茂木さんの朝の連続ツイート2010年8月

2010年8月4日「勉強」 から 「秋刀魚の味」「就職」「タイガージェットシン」「赤毛のアン」「利他」「笑い」「国境」「独学」「美人」「ツイ」「戦争」「憲法」「青春」「情熱」「効率」「弱さ」「おまかせ」「フロー」「変化」「映画」「男女脳」「ネット」「サンデルさん」「隣人」「英語」「(佐藤賢一さんと歴史の話になった時のことを思い出しながら)」「アジア」「海」
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茂木健一郎 @kenichiromogi

英語(7)たとえば、bookという単語は「=本」ではない。レストランを予約するのもbookであり、違反して切符を切られるのもbookである。そのような様々な用法を、できるだけ多くの用例に接して抽出することで初めてbookという単語の意味記憶が立ち上がっていく。

2010-08-28 08:08:11
茂木健一郎 @kenichiromogi

英語(8)「あたたかい」と「あつい」、「かわかす」と「ほす」の違いは無数の用例からニュアンスでつかむしかないように、英単語の意味も、辞書から演繹されるのではなく、無数の用例に接することで逆に脳内編集するしかないのである。

2010-08-28 08:09:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

英語(9)英語をやる意味は何か? 英語という「文脈」の中で最も効率よく、先端的にやりとりされる情報があるからである。母語が英語の人たちだけでなく、世界のありとあらゆる背景の人たちが、「クリエイティヴ・クラス」としての最高のパフォーマンスを求めて英語の海に流れ込んできている。

2010-08-28 08:10:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

英語(10)「次の時代のハーバード」とも言われるTEDのように、世界の最高、最先端の知性が集う「クラブ」がある。この「クラブ」に属するためには、所属も、肩書きも、地位も関係ない。ただ、ある資質を持っていれば良い。

2010-08-28 08:12:04
茂木健一郎 @kenichiromogi

英語(11)「クリエイティヴ・クラス」に属するためには、英語の能力が不可欠。たとえば、マイケル・サンデルのJusticeに関する議論に、英語でいきいきと参加できること。自国の文化について、英語で誇りをもって語れること。そのような日本人を、どれくらい輩出できるかに国の浮沈がかかる。

2010-08-28 08:13:49
茂木健一郎 @kenichiromogi

英語(12)日本は、ながらく、「翻訳文化」で来た。明治以降、西洋の概念を「自由」、「哲学」、「自然」などの「和製漢語」で移入してきた。中国で使われている社会科学の概念の7割は和製漢語だという。日本語の豊饒さは、私たちの誇りである。

2010-08-28 08:15:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

英語(13)翻訳文化の優越は、日本人が英語で直接世界のクリエイティヴ・クラスとやりとりすることを妨げてもきた。翻訳自体は創造的な行為である。未だに、英語と日本語の間で流暢に翻訳ができるコンピュータ・プログラムはない。人手で翻訳をしなければならないことが、文化交流の速度を下げる。

2010-08-28 08:17:47
茂木健一郎 @kenichiromogi

英語(14)インターネットを通した「直接性の原理」が支配する世界において、日本人は、サッカーの選手がピッチを必死で疾走するように、英語を通して世界の指導的知性と直接やりとりする資質をぜひとも身につけなければならない。そのようになって、初めて日本の良さも世界に伝わるだろう。

2010-08-28 08:19:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

英語(15)英語を習得するには、とにかく、大量に読み、書き、聴き、話すしかない。文法ドリルも、和文英訳も、英文和訳も必要ない。英語の海に自分を投げ込み、必死になって泳ぐしかない。そのような機会を、日本の学校英語教育は提供した来なかった。

2010-08-28 08:20:39
茂木健一郎 @kenichiromogi

英語(16)英語を重視するからと言って、外国に知性を流出させてはいけない。むしろ、日本を、英語を通しての知的付加価値の産出の一大センターにすること。ハーバードのような卓越性の中心を、日本につくること。そのような未来ヴィジョンこそが求められる。そして、必死に走れ!

