【二次創作な?】「ア・シンメトリカル・エラー・オカード」♯1

ニンジャスレイヤー(@njslyr)の二次創作小説?です。あまりクオリティは高くありませんが、お読みいただければ幸いです。
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欺瞞動画の会社 @naclaqns

◆この物語はフィクションです◆0

2013-03-02 12:48:06
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その日の飲み会は断った。なぜなら今日は金曜日で、俺のタイムラインには見紛うことなきスリケンが飛んでいて、そして俺はニンジャヘッズだからだ。下衆な上司の手柄話にゴマを擦っている場合ではない。俺は「ユウジョウ!ユウジョウ!」と喚きつつ、同僚達の恨めしげな視線を躱し夜の街に出た。1

2013-03-02 12:50:33
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ヘッズになってからというもの、雨を厭わしく思った事は無い。暗く濡れる品川の夜はネオサイタマを突きつけてくる。「腹黒屋」「おいしい食べ物」「ファーマシ」「バニーガールとカラオケ」「値段勝負」…港南に繁殖した奇態なグラフィティ群を眺めるたび、俺はボンド&モーゼズの取材力に舌を巻く。2

2013-03-02 12:57:21
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自己紹介は、まあいいだろう。前述の通り俺がニンジャヘッズだということだけ知っておいて欲しい。ついでに言えば二部開始直後からのフォロワーであり、過半数以上のヘッズにとっては先輩に当たる。収入もそこそこある。独身だ。ハードボイルドだ。最近少し太ってきた。いい物を食っているからな。3

2013-03-02 13:03:34
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しめやかに某チェーン居酒屋へエントリーし、二階のカドに席を取る。俺はドリンクメニューの片隅にある「ケモビール」の文字を見逃さない。最近の忍殺コラボ商品はこの俺でも把握できない量だ。しかし何もこんなマイナーなブツまで…。実際成功したのはスシとバリキドリンクくらいのものだろうな。4

2013-03-02 13:09:30
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しかし俺は決断的にそれを注文した。あいつらに少しでもカネが流れるなら、暗黒メガ酒屋の策略に乗るのもやぶさかじゃあない。他に適当なツマミを三品ほど頼むと、「ヨロコンデー!」お姉ちゃんが威勢の良い返事を返す。ケモビール頼んでヨロコンデー…か。アトモスフィアは完璧だ。さて、さて…。5

2013-03-02 13:15:11
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懐からタバコとアイフォーンを取り出す。タバコはエビテン特典に付いてきた「少し明るい海」のケースに入れてある。いいだろう。やらんぞ。忍殺ジッポで着火しひと吸いすれば、これでおおよその準備は整った。あとはダークカラテエンパイアの刺客、ニーズヘグとパーガトリーの行く末を見守るだけだ。6

2013-03-02 13:21:59
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そう…ニーズヘグとパーガトリーだ。翻訳チームも上手くやる。この二人のニンジャが活躍するキョート殺伐都市編♯6はつい先日刊行されたばかりなのだ。しかも昨日はエントリーシーンでセクションを切りやがった。俺を含む数多くのヘッズが生殺しの憂き目に遭ったのだ。本兌の仕業か?それとも杉か?7

2013-03-02 13:27:45
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最近クライアント分かんねえからな。だが、あのアカウントから発せられる限りそれはニンジャスレイヤーなのだ。翻弄されるのもヘッズの醍醐味だろ?俺はお姉ちゃんの手からジョッキを引ったくり、アイフォーンに視線を落とし、そして一口飲んだビールを鼻から吹いた。粘膜が!ケミカル!発泡!痛え!8

2013-03-02 13:34:10
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”まず一人のニンジャが装甲車両より降り立った。右手には不気味に光る剣が握られている。「久しぶりじゃのう、ニンジャスレイヤー。貴様に切り落とされた脚が今も疼くわい…」「それは因果応報というものよ。自らの剣で自らを裁した事だけは褒めてやろう、ニーズヘグ」「抜かしおるのう…」1”(9)

2013-03-02 13:39:53
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「アイッ!?アイサツ!?アイサツナイナンデ!?」俺は立ち上がり喚いた。他の客がぎょっとした目でこちらを見る。そりゃそうだ。俺は日本人特有の曖昧な笑みを浮かべ、ゆっくり椅子にケツを下ろした。そしてこの異常極まりないツイートを夢中で読み返す。ドーモは?=サンはどうした?何これ?10

2013-03-02 13:45:33
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燃料をブチ込むようにジョッキを空にし、俺はゴリラガラスも割れよとばかりにタップを連打した。更新だ。〝ニーズヘグの眼は獲物を発見した蛇の如く輝いていた。そして、今ひとり…〟「『の如く』じゃねェー!めけ!そこはめけよ!」俺は再び立ち上がり、喚いた。何だこれは。俺は何を読んでいる?11

