夜の社会心理学者さんの「排斥や非難せず異質な他者を尊重する暖かい雰囲気が必要」
等質性と異質性はあくまでも相対的なものですよね。たとえば,心理学と教育学があると相互の差異が顕著になることになるし,でも,そこに理工系がいると心理学と教育学の差異なんてちっぽけになってしまいます。欧米諸国と東洋との差異はとても大きいかもしれないけれども,宇宙人の前ではちっちゃい。
2013-03-21 10:43:40復興を目指すという点では等質な人たちも「何が復興なのか」という目標の状態像が違ってしまうし「どうすれば復興が実現されるのか」という方法やアプローチの仕方でも相互の差異が顕著になってしまっているのですよね。全てを一度にできないなら優先順位をつけるのだけど,この順位が人によって違う。
2013-03-21 10:50:41問題なのは,相互の異質性は本来は尊重すべきものであるはずなのに,相互の排斥や罵倒の対象になってしまっている点なのだろうと思います。せっかく「復興をめざす」ということでは等質な人たちのあいだに,異質性が顕在化することによって,感情的対立にともなう負の影響が生まれてしまうことになる。
2013-03-21 10:58:35でも,ただ現状を憂えてばかりいても仕方ないですよね。集団発達の理論では集団には崩壊に向かう力が働くと同時に,集団を維持したり結束する方向への力も働くことが示されています。だから,あきらめないでいきましょう。ひとつは共通性の再確認です。「復興を目指す」という点ではみな等質なのです。
2013-03-21 11:12:09「等質性を確認していくこと」はとても大切な働きです。等質性が確認できれば,相互の異質性も尊重できるようになるでしょう。第二は被災地と非被災地,放射脳と工作員,推進派と反対派といった二項対立的な発想からの脱却です。人はともすると単純なカテゴリーに分類して社会を理解しようとしますよね
2013-03-21 11:17:01でも,同じ被災地でも,被災の程度は一様ではありません。全てを喪ってしまった人も,影響が少なかった人もいます。低線量被ばくを怖がる程度も人によって大きく異なる可能性があります。被災地とそれ以外,放射脳と工作員といった分類やレッテル貼りは,このような個々の差異を無視してしまうのです。
2013-03-21 11:23:13精神医学や心理学は,障がい者と健常者というカテゴリーはそれほど明確な分類でないことを明らかにしてきました。障がいの程度も様態もじつに多様ですから,二項対立的な分類では実態を理解できないのです。最近は,障がい者と健常者を連続体上に位置づけて理解することの有効性が示されているのです。
2013-03-21 11:30:32二項対立的な発想をしないいで,それぞれを連続体上に位置づけて理解するようになれば,極端な立場にある人たちは別かもしれませんが,多くの人たちにとって,相互の異質性は,あくまでも相対的なものに過ぎないという認識ができるようになりますよね。
2013-03-21 11:34:43一時的な実験集団では,相互に保有している共通の知識だけを確認してしまい,個々の成員が保有している独自で重要な情報が集団での討論の場に提出されにくくなることが示されています。独自な情報がないまま意思決定するのですから,この効果によって集団討議の質が低まってしまう可能性が高まります。
2013-03-21 13:16:06ただ,異質性が顕在化してしまった集団においては,相互の差異や相違だけが注目されてしまう可能性が高まってしまうのだろうと思います。だからこそ,相互の等質性について,再確認する働きが必要になるのではないかと思います。等質性の確認がなされてこそ,相互の異質性が尊重されることになります。
2013-03-21 13:18:56企業などでは,集団での意思決定にさいして,あえて全体の方針に反対し,異議を挟む役割の人を導入する試みがなされています(デビルズ・アドボケイト法)。異質性の導入により,自分たちの選択や決定をもう一度,批判的に再確認し,より優れた決定をすることが可能になることがもたらされるでしょう。
2013-03-21 13:23:07ただ,異質性を導入してたとしても,すぐに排斥されたり,罵倒されてしまったのでは,自分たちの選択や決定を批判的に再確認することができなくなってしまいます。排斥したり,非難したりしないで,異質な他者を尊重する暖かい雰囲気が必要になるのです。
2013-03-21 13:26:32