【二次創作な？】「ア・シンメトリカル・エラー・オカード」♯２

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つくづくコイツが美少女かなんかだったらって思うぜ。だが現実にブー垂れたって何がどうなるわけでもねえ。やりゃいいんだろ、やりゃあ。「…しょうがねえな。分かったよ、やるよ、世界くらい救って見せらあ！どうせ週末の予定なんかありゃしねえんだ！独身だからな！」婆ちゃんはにっこり笑った。25

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翌朝！26

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婆ちゃんはボンドの甥に何度も頭を下げて帰っていった。体が痛え。うちには二組しかフートンが無え、家主たる俺がソファーで寝るハメになったんだ。奴のリクエストに従って米と納豆と味噌汁（インスタントの）で朝メシを済ませ、さて作戦会議の始まりだ。「まずは…状況の整理だな。ややこしい」27

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複雑なプロジェクトを成功させる第一歩はメンバーの認識合わせだ。何だ、サラリマン経験だって役に立つじゃないか。「忍殺公式アカウントが妙にまともな忍殺を垂れ流すようになって、そのせいでネオサイタマと現実が入れ替わり始めた。奴らがまともな事を書くと、そこから入れ替わる。ＯＫ？」28

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「やけにやる気だな。ＯＫ。その通りだ」「そいつは、モーゼズの甥が…なんかこう…余計なことを、日本について筋道立った説明をしちまって、原作者たちが悪い方向に目覚めちまったからだ。しかもモーゼズの甥はモーゼズだから狂ってて、毎度毎度テキトーな物しか送らないボンドの甥を狙い始めた」29

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「間違っちゃいない。付け加えるならそいつはニンジャセッションが大好きだ。モーゼズだからね」「俺達は何とかいつも通りの忍殺を取り戻して、世界を救わなきゃならない。そうだな？」「僕を救うのが抜けてるぜ」自分で言ってて頭がクラクラするが…こういう事だ。さて、差し当たって、どうする？30

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「なあ、原作が変になった、それは百歩譲って良しとするぜ。じゃあよ、我らがほんやくチームは何をやってるんだ？」「僕もそこは疑問だ。彼らは実際聡明なんだ、ニンジャ表記でごまかすだけのはずはない」「でもよ、実際それしか手が打ててねえじゃねえか」「更新を確認しよう。きっとヒントが…」31

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”（読者の皆さんへ：いつもお世話になっています、ニンジャスレイヤー翻訳チームです。お知らせがあります。我々はスシ代捻出のため、過去ログを独自アーカイブに格納し、今後の閲覧を有料化することを決定しました。それに伴いツイログ及び有志のまとめは権利者削除されます。ご理解ください）”32

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「アボーッ！？」さっきまでのやる気はどっかに雲散霧消した！だって、ログ削除…！？課金な！？まさか！こんな！「その手があったか…！」「何落ち着いてやがるんだ！有料だぞ！コンテンツーが！ソリューショーンが！あ…あ…暗黒神が！」「落ち着くんだ。アーカイブされた内容を確認しないと」33

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「落ち着いてられるか！言われなくてもカネなら払うぜ、この…ウェブマネーをな！」俺はチケットを高々と掲げた。某ソーシャルゲームに突っ込むためにストックしてるんだ！風よりも早く番号を入力！なになに、ゼロ・トレラント・サンスイが…五百円だと！？高え！残高モリッと減少！俺のカネだ！34

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”ミニットマンは顔を上げた。彼が生存したのは、死んだふりによるものだ。”「アボーッ！？アボボーッ！？」これだけ読めば充分だろう。そうだ、公式サイトにズラリ並んだ過去ログは全部一セクション五百円のブルシットになっちまったんだ！「ブルシット！ブルシット！ブルシ…」「落ち着け！」35

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甥ボンドが鋭く叫んだ。「…落ち着くんだ。そうして騒ぐのが、ニンジャを救う手立てなのか？まず落ち着け。そして考えよう。いいね？」俺も子供じゃない。それに甥の肩が震えているのに気づかないほどニブくもない。「…アッハイ」「考えよう。課金の上、過去ログまで改変された。どういう事だ？」36

