作者の「思惑」が透けて見えない「キャラクター」の作り方@榊一郎
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yukiminagawa
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大体ここまで設定を繰り返してくると「こういう動きをさせないといけない」というキャラの立ち位置は決まってきます。で。その立ち位置と求められる行動から、それを一本筋の通った、単純な説明が出来る何かを逆算的に導き出してやる。
2010-08-29 16:50:58![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
常にヒロインと主人公の間のお邪魔キャラとして割り込んでくるものの、憎めない、可愛いキャラとして動いて貰う為には、単純な嫉妬、男女の恋愛のもつれとは別の意味で絡ませたい――ではサブヒロインは、単純に主人公を先輩として敬愛していて、自分の中にある男女の感情には無自覚、にしよう。
2010-08-29 16:52:29![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
なぜ彼女は、主人公をそんなにも敬愛する? 神曲楽士としての主人公を敬愛する理由は? ――では大好きなお父さんが神曲楽士だったという事にすれば矛盾ない。特に父性への憧憬と、異性への憧憬は、しばしば混同されやすいから、余計に説得力がある。
2010-08-29 16:53:56![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
それ故に、父性と異性、その憧憬の区別がつけられない位に「精神的な幼さ」を強調しよう、という事で、天真爛漫という設定になり、明るく前向きな言動のキャラ、ペルセルテが生まれ。
2010-08-29 16:55:07![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
彼女と対を無し、同時に彼女の明るいだけの部分を補完する――つまりは「影」を担当する事で、バランスをとる、そして後々には彼女が人間として成長する為のポイントとしての秘密を抱える(実は禁忌の半人半精霊)キャラを作ろう、という事でプリネシカが設定された、と。
2010-08-29 16:56:44![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
キャラが「皮相的」と言われるのは大概の場合に「作者の思惑が透けて見える」からであり、それはつまり「キャラが必然性に沿って行動していないから」であり
2010-08-29 16:58:58![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
つまりは「そのキャラならこうする、こうしない、という判断がつけられない位に造形が薄いか、さもなくば、その造形に矛盾する行動をとっている」という事。
2010-08-29 16:59:42![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
ならば逆に言えば、既存のキャラを構造分解して、「そのキャラはどうしてこんな骨格を持っているのだろう?」「どうしてこの設定はこのキャラについているのだろう?」という部分を理論化して見てみると、それは
2010-08-29 17:01:18![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
来月完結予定のうちの「ストレイトジャケット」ですが。あれのカペルテータなんてのは、その「骨格に従って作られたキャラ」の典型。
2010-08-29 17:03:28![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「両親は(いろいろな意味で)イっちゃってます」「祖父には人間扱いされていません」「だから幼い頃から絶望しない為には、自分自身をまるで他人事の様に観る癖がついている(これは実際に人格障害の事例でよくある話)」
2010-08-29 17:04:56![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「でもってそんな彼女に初めて、優しくしてくれる人が出来ました」「でも彼女は自分を他人の様に突き放しているので、それが恋だと分かりません」「しかも『理屈では』自分が最も愛するべき両親を彼は殺してしまいました」
2010-08-29 17:06:39![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「自分は果たして彼を愛して良いのだろうか。その事に正当性が在るのだろうか?」という機械的な、まるで第三者の事情を俯瞰するかの様な疑問。
2010-08-29 17:07:12![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「では観察しよう。彼の生き様を見よう。その上で自分が彼を愛して良いと客観的に判断出来れば、私は彼に愛を告白しよう」
2010-08-29 17:08:19![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「でもその時までは、彼にこの内心を知られてはいけない。観測者定義と同じで、『観測している・されている』という自覚が、行動を変えてしまう事がある」
2010-08-29 17:09:03![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
「だから私は物言わぬ観察者に徹しよう」――まあこういう骨格というか、ヒロインの基本的な行動原理を最初に設定してあったものですから、
2010-08-29 17:09:56![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
このキャラは非常に描きやすかったし、割と人気も出た様に思います。ちなみに下記の様な設定であるからこそ、彼女が主人公に対して何か尋ねるときは、ほぼ全て「?」マークがついていません。
2010-08-29 17:10:45![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
これは、自分の観察の正当性を確認しているだけの作業、つまり「私はこう見ましたがこれでただしいよね」という確認作業だから、本気で疑問には思ってないから「?」がつかない。
2010-08-29 17:11:35![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
一本筋の通った行動原理が在れば、非常にキャラは肉付けしやすいし、その上で行動もさせやすい。その結果として「中身が無い」とは言われない。
2010-08-29 17:12:16![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
ちなみに、キャラの骨格が定まっているかどうかは、心理テストを用意すると面白く確認出来る。キャラシートにそれを書くのもいいでしょね。
2010-08-29 17:12:45