、意味もなく主人公にデレる(あるいは心を開いて自分の本音を漏らす)」のは不自然ですが、

2010-08-29 16:38:56
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暗い過去とか、過去の罪とか、そういうものがあって、それを自覚していて、でも主人公は彼女のそれを受け入れた上で、傷を癒す一助になる――という構造があれば、もうヒロインが主人公にベタ惚れする事に「一本筋が通る」んですな。

2010-08-29 16:40:00
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逆にこの過程が無いと、ヒロインの言動が皮相的で「中身がなんか薄い」とか言われかねない訳で。

2010-08-29 16:40:50
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勿論、これは単に一例ですよ、念の為。ヒロインにはかならず暗い過去を設定しろと言う話ではないですからね。ついでに言うと、フォロンとコーティカルテの場合は、これを更に二重化してます(神曲楽士と精霊という関係での惚れ方と、男女の惚れ方は、重なり合うようでいて別)

2010-08-29 16:41:59
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二重化すると色々便利なのは、ラブコメの基本である「くっつきそうでくっつかない」構造の補強に使えるからです。どれだけ「お前が好きだ」とコーティカルテが言っても、「精霊契約」という前提が在る為に、フォロンは「神曲楽士の」という一語をコーティカルテの言葉の頭に付けてしまう。

2010-08-29 16:43:30
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ついでに言うとここでフォロンの生い立ちにも設定をくわえて、ラブコメ状態維持の一助にしましょう――という事で、彼は孤児院の出であると同時に、孤児院ではいじめられっ子で、だから「僕は誰からも必要とされていない」という呪いの様な認識を、幼い頃に自分に課している、という設定。

2010-08-29 16:44:36
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これが、フォロンの何かにつけ穏やかで、他人を気にして、しかし自分の事には妙に無頓着で評価が低い、という性格に繋がる訳ですが。

2010-08-29 16:45:17
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こうしてラブコメ状態を維持できる(作中の中でのキャラの使い方をおおよそ意識しているのがコレ)事を前提に、コーティカルテと、そしてその相棒であるフォロンのキャラ設定を調整していきます。

2010-08-29 16:46:31
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当然、「人間と精霊だから結ばれない」という前提を置いておけばなおいい(ドラマに幅と厚みが出るし、何かにネタとして使える)、という事で、そう設定。

2010-08-29 16:47:33
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そこから派生して、考えるに、「ラブコメだから、主人公とヒロインの間に割ってはいるサブヒロインも欲しい」と考えていた事にくわえ、「精霊と人間。二極化の概念だけど、この中間概念もちょい欲しいね」という事で、ペルセルテとプリネシカ、というユギリ姉妹ができあがり――

2010-08-29 16:48:49
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彼女等のドラマも同様に「どう使うか」を考えると、なんというか、キャラの仕様が決まってくる訳ですね。

2010-08-29 16:49:20
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