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「きっと狂ったんだ。翻訳チームは。研修のし過ぎ、ドリトスの食べ過ぎ、ニンジャ真実の過剰摂取…原因はいくらでもあるぜ」「信じるところから始めようよ。彼らは狂わない。あるいは最初から狂っている。数百も読者が居ない状態で丸一年ニンジャスレイヤーを翻訳し続けた男達だ…ヤワじゃあない」37

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筋の通った話だった。だが、だとすれば、何故…？「こういう見解はどうかな。こんなモノ、わざわざ課金してまで誰が読む？」「誰も読まねえ…ん？待てよ、つまり…読まれたくない？」「僕もそう思う。翻訳自体は彼らの負った義務、宿命だ。それでも彼らは抵抗する道を選んだ。言い訳の立つ形で」38

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納得はゆく。過去ログ分まで影響し始めたら、汚染は飛躍的に速まる。だがそれは対処療法、根本的な解決ではない。パズルのピースはまだ足りない。彼らの手がそれだけの筈はない。あの巧みなマーケティングに幾度も踊らされてきた俺には分かる。何かが足りない。これでは奴は納得しない。ん？…奴？39

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「ボブだ！」俺はアルキメデスめいて叫んだ。「ボブだ、ボブが足りねえ！あいつが居ねえ！」甥が目を見開く！そうだ、ボブだ、翻訳チームに…ニンジャスレイヤーに逆らえる地球上で唯一の生命体！「冴えてる！待てよ、あっちに居ないって事は…」「こっちに来てる！あいつなら、もしかしたら…！」40

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具体的に何か望みがつながったわけじゃない。だがこいつは天啓だ、どうせ元手の掛からない賭けだ。俺はツイッタークライアントに新しいタブを開いた。諦めアトモスフィアの「アッハイ」が埋め尽くす実況タグの中、ただ独り暴れるタマゴアイコンアカウント！こいつがボブじゃなかったら誰がボブだ！41

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さてどうする？こんな時、フジキド達なら…？そう、ハッキングだ。勿論俺にはそんな技術は無い…だが真似事ならできるぜ。俺はボブの過去ＴＬを洗った。今作ったアカウントのくせに結構な昔からのログが溜まってやがる。仕組みは知らねえが好都合だ、これだけありゃあ…ビンゴ！お目当てのブツだ！42

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ブツ…つまり写真だ。お母さんの手作りハンバーグ！どんな人間でも長いことツイッターをやっていれば一部なりとも生活をさらけ出したくなる、ボブみたいな奴ならなおさらだ。さて…ここからが情報化社会の闇だぜ。デジカメの写真にはExifというデータが埋め込んである。こいつが何かって？43

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怖いんだぜ、これが。これを調べるとカメラの機種から撮影日時から、それどころか撮影された緯度経度まで全部分かっちまうんだ。信頼できる画像投稿サービスを使えば自動的に削除してくれるらしいんだが、詳しいところは俺にもよく分からない。怖い人は調べてくれ。俺も若干怖くなった。44

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そしてボブだ。お母さんの作ってくれたハンバーグを少しでも美味しそうに見せたかったんだろう、ボブは画像を一旦ＰＣに取り込んでいい感じに加工したらしく、その上ご丁寧に素性の定かでないアップローダーを使っていた。ブルズアイ！位置情報丸残りだ！すぐさまＧｏｏｇｌｅマップに突っ込む！45

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「出たぜ、今回のボブは…池袋だ！」俺がアイフォーンとにらめっこしてる間に、ボンドの甥はパジャマ（俺のだ）から自前のスーツに着替えていた。昨日ゲドゲドに汚れたはずなのに卸したてめいてパリっとしてやがる。まさか装束自動生成か？こいつはこいつでニンジャなのか？これはもしや…伏線か？46

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知らねえや。俺もスーツに着替えた。仕事だからな。「行こう。話はそれからだ」クールに言った甥の口元が若干緩んでいるのを俺は見逃さない。男はいつだって秘密作戦に憧れてるんだ。「ああ。行こうぜ、兄弟」俺もニヒルにキメた。「気持ち悪い事言わないで下さい」「アッハイ」殴ってやろうか。47

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