富士山の火山防災で考慮すべき課題

2013年3月22日の富士山火山防災対策協議会第1回3県コアグループ会議の席上で私が述べたコメントのまとめ。
避難 富士山 火山防災 課題
usa_hakase 9322view 6コメント
58
ログインして広告を非表示にする
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 09:58:32
    先週金曜に富士山火山防災対策協議会の第1回3県コアグループ会議が開かれた。3県とは静岡・山梨・神奈川のこと。これまで山梨県単独や静岡・山梨2県のコアグループ会議が開催されてきたが、3県では初めて。神奈川県の参加は昨年6月の第1回協議会(全体会議)以来ということになる。
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 10:02:44
    これまでコアグループ会議は非公開で行われてきて議事録も公開されていなかったが、最初の3県コアという節目の会議だったので、今回は頭撮りや記者レクが行われたらしい。それにしても公開された第1回全体会議の議事録すらないのは困る。3県が並列だと責任の所在が不明確になるのだろう。
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 10:05:02
    いずれにしても今回の会議も議事録が出そうにないから、自分のコメントだけでも備忘録的に書いておきたい。私が会議の最後に述べたコメントの要点を以下に書いておく。
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 10:21:26
    1.噴煙から落下する岩片の危険性。宝永噴火のような成層圏に噴煙が達する噴火が起きたとき、噴煙からは軽石(またはスコリア)と岩片が地表に落ちてくる。密度が小さく、粒径が小さいものほど火口から遠くに落ちる。軽石の密度は岩片より小さいので、
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 10:29:43
    1(続)ある場所に落ちてくる物体は、大きな軽石と小さな岩片の組み合わせになる。軽石はもろいので殺傷能力はそれほど高くない。リスクが見落とされやすいのは小さな岩片である。宝永噴火では、火口から20km離れた風下で直径2cmの岩片が落ちてきた。
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 10:34:34
    1(続)こうした岩片がどのくらいの貫通能力・殺傷能力を持っているか、つまり宝永噴火と同様の噴火が起きた時にヘルメットが役に立つか否か、降礫中の屋外避難が可能かどうか等を定量的に検討した例はほとんどないと思われる。
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 10:40:25
    1(続)三宅島2000年噴火の時、私は噴火予知連伊豆部会でこうした岩片の殺傷能力の定量的検討とそれに見合った情報発信を提案したが、そうこうするうちに全島避難になったので、結局実現していない。この検討は火山専門家だけでは難しい。
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 10:43:17
    1(続)こうした空中を飛来する物体の貫通・殺傷能力の検討をもっとも得意とするのは、おそらく自衛隊ではないだろうか。幸いにして富士山火山防災対策協議会のメンバーに自衛隊が入っているので、こうした検討をこの協議会でおこない、その結果を避難計画に活かすことが望ましい。
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 10:45:59
    やっとコメント1が書けた。けっこう時間かかるな。
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 10:52:30
    コメントは8つあるので、これから時間を見つけて書いていきます。
  • オオカミ#飲食店は禁煙に @ookami1910 2013-03-25 12:31:12
    飛来物質の殺傷能力については自衛隊でも研究しているだろうけれど、作業用ヘルメットの会社とかでも安全性とか調べてないんですかね? @usa_hakase - https://t.co/whxGHWKGNI
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 13:14:09
    2.噴火警戒レベル2の問題。現在の避難計画のベースである富士山火山広域防災対策基本方針(中央防災会議)が出されたのは2006年2月。この時はまだ噴火警戒レベルの導入(2007年末)の前だったので、当時の火山観測情報・緊急火山情報・臨時火山情報の3段階のアラートを前提として、
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 13:17:30
    2(続)避難計画が立てられた。その後、噴火警戒レベルが導入されたので、平常(レベル1)以外のアラートが4段階(レベル2〜5)となったが、これに対する富士山火山広域防災対策基本方針のフィッティングについての議論が行われないまま、