2010-08-28 08:24:07
茂木健一郎 @kenichiromogi

(1)『小説フランス革命』を執筆中の佐藤賢一さんと対談したとき、佐藤さんと歴史の話になった。その時のことを、思い出しながら書いてみたいと思う。

2010-08-29 05:57:55
茂木健一郎 @kenichiromogi

(2)人類の歴史は、どのように進むのか? 社会や経済を支配する普遍的な法則に従って発展するという考え方がある。マルクス主義における、プロレタリアートによる革命の必然は、そのような思想の一つだった。

2010-08-29 05:59:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

(3)佐藤賢一さんは、歴史に個人を取り戻したいのだと言った。もし、歴史が法則の必然に従って発展するのであれば、個人の役割は無意味になる。そうではない。私たち一人ひとりの個性が、歴史の帰結に重大な影響を与える。そのような思想に基づいて、佐藤さんは『小説フランス革命』を書く。

2010-08-29 06:01:02
茂木健一郎 @kenichiromogi

(4)フランス革命は、誰もが知るような経緯をたどった。これは、歴史の必然であったか。そうではないと佐藤さんは言う。もし、ルイ16世が、あのような軟弱な性格ではなかったら。ロベスピエールが、女性を近づけない潔癖症ではなかったら。ギロチンによる処刑も、恐怖政治もなかったかもしれない。

2010-08-29 06:02:37
茂木健一郎 @kenichiromogi

(5)日本の明治維新も、必然で起こったのか? そうではないだろう。個人の特性が、歴史の帰結に重大な影響を与える。高杉晋作が、坂本龍馬が、あるいは徳川慶喜が、あのような性格で、あのような行動をしていなかったら、日本の近代は違ったものになっていたろう。

2010-08-29 06:03:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

(6)長州とイギリス、フランス、オランダ、アメリカの間で起きた下関戦争の後に列強が「彦島」の租借を要求してきた時、高杉晋作が頑としてはねつけていなかったら、日本は香港のように一部を植民地として失っていたかもしれない。高杉晋作の妥協しない性格が、日本のために幸いした。

2010-08-29 06:06:07
茂木健一郎 @kenichiromogi

(7)もし、坂本龍馬が、人を惹きつけ、人と人とを結びつける共感力と柔軟性に満ちた人柄でなかったら、薩長同盟は実現したか。大政奉還への道筋は開けたか。龍馬という魅力的な人物の存在が、確かに、日本の歴史の帰趨に影響を与えた。

2010-08-29 06:08:28
茂木健一郎 @kenichiromogi

(8)白洲次郎が、終戦後のGHQとの折衝で「従順ならざる唯一の日本人」として誇りを持って対峙しなかったら、マッカーサーの占領政策は変わってはいなかったか? もっと劇的に、日本の伝統は断ち切られていたのではないか。

2010-08-29 06:10:50
茂木健一郎 @kenichiromogi

(9)歴史の行く末が、個人の力を超えた必然的な法則によって決まる。このような考え方は、私たち一人ひとりに無力感を与える。しかし、歴史の実際をさまざまな例に則して見れば、むしろ一人の人物の個性がその発展に重大な影響を与えている。そこに、私たちの希望も不安もある。

2010-08-29 06:12:29
茂木健一郎 @kenichiromogi

(10)私たちは、歴史の必然的発展に翻弄される受動的な存在などではなく、むしろその帰結に決定的影響を与えうる積極的存在なのだと目覚めるべきだろう。また、指導者の選択においても、その人柄が日本の未来に重大な影響を及ぼすという意識をもってのぞむべきだろう。

2010-08-29 06:13:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

(11)国の未来という「大きな歴史」に積極的に関われる人は一部かもしれない。しかし、自分の人生、周囲の人々との関係といった「小さな歴史」ならば、確かに自分の個性を反映させることができる。自分がどんな選択をするかで、人生の「フランス革命」も、「明治維新」も起こすことができる。

2010-08-29 06:15:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

(12)歴史を自分からは手の届かない大きな必然として見るのではなく、自分の一つひとつの選択がその帰趨を決する小さな偶有性においてとらえろう。夏が終わろうとしている今、そんなことを想う。

2010-08-29 06:16:05
茂木健一郎 @kenichiromogi

アジア(1)青年の頃から、「アジア的」と言われると、なぜか腹を立てていた。明治の「脱亜入欧」以来の、無意識の中での志向性が心の中に残っていたからだろう。

2010-08-30 08:29:10
茂木健一郎 @kenichiromogi

アジア(2)日本人は、長い間、自分たちがアジアの一部だということを心理的に消していた時期がある。日本がアジアで唯一のG7国だった頃には、特にその傾向が強かった。

2010-08-30 08:30:25
茂木健一郎 @kenichiromogi

アジア(3)その頃、外国に行った時に、自分が中国や韓国などの他のアジア諸国の人たちと見わけがついて、ちゃんと日本人だとわかるかどうか気にする人がたくさんいた。そして、日本人以外に間違えられると、怒り出す人たちもいた。

2010-08-30 08:32:01
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