【二次創作な？】「ア・シンメトリカル・エラー・オカード」♯２

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ここが池袋だと言われて誰が信じる？ビックカメラもヤマダ電機も西武もパルコも、東口にひしめいていた騒々しい何もかもが、重金属酸性雨に晒され朽ち果てるままになっていた。遠くに見える鉄骨剥き出しのあれがサンシャイン６０ってことなんだろうな。中国地方とネオサイタマの境にふさわしいぜ。48

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人はまあ居る。駅の周りにはブラックマーケット…と言うか闇市が広がっていた。得体の知れない食い物やら電子部品やらがそこそこの活発さで売り買いされている。「かつての池袋は闇市の街だった。逆戻りしたってわけさ、戦後に。ただし、電子戦争のだ」「詳しいじゃねえか」「日本が好きだからね」49

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俺達は傘を買った。ビニル傘のフチにＬＥＤ電飾がくっついたひでえ代物だ。どうも日本円が相当強いらしく、一本二〇円のくせにガラクタ屋の親父はやたら愛想が良かった。ただし愛想ついでに俺のアイフォーンをしつこくねだってきたのには参った。冗談じゃない、誰が三千円で売るもんか。50

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ボブの家が池袋にあると知った時はボブのくせにいい所に住みやがってと思ったが、この荒れ果てた町並みを見てからじゃ別段羨ましくもない。瓦礫の積もった明治通り沿いに十数分、首都高をくぐって山手線を乗り越えると、マンションと個人商店（の廃墟）が無秩序にスプロールした地帯に出た。51

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このあたりのはずなんだが、残念ながら土地勘が全く無い。細い路地はあっちこっち行き止まりになってるし、さりとて甥（Ｂ）に頼れるわけでもなし、ＧＰＳはどんどんファジーになっていくし、俺達は迷いに迷った。そして小さな公園に出た。ブランコが揺れている。揺らしているのは…あれがボブだ。52

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ボブにどんなイメージを持っているだろうか？多分小太りのソバカス白人少年ってのがステロタイプだと思う。このボブもそんな感じだ。中学生くらいか？傘を肩にたてかけ、うなだれた様子で黒く分厚い本を読んでいる。表紙には赤いスリケンマーク。あれはまさしく忍殺書籍。まさしくボブだ。53

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残骸の街、雨に打たれながら、独りニンジャスレイヤーを読むボブ。写真に撮っておけば良かったな。それは果てしなく寂しい光景だった。一つの文明が終わりを告げたような風景だった。他人事じゃない。それは、近い将来の、ネオサイタマが当たり前になった世界の、俺達ニンジャヘッズの姿なんだ。54

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俺は甥の制止を振りきって駈け出した。今すぐ語り合いたかった。ようボブ、お前の好きなニンジャは誰だい？言っておくがロブスターは無効票だぜ。俺か？ダークニンジャかな！かっこいいしな！…その望みは遮られた。危険な何かが俺めがけて飛んできた！ソーマト・リコールがその姿を捉える！矢だ！55

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スコーン！「グワーッ！？」矢は俺の脳天に面白い感じで突き刺さった！「グワーッ！？グワーッ！？」痛え！こんな頭痛は先月のデスマーチ以来だ！俺は矢の飛んできた方向を見た、つまりボブの方向だ！こんな事をするやつを俺はちゃんと知ってるんだぜ、そう、光るアイツ…アレ？光ってないぞ。56

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「…やめるがいいだろう。わたしのボブに手を出すのは」そいつは細身の剣を抜き、威圧的な足取りで近づいてきた。手に提げられた剣を伝い、雨粒が地面に垂れる。だが光っていない。むしろ暗い。俺の知らん人だ。「ダーク…エルフのせんし…！」甥がそれっぽく戦慄した。エッ、そういうのも居るの？57

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俺は怒った。どうせ会うならエルフのせんしが良かった。てめえみたいな紛いモンに…用は無え！俺は、ひかった！

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「ア・シンメトリカル・エラー・オカード」♯２終わり。♯３へ続く

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（最後通し番号が抜けた。これはリアルタイムで書いているとよくある事態で、不可抗力だ。よってケジメにはあたらない。安心感がスゴイ）