キリスト教を通して考える国家観と宗教と日本

牧師が考える国家観と宗教の関係、それらと日本の特殊性、さらにグローバリズムとキリスト教の抱える問題も。
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masaki tomita @stayfoolish_me

ユダヤ人がヤハウェ信仰に、12部族それぞれの神や各地の土着の神をもっぱら吸収する形で一神教化していったプロセスは、ローマカトリック教会が北方諸部族の信仰をキリスト教に吸収していったことと似ているのではないかと思う。

2013-04-12 14:22:43
masaki tomita @stayfoolish_me

日本の古代の大和政権の形成は、古代イスラエルの宗教が、12部族のそれぞれの信仰を吸収する形で一神教化していったのとやや似ているが、日本の場合は天皇家の氏神を最高神として位置づけるにとどまり、完全に吸収したり排除したりということはなかったようだ。

2013-04-12 14:25:40
masaki tomita @stayfoolish_me

しかし、明治政府による君主制の推進のときと、昭和における太平洋戦争時の国家総動員体制のときは、日本人はかなり一神教化された宗教意識に統合されていたのではないか。いわゆる国家神道の時代、天皇を崇拝する一神教は、各地の神社を護国神社として天皇崇拝の礼拝所として統合していた。

2013-04-12 14:32:03
masaki tomita @stayfoolish_me

ユダヤ人が最初、一神教を編み出したのは、12部族を統合しイスラエル王国を樹立するためであったが、その後、王国は滅ぼされ、国土を失うと、彼らは民族統合を強めるために、さらにその唯一神教的性格を強め、トーラをはじめとする書物によって自分たちを縛る方向でガラパゴス化していったのだろう。

2013-04-12 14:38:34
masaki tomita @stayfoolish_me

これに対して、日本人はそこまでして唯一神教化する必要がなかった時代が少なかったのは、おそらく四方を海に囲まれているために、さほど政治的、思想的、宗教的な操作を加えなくても、自然に統一感・統合感を持てていたからだろう。

2013-04-12 14:41:24
masaki tomita @stayfoolish_me

また、大日本帝国政府が国家総動員をかけるにあたって、この地理的条件を有効に利用できたからこそ、「国体」という概念を提唱するのも容易であったと言えるだろう。日本列島と天皇制が日本人の宗教観の一神教的な側面であり、

2013-04-12 14:45:39
masaki tomita @stayfoolish_me

同時にいつもいつも一神教的に統合の努力をしなくても、なんとなく常に緩やかに統合が維持されていたのも、日本列島がこういう対立から切り離された地理的条件を与えていたからだろう。

2013-04-12 14:47:18
masaki tomita @stayfoolish_me

だから日本人は、この列島に少なからぬ愛着を感じているし、国家主義者がこれだけ自然が破壊され尽くし汚染され尽くしても、まだなお「美しい日本」とか「愛すべき郷土」といったフィクションを国民に信じさせることができるのは、この列島の地理的条件ゆえであろう。

2013-04-12 14:49:50
masaki tomita @stayfoolish_me

また、なんとなく緩やかな統合が守られているからこそ、常に一神教的統合を呼びかけなくても済んだために、日本にたくさんの神々が生まれたのだろうし、同じ理由で、多神教であるにもかかわらず、他国にはその神が存在しないということも、同じ理由から来ている。

2013-04-12 14:58:26
masaki tomita @stayfoolish_me

だから、日本人の宗教観を論じるとき、単純に多神教か一神教かという分類をあてはめるのは適切ではない。日本人はその両面を持っており、社会や歴史の必要に応じて使い分けてきたし、多神教でありながらヒンドゥーのように国際的多神教でなく、日本国内に留まった多神教という面を見なければならない。

2013-04-12 15:01:24
masaki tomita @stayfoolish_me

ユダヤ人は一神教的側面の極端な強化と、聖書という書物にアイデンティティの拠り所を託すことで、国土を失っても民族としての統合を失わず、世界に拡散してもガラパゴスでありつづけた。日本はそこまで宗教的努力をしなくても、島国という立地条件が日本人のガラパゴス化を維持しているのであろう。

2013-04-12 15:04:35
masaki tomita @stayfoolish_me

そして現在は、ユダヤ人のように世界に拡散しても統一した宗教とアイデンティティを保ち続ける民族とは違い、日本人はアイデンティティを保つ拠り所が国土でしかなく、自分の意志で主体的に宗教やアイデンティティを悩みつつ引き受けた民族に比べて、人生や運命や公共心において非常に頼りない。

2013-04-12 15:10:14
masaki tomita @stayfoolish_me

同じガラパゴスでも、ユダヤ人は世界に拡散したから、どこにいても異邦人なので、そういう状況でも生きてゆける強さを持っている。これに対して、日本人は「日本に住んでいるだけで日本人」という甘さが現在まで守られてしまったので、グローバリズム化の中で生き延びるタフさに欠けた人が多い。