2013-03-02 13:51:51
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その時だ。俺の運が尽きたのは。一人の男が狭い階段からドタバタと上がってきた。騒々しい野郎だ、しかもお顔の整った白人様ときてやがる。金髪はドラマチックにビショ濡れだ。そこまでは許そう。だがそいつは周囲を見回すや、あろうことかこの俺に目を付けやがった。「ヘイ!あんた、あんただ!」12

2013-03-02 14:02:04
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「あんた…ニンジャヘッズだな?ちょっと悪いんだが!助けてくれ!世界がヤバイんだ!」そいつは流暢な日本語でほざきつつズカズカこちらに近づいてきた。「世界とニンジャがヤバイんだ!アッお姉さんワインください」「ヨロコンデー!」東京には色んな奴が居るなあ…おれは他人事めいて思った。13

2013-03-02 14:03:19
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白人男はマブダチめいて俺の隣に腰を下ろした。俺は言ってやったぜ、「こちとらは確かにニンジャヘッズだ、アンタの見立ては間違っちゃいねえ。だがよ、俺はニンジャヘッズなんだ。名乗る時はアンタからだぜ」ってな。奥ゆかしいだろ?「これはシツレイ、動転してた。でも仕方なかったんだ」15

2013-03-02 14:10:02
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その時だ。陳腐な言い回しだがまさにその時だったんだ。白人野郎の弁解は、またも階下から響いてきたドタバタに遮られた。「アイエエエエ!?」少し遅れて悲鳴…こんな忍殺めいた悲鳴を聞いたのは俺も初めてだった。まあ、気持ちは分からないでもないがな。だってよ、階段から上がってきたのは…。16

2013-03-02 14:15:01
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お察しの通り。階段から上がってきたのは一人のニンジャだった。安物のな。あの頭巾はどう見たってTシャツだ。装束もドンキで見たことあるぜ。でも、まあ、そんな事はどうでもいいんだ。問題は手だ、片手にスリケン、もう片手にはサブマシンガン!青い目がこっちを見つけやがった!銃口が上がる!17

2013-03-02 14:20:58
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「イヤーッ!」俺はテーブルを蹴倒した!この中にニンジャに襲われた時のシミュレーションをしていないヘッズが居たら手を上げて欲しい、そいつとは友達になれねえからな!俺は白人野郎の首根っこを掴み倒れたテーブルに身を隠す!BLATATATATATATAチュンチュンチュンチュンチュン!18

2013-03-02 14:27:22
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まあテーブルは木製なんだが、うまいことに裏には補強の鉄板が張られていた。それでも東京のテーブルは小さいんだ、俺達は身を寄せ合って縮こまり辛うじて銃撃を避ける!「オイ!何なんだよこれは!言っとくがな、日本のサラリマンに言い逃れは通用しねえぞ!」「知ってる、スゴイ知ってる」19

2013-03-02 14:33:11
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BLATATATAチュンチュンチュン「オマタセシタシマー」「ドーモ」マイスイート塹壕に客が増えた。ワインと串盛り持った居酒屋の姉ちゃんが滑りこんできたからだ。この弾雨の中をだ!白人野郎はワインに舌鼓だし串盛り食いやがるし俺はもうわけがわからなくなった。そして立ち上がったんだ。20

2013-03-02 14:39:08
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「ドーモ!しがないサラリマンです!」アンブッシュにはアイサツ!これだ!目論見は当たった、ニンジャは反射的にサブマシンガンを取り落とし直立不動!「タイヘン・シツレイ!ケジメ!」スリケンで指を切り飛ばす!鮮血!コワイ!「シツレイしました。ドーモ、サラリマン=サン。私は…」21

2013-03-02 14:44:59
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ニンジャは深々とオジギした。「私はモーゼズの甥です」「アッハイ」そんでもって白人野郎が倒れたテーブルから顔だけヒョッコリ覗かせる。「僕はボンドの甥です」「アッハイ」「居酒屋のバイトです」「アッハイ」「……」「……イヤーッ!」オジギ終了から七秒後!モーゼズの甥がスリケンを投擲!22

2013-03-02 14:51:03
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…そう、七秒である!オソイ!23

2013-03-02 14:51:40
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「ア・シンメトリカル・エラー・オカード」♯1

2013-03-02 14:53:12
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指で挟み取れりゃよかったんだが無理な相談だ。俺はしゃがんでテーブルに身を隠す、だがスリケンはフォークボールめいて沈みテーブルに突き立ちあろうことか補強鉄板を半貫通!「アイエエエ!?」そしてガチャガチャとサブマシンガンのリロード音…ガチャガチャ…ガチャガチャ…手間取ってやがる。24

2013-03-02 14:59:00