キリスト教を通して考える国家観と宗教と日本

牧師が考える国家観と宗教の関係、それらと日本の特殊性、さらにグローバリズムとキリスト教の抱える問題も。
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masaki tomita @stayfoolish_me

しかしその後、大日本帝国のナショナリズムは太平洋戦争の国家総動員体制で最高潮に達したと思われるが、この時、国内の全ての宗教団体は宗教団体法によって再編成され、大政翼賛体制に組み込まれてゆく。この時、天皇崇拝を拒み、国境を超えて平和を願う宗教者は徹底的に弾圧された。

2013-04-12 16:31:03
masaki tomita @stayfoolish_me

しかし、当時の日本のキリスト教会が滅亡の危機に瀕したわけではない。多くの教会、多くのキリスト者は大政翼賛体制に協力して生き延びたからだ。そのことの是非はここではとりあえず問題にしない。

2013-04-12 16:32:48
masaki tomita @stayfoolish_me

そして戦後、第3のキリスト教ブームがやってくる。これには、何と言っても敗戦が決定的要因になっていると思う。これまで信じ切っていた神国日本が負けたという絶望、原爆が与えた天罰の観念に基づく罪悪感、そして神と崇めていた天皇の人間宣言。これらにより、存在の根底が揺らいだのではないか。

2013-04-12 16:41:50
masaki tomita @stayfoolish_me

実際、古い賛美歌などを見ていると、日本のキリスト教用語が、日本の神道の用語に似ていることがわかる。戦後の日本のキリスト者の精神構造が、天皇を神とした一神教から、イエスを神とした一神教に単純に代数が入れ替わっただけで、方程式そのものは変わっていないように感じるのは私だけだろうか?

2013-04-12 16:49:58
masaki tomita @stayfoolish_me

そして、やがて日本が戦後の平和な時代を過ごす間に、再び日本人は意識的に一神教を選びとらなくても、周囲に国家神道から解放されたありがたい神々がいる環境に逆戻りし、キリスト教への改宗者はまた減ってゆく。

2013-04-12 16:57:04
masaki tomita @stayfoolish_me

戦後間もない頃、ブームに乗って改宗した「教会の団塊の世代」が元気なうちは、キリスト者の減少も深刻には受け止められていなかった。しかし、もうそろそろその世代も世を去る時期である。そこで日本のキリスト者人口が急落しているというわけだ。

2013-04-12 17:01:59
masaki tomita @stayfoolish_me

しかし、これまでざっと歴史を概観して、一神教が発展するのに必要だったのは、2つの要素だけだったように思う。1つは、政治的必要性から強制的に一神教的体制に持ち込む。もう1つは、民族や国境を越えた共通原理としてグローバル化に乗っかる。バランスは時により異なるが、要するにこの2つだ。

2013-04-12 17:11:55
masaki tomita @stayfoolish_me

この2つのうち、「政治的に強制的に一神教しか民の選択肢を無くさせる」ということは、今後は非常に難しいと思う。少なくとも自由主義の国々では、もうこのような政教一致路線は、少なくとも表向きはとることができないだろう。まして、多神教的要素で十分満足できる大多数の日本人には無理である。

2013-04-12 17:16:33
masaki tomita @stayfoolish_me

日本人は平和な時には多神教的風土に馴染んでいるし、その風土が島国的地理条件によって守られているし、平和でなくなった時には天皇を中心とした「日本教」とでも呼ぶべきものによって統合する。それ以外のパターンはこれまでこの国にはなかった。

2013-04-12 17:18:02
masaki tomita @stayfoolish_me

「日本教」には、多神教モードと一神教モードがあって、それが平時と有事の時にスイッチするのだと言えば、単純化し過ぎであろうか?

2013-04-12 17:18:47
masaki tomita @stayfoolish_me

とにかく、日本人は一神教モードになるときがないわけではないが、それは常に天皇を中心としたものであって、日本以外のものによってではない。それは日本の地理的要因にも根ざしている。

2013-04-12 17:20:45
masaki tomita @stayfoolish_me

一方で、世界宗教として成功をおさめた一神教は、国境や民族を超えたわかりやすい統一原理としての宗教として拡大した。キリスト教は植民地支配という政治的な要素の強い方法で西側世界に拡大したのに対し、イスラームはもっぱら経済的な要素の強い方法で東側に拡大したのではないだろうか。

2013-04-12 17:22:34
masaki tomita @stayfoolish_me

そしてユダヤ人は、独自の宗教心と聖書によって、どんなに世界中に離散してもガラパゴス化を崩さない、強力なアイデンティティを獲得した。これに対し、日本人は専ら地理的な要因に根ざす意識で、案外楽にガラパゴス化したアイデンティティを維持する事が今まではできていた。

2013-04-12 17:24:55
masaki tomita @stayfoolish_me

しかし、今後、グローバリズムという経済的な要素の強い植民地政策が自由主義各国を覆うようになると、そのような日本的なるものに拠り所を求めるしかない人は、経済的な弱者となり、社会的には敗者として隅に追いやられてゆくようになるだろう。

2013-04-12 17:27:32
masaki tomita @stayfoolish_me

そんなグローバル化した世界において、勝ち残る宗教とはなんだろうか? 一神教が世界宗教になりえたのは、政治的に侵略するか(キリスト教)、国際的な経済の波に乗るか(イスラーム)しか無かったように私には思える。しかし、政治的に宗教を強制することは、もう自由主義世界では不可能だ。

2013-04-12 17:30:27
masaki tomita @stayfoolish_me

となると、国境や民族を超えて活躍する人びとのニーズを満たす宗教でないと、社会の大勢に浸透することはできないということだ。結局、パウロたちのように、土着の言語ではなくギリシア語という国際語を使って、あちこち移動する人びとの宗教にならないと、世界宗教にはなれない。

2013-04-12 17:32:50
masaki tomita @stayfoolish_me

そして、日本もやがてグローバル化に呑み込まれ、意図的でも自覚的にでもなく、天皇とか国土とか先祖伝来の文化にもたれかかった形で日本的なものに拘泥している人は、滅びてゆくのではないか。むしろ、日本文化や伝統の良さを自覚的に意識し、それを国際的な言語で売り物にできる人びとが生き残る。

2013-04-12 17:36:22
masaki tomita @stayfoolish_me

宗教も同じで、グローバル化に乗り遅れる宗教は、いずれ弱体化する。「日本教」の信者は、右翼政治家に利用されるだけ利用されて、最後にはホームレスか兵隊か原発労働者にされて、使い捨てにされる。キリスト教が日本で「も」社会の大勢を占めたいと思うなら、グローバル化に乗らなくてはならない。

2013-04-12 17:39:45
masaki tomita @stayfoolish_me

しかし、日本人で経済的成功を収める者は、もともと自覚的にある宗教を引き受けたり、宗教の違いによる葛藤を経験していないせいか、無神論に傾く者が多いのではないかと思う。日本人にかぎらず、自分の力で成功を得たという自信のある者は、信仰心は持たないだろうと思う。

2013-04-12 17:41:58
masaki tomita @stayfoolish_me

そうなると、グローバル化された社会の勝者、あるいは勝者とまではいかないまでも、生き残る事のできる人に広まる宗教とは何だろうか。人は自分の力の及ばない所に、宗教的な存在や力を感じる。どこまで行っても人間の能力のおよばない所とは、どこだろうか? それがヒントになるのかもしれない。

2013-04-12 17:44:44