2013-04-12 15:14:09
masaki tomita @stayfoolish_me

その日本の中でも、インテリや資産家は、自分でグローバリズムを生き抜いてゆく力を身につけるか、金の力でなんとかすることができるが、貧困者や学力競争の敗者は、「英語ができない」から「日本が好きだ」と言って、日本国内だけで生きてゆけるはずだということに望みをかけている。

2013-04-12 15:17:03
masaki tomita @stayfoolish_me

そういう貧困者や学力競争の敗者をナショナリズムでからめとって票を得ているのが、現在の右翼的な政治家たちである。が、彼らには本当に日本人を愛するという心は無い。なぜなら、彼らはグローバリズムについてゆけない弱者の票を「日本教」的プロパガンダでかき集めてはいるが、その一方で、

2013-04-12 15:20:28
masaki tomita @stayfoolish_me

その一方で、彼らはグローバル化を押し進める欧米列強にすり寄る政策しか取れないので、結局は国土の境界線を越えて、経済的な侵略を許してしまうだろう。そうなると、最も被害を受けるのは、彼らを支持したはずの、グローバリズムにおける弱者たちである。

2013-04-12 15:25:12
masaki tomita @stayfoolish_me

私はそういう考え方をしているので、右翼的な勇ましい政治家たちを支持して、同じように勇ましいことを言っている若手の人たちに、「あんたたちは裏切られると思うよ」と伝えたいんだけど、彼らの多くは理屈ではなく情緒で動く人たちなので、うまく伝わらない気がするのが残念だ。

2013-04-12 15:35:50
masaki tomita @stayfoolish_me

もともと宗教に対する関心から考えることを書き留めていたのに、いつの間にか政治的な話になってしまった。でも、宗教をあるグループの人びとに浸透させる際、政治が絡まなかったことはなかったのではないか。だから、そういう話題の展開は不自然なことではない。

2013-04-12 15:39:28
masaki tomita @stayfoolish_me

宗教に関することというと、なぜそんなことを考えているかというと、例えば日本キリスト教団のいわゆる「伝道派」の人たちは信じないかもしれないが、私はやはり日本でキリスト教が広まることを願っているから、日本人の宗教観に関することを考えている。

2013-04-12 15:46:28
masaki tomita @stayfoolish_me

これまで考えてきたことから、ざっくりまとめてしまうと、「日本人は日本の国土によって統一感を抱くことができており、その中で便利なご利益を提供する神々がたくさんいるので、わざわざ世界宗教という概念に関心を持ったり、人類全ての上にいます唯一の神へのニーズは無い」ということになる。

2013-04-12 15:57:50
masaki tomita @stayfoolish_me

そんな日本でもキリスト教の信者がにわかに増加したときが3回ある。1回目はキリシタン伝来期。この時代、キリシタンへの改宗者は非常に多かったので、日本人にはキリスト教は受け入れられないという断定は間違っているとはっきり言える。

2013-04-12 16:03:03
masaki tomita @stayfoolish_me

しかしこの時、天下統一を目指す秀吉に対立する九州勢がキリシタンだったことで、逆に情勢はキリシタン排除に傾いた。体制側・勝者側がキリシタンであれば歴史は変わっただろう。しかし、当時の日本の権力者はキリスト教を嫌い、キリスト教は排除された。

2013-04-12 16:07:35
masaki tomita @stayfoolish_me

2回目に日本にキリスト者が増えたのは、明治維新後、というより戊辰戦争後だろう。戊辰戦争は勝者・敗者共に日本のために戦った内戦である。しかし、勝者は天皇を担ぎ出して日本の正統派を自称し、敗者を逆賊つまり天皇の敵つまり国家への反逆者扱いした。東京招魂社に幕府軍の死者は祀られていない。

2013-04-12 16:13:42
masaki tomita @stayfoolish_me

戊辰戦争後に、主に敗者側の賊軍の士族からキリスト者になった者が多いのは、おそらく彼らが「日本」「天皇家」という国家統合の象徴とのつながりから切り捨てられ、自らの依って立つ根拠を相対化せざるを得なかったからではないかと思うがどうだろうか。

2013-04-12 16:16:42
masaki tomita @stayfoolish_me

敗者の士族たちの間には、日本への愛着と絶望が入り混じった思いがあふれ、日本への愛情を保ちつつも、その日本の政府からは逆賊として切り捨てられ、日本から国外に目を転じて、当時日本に大きな影響を与えた外国の宗教に感化されたのではないかと思うがどうだろうか。

2013-04-12 16:24:11