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 13:21:31
    2(続)暫定的に火山観測情報→レベル3、臨時火山情報→レベル4、緊急火山情報→レベル5と置き換えられて現在に至っている。つまりレベル2が宙に浮いたままになっている。一方、富士山は事前に火口位置が特定できない火山のため、噴火前にレベル2(火口周辺警報)は不要であり、
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 13:28:09
    2(続)噴火危険が高まった場合、気象庁はレベル2を使わずにレベル1をいきなり3に挙げる方針である(ただし、火口位置が定まった噴火後にはレベル2の使用もありえるとする)。行政も特段の防災対応の発動がないままレベル2に上げることには消極的で、気象庁の方針を追認している。
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 13:31:23
    2(続)しかし、富士山において噴火前にレベル2を使わない方針は社会に周知されていないし、登山シーズンの登山客のことを考えれば、レベル2での防災対応を定めて登山客の避難対策に使うことは有効であろう。そのこともこの協議会で検討してほしい。
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 14:01:09
    3.富士山における火山ガスのリスク。今回示された避難計画原案は「流下する脅威からの避難」「空からの脅威からの避難」の2本立てで、3つめの火山災害である「漂う脅威」つまり火山ガスに関する項目が抜けている。たしかに富士山の火口出現領域(ゾーン1)は居住地区から離れているため、
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 14:04:30
    3(続)火口からの火山ガスにさらされる危険は他火山よりは少ないだろう。しかし、居住地区の近くに火口が出現した場合や、噴出物から漏れ出す火山ガスのリスクを忘れてはいけない。1973年のアイスランドのヘイマエイ島の噴火では、犠牲者なく全島避難が完了したことになっているが、
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 14:09:26
    3(続)噴出物から漏れ出した火山ガスのために地下室で亡くなった住民がいたとの情報もある。火山礫や火山灰に厚く埋められた住居や避難所に屋内退避するような場合には、その危険を十分考慮する必要があるだろう。
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 14:15:32
    4.降灰が続く中での降雨による土石流の危険。土石流は噴火後に起きるものと思い込みがちであるが、噴火による降灰が続く中で雨が降った場合、当然のことながら土石流の発生可能性が高まることに留意してほしい。火山噴火というものは、つねに現象が複合して発生する事件ととらえてほしい。
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 14:21:05
    5.噴火中に起きる地震のリスク。宝永噴火では前兆として富士山周辺で震度4程度の揺れがたびたび起きる群発地震が発生したとみられるが、こうした地震は噴火中も起きえることを忘れてはならない。実際に、宝永噴火開始日の翌日12月17日夜と18日未明の2度、
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 14:24:02
    5(続)広い範囲で強震となる地震が起き、この地震によって三島で家屋が半壊したと東海道の旅日記のひとつにあることから震度5強<であったと思われる。この地震は有感範囲が広いことから宝永東海地震の余震のひとつとも考えられるが、将来の富士山噴火でも類似した状況はありえるだろう。
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 14:29:25
    6.登山客への危険周知の問題。そもそも登山客に危険を迅速に周知するシステムが現状では存在しない。2011年3月15日に富士山直下で起きたM6.4の地震の後、ずっと余震活動が続いているのに、その年の夏の登山が特段の注意の周知なく平常通り実施されたことは問題である。
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 14:32:08
    6(続)2011年2月のNZのクライストチャーチ地震が、その前に起きた大地震の余震のひとつであったことを忘れてはならない。もし3月15日の富士山直下の地震の余震活動の中で、少し規模の大きい余震が起きれば落石事故の発生は十分ありえたが、そうした危険は何も周知されなかった。
  • うさはかせ Prof.Lièvre @usa_hakase 2013-03-25 14:39:24
    7.山体崩壊が予知できた場合の避難の問題。2県コアメンバー会議での以前の議論で、山体崩壊が予知できた場合は今回の「富士山モデル」つまりラインとゾーンの組み合わせによる避難を組み合わせて実施するというところまでは合意が得られていたと理解するが、その後の議論が中断している。

コメント

カテゴリーからまとめを探す

「思い出」に関連するカテゴリー