今野晴貴さんが語る労働の権利、労働契約、試用期間

権利とか契約とか政治とか。 そういうことに馴染みが薄いまま雇用関係や社会関係に入っていくことには危険が多い今日。 ということで、まとめました。
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今野晴貴 @konno_haruki

こういうのを徹底批判する新書を、来月星海社から刊行予定です!@yoheitsunemi ネット選挙解禁って、人気取り臭がするんだよね。ひょいひょいとコトが進んでいる背景を読みたい。「ネットで政治がかわるぞー」的な意識高い系ムーブメント

2013-02-19 20:10:34

↑4月26日、発売されました。『日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか?』(星海社新書)http://amzn.to/Y7Zli6

今野晴貴 @konno_haruki

@yoheitsunemi 「政治」や「権利」というものを、根底から捉えなおす本です。私たちは、民主主義についても、権利についても、知らな過ぎる。どうやって労働条件が決まっているのか、労働の在り方はどう社会に影響するのか。こうしたことを、個々人の行動というミクロな視点から攻めます

2013-02-19 20:13:21
今野晴貴 @konno_haruki

よく「若者は権利を知らない」というが、私が思うのは、「権利」以前に契約を教わらないということ。働くということは、労働契約を結ぶということだが、契約を結ぶというのは、「関係を取り結ぶ」ということだ。自分がどんな関係におかれているのかわからずに働かされるというのは、至極おかしい

2013-02-20 11:38:21
今野晴貴 @konno_haruki

例えば、内定とは、どのような関係に入ることなのか、試用期間とは何か、正規雇用と非正規雇用の違いは何か、派遣とはどのようなものか、といったことも「よくわからない」ままに就職する。そもそも、これらについて、正確に説明できるキャリアカウンセラーや、教師がいるのかも、疑問だ。

2013-02-20 11:38:49
今野晴貴 @konno_haruki

確かに、「権利というものが労働者にある」のだが、その「権利」の源泉は、「契約関係」にこそある。だから、契約関係とは何か、そこでは何が約束されているのか、という基本のところを理解しておくことが重要だ。ほとんどの「権利」は、国に与えられるのではなく、契約によって生じる。

2013-02-20 11:39:10
今野晴貴 @konno_haruki

いきなり「権利がある」といわれると、非常に遠いもののように感じる。あるいは、「誰かが助けてくれる」と誤解を与える。労働の権利とは、使用者との「関係」であり、それは、契約という「約束」にこそ、源泉がある。自分自身の行為と無関係のところの話ではない。会社と自分の「関係」こそが大事だ

2013-02-20 11:39:47
今野晴貴 @konno_haruki

例えば、よく正社員入社の後に、試用期間が設けられていることがある。3か月、6か月という具合に。よく誤解されがちであるが、別に試用期間の満了と同時に、辞めさせる権利を企業が持つわけではない。また、試用期間中は正社員ではない、というのも間違いだ。そこでは関係がすでに成立している。

2013-02-20 11:40:18
今野晴貴 @konno_haruki

確かに試用期間中は、企業には条件付きの解約権がある。ただし、それは、あくまでも条件付きであることに注意してほしい。なんでも辞めさせられるわけではい。終身雇用を前提とした契約の場合に、長期間雇い続けることがどうしてもできない事情が「発見」された場合だけ、辞めさせることができる

2013-02-20 11:40:34
今野晴貴 @konno_haruki

試用期間とは、「長期雇用という約束」の中に、当然含まれてくる「約束」であり関係だ。それは、長期雇用だから、長期に雇うべきかどうかを、特別に判断できるというもの。そもそも、対等なはずの契約の中で、一方が、相手を「審査」したり、「契約を打ち切る」ことができるのは不合理なのである。

2013-02-20 11:41:05

翌日

今野晴貴 @konno_haruki

「権利」の前に、私たちが知らなければならないのは、「契約」である。例えば、残業代が払われていない場合、当然請求できる。だが、それはどうしてだろうか。労基法違反だからか? 違う。契約違反だからだ。労基法は、不払いを取り締ることを定めていても、請求そのものの根拠ではない。

2013-02-21 12:04:43
今野晴貴 @konno_haruki

パワーハラスメントを受けたとき、賠償を請求できる。それはなぜか? 労基法に違反しているからではない。正常な職場環境で働かせるという、労働契約上の「暗黙の約束」を企業が破ったからだ。「権利」は、遠い「空の上」のようなところにあるのではなく、会社との「関係」の中にこそある。

2013-02-21 12:05:08
今野晴貴 @konno_haruki

中央大学法学部の学生だったころ、私は法曹を目指すため、大学が用意した、「法職講座」という弁護士の講座を受けていた。そこで一番印象的だったのは、裁判なる場合は、「法律がない場合」と「法律が間違っている場合だ」と教わったことだ。法律が間違う、というのは含蓄が深い。

2013-02-21 12:05:24
今野晴貴 @konno_haruki

要するに、法律は暗記問題のようなものとは違う。一対一対応で、「答え」がでるのではない。何が正しいのか、何が正義であるのか、そういうものを問うことこそが、法的な事柄なのである。だから、例えば、有期雇用であっても、争えば、雇止めできないことも生じてくるわけだ。

2013-02-21 12:05:37
今野晴貴 @konno_haruki

今回の労働契約法の改正で、5年を超える期間の場合には、無期雇用への申し入れが義務付けられた。しかし、実際には4年11ヶ月で切られようとしている。だが、それは「法律が間違っている」だから、結局、4年11ヶ月での雇止めは、裁判を起こせば、覆すことができるだろう。

2013-02-21 12:05:51