【冒険を、手を、視線を】福間健二 2factory28

その場の思いつきのタイトルで、ほとんどプランなしに書いていって、しかも、7まで書いたところで、パソコンが動かなくなり、それを修理に出しているあいだ、休みました。そこで、さらに、どう行こうとしていたのかわからなくなった気がします。あえて言うと、三月十一日にいたるところでおこなわれた「祈り」の反対をやろうとしたのです。いつものことですが、無責任でいい、どこにも回収されない言葉を、と思いました。自分と世界の、それぞれのどうにもならない感じにちょっと濃い味付けをしたくなって、ドナとルーマニアを呼び出してしまった。ルーマニアは、行きたいとずっと思いながら、そのチャンスを逸してばかりいる国です。今回は、吸血鬼を出しそこなったのが残念。で、音楽は、ルーマニアのポップミュージックからANGEL の曲。 http://www.youtube.com/watch?v=251u0kD1VAA
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福間健二 @acasaazul

祈らない。ぼくは思うことができる。冒険を、二つのバケツのあいだの敏感な陣地に侵入する手を、そのすばやさ、やさしさ、美しさにとらえられる視線を。意識の問題じゃない。いくつもの冬と質問を使いつくしたいま、次の廊下に立っているのは激怒だ。(冒険を、手を、視線を1)#2factory28

2013-03-12 08:01:27
福間健二 @acasaazul

目を閉じる。この地上の多くの音からひとりの人間の声を聞きとる。たしかに。だが、目をあけると「未来」が終わっていて、記号だけの胴体が踊る。記号だけ。何も主張しない音楽だ。風が吹き、水が流れる。しゃがみこむな。若い泥棒Aになって逃げろ。(冒険を、手を、視線を2)#2factory28

2013-03-13 08:47:22
福間健二 @acasaazul

ぼくの吐く息が青をおびて渦を巻くページの上。逃げていくのは胸と腹がぼんやりと赤い世界のほうだ。しっぽをつかむ。でも、まだ何もしないよ。今日まで、みんな、何を読んできたのだろう。その埃と泥を洗い落としても、古い言葉からは逃げられない。(冒険を、手を、視線を3)#2factory28

2013-03-14 08:00:36
福間健二 @acasaazul

書くこと。ときどき、いやでいやでたまらくなるのは、何度も見た夢に閉じ込められそうになるからだ。通ってきた道。焼きなおしの花が咲き、犬が吠え、娘たちは笑いすぎる。家並みを背に、ビニール傘をもつ手の、火傷の怖がり方。何を殺したくない?(冒険を、手を、視線を4)#2factory28

2013-03-15 08:19:43
福間健二 @acasaazul

手がすることはだいたい足でもできる。彼女は、雨のなかで入れかわった他人の足でする冒険を考える。上の方から青みがかってきた世界の、大掃除。若い泥棒BとCを子分にして。そんな蹴り方しているとドナのようになるよ。ドナのようになりたいのだ。(冒険を、手を、視線を5)#2factory28

2013-03-16 07:41:45
福間健二 @acasaazul

見ること。埃と泥のむこうに、知っている種類のトゲを探して抜いてホッとしている場合じゃない。「怒れる若者」は未知の傷口をこじあける。地下通路が片付かないブカレストからきた嘘つきドナ。会うたびにちがう色の目でくしゃみする。下半身は、蛇。(冒険を、手を、視線を6)#2factory28

2013-03-17 08:56:22
福間健二 @acasaazul

いれずみ。ルーマニアでは、だれが竜なのだろう。卓上の皿、「独裁」がなつかしい現在は、書くことの苦痛がママリガのように盛られて。あれっ、食べて歩いて眠るだけでいいのか、この冒険。椅子から椅子への虹をあらそう内乱へと、蛇、うれしそうだ。(冒険を、手を、視線を7)#2factory28

2013-03-18 07:41:41
福間健二 @acasaazul

片付けと掃除。そこにふたたび生まれるものについて、ぼくは判断できない。「悲劇」は液体の侵入からはじまる。涙が、浪になって、つぎに虹を拒む凶器になる。なつかしい風景と愛すべき人たち。消えて、夢のなかにあらわれて、灰色の芯だけになる。(冒険を、手を、視線を8)#2factory28

2013-03-24 08:31:39
福間健二 @acasaazul

ブカレストの不良少女。消えて、地下帝国の若い泥棒たちの視線の先のポールに四肢をからませる女王になって、何年もたつ。NYにいた。神戸にもいた。ふたつの方向に引き裂かれる、のではない。視線の「歴史」。入ることと出ることをひとつにする。(冒険を、手を、視線を9)#2factory28

2013-03-25 09:13:51
福間健二 @acasaazul

きみの見た日本人。きみのさわった動物。どちらも、遅刻する。では、できなかった冒険を思う「未来」の演技はどうなるのだ。ぼくの死だけが出発して、サクラが咲いたのに冬の寒さがぶりかえして、この地上の夜は、踊れない胴体がゴロゴロしている。(冒険を、手を、視線を10)#2factory28

2013-03-26 09:20:31