「それはお金に換算できない」福島民報4月14日

メモ
115
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

実際に,重度の身体障害者が被害者になった場合,損害額は極端に少額しか認められないのが一般的です。他方,医者や弁護士が被害者になった場合には,数億円に及ぶ逸失利益が認められることも少なくありません。

2013-04-15 01:23:52
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

もちろん,例外的な裁判例や和解例もありますが(http://t.co/zxOuBFvxBzなど),現在もなお,裁判実務の主流は差額説です。

2013-04-15 01:24:07
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

同じ理由で,差額説に立てば,今回の被害のもっとも重要な点である「生活自体の破壊」は,金銭的差額に表せない不利益なので,やはり損害と扱いにくいのです。

2013-04-15 01:25:30
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

実は,差額説は,資本主義社会における商品交換経済の仕組みを損害論に当てはめた帰結そのものです。なぜなら,商品交換経済の中では,ほとんどの価値は,「交換価値」として把握されるからです。

2013-04-15 01:26:53
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

例えば,差額説では,人が死亡した場合の損害は,その人が生み出す商品としての労働力の価格によって決定されることになるのです。

2013-04-15 01:27:25

「『包括請求方式』は現状困難」

TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

もちろん,差額説のこのような損害の捉え方は,人間の尊厳に反して不当であるとの考え方は,学説上は従来から強く主張されています。

2013-04-15 01:28:06
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

例えば,私の恩師の1人である神戸大学の西原先生は,人身損害の場合,損害として把握すべき対象は金銭的差額ではなく,人の健康や生命の侵害そのものである,と主張されてきました。これを西原理論といいます。

2013-04-15 01:28:24
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

西原理論によれば,人の健康や生命の侵害それ自体が「非財産的な損害」ですから,「金銭的差額」という枠に囚われずに,被害の実態に応じた損害の算定が可能です。

2013-04-15 01:28:40
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

西原理論は,その後,各種の公害訴訟において,包括請求方式(被害者に生じた損害を,個々の被害の金銭的な差額に分割せず,生活全体の被害を包括的に把握して金銭評価すべきだとの考え方)として発展していきますが,現在でもなお,裁判上は正面から認められている訳ではありません。

2013-04-15 01:28:56
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

現在の民法学者がなすべき事は,このような「差額」にとらわれずに被害の実態を把握しうる損害論を理論的により明確化し,実務が受容しうるものに高めていくことであると考えています。

2013-04-15 01:32:17
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

このための試みのひとつが,立命館大学の吉村良一教授の最近の論文「原発事故被害者の完全救済を目指して」(『勝つまで闘う』馬奈木昭雄弁護士古稀記念出版86頁以下)です。この論文の内容は別の機会にご紹介させて頂きます。

2013-04-15 01:35:39

つづきはこちらのまとめで↓

まとめ 福島第一原発事故 差額説が持つ問題点 高嶌さん解説 スタディさん@study2007 の質問に対する高嶌さん@TAKASHIMA724 のツイートをまとめました。 2035 pv 42 1 user

次回のテーマは「勝つまで闘う(疲れないように)」コツについて

@tigercatver2

↓水俣と諫早湾、玄海原発の馬奈木昭雄弁護士。 ご子息の馬奈木厳太郎さんも弁護士として福島でご活躍されているはず。

2013-04-15 01:42:35
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

@tigercatver2 さすが虎猫提督閣下。よくご存知ですね。

2013-04-15 01:42:10
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

@tigercatver2 ちなみに,私の関連する消費者保護の領域でも,企業相手の訴訟は,「勝つまで闘う」というこの本の題名そのものの活動です。

2013-04-15 01:44:54
@tigercatver2

@TAKASHIMA724 阪口由美さんという西日本新聞記者さんの著作がありましたね。というか元御用ですから、体制側が言う市民派弁護士さんはだいたい同じメンバーですので記憶がありました。http://t.co/FAUt6b9Kzj

2013-04-15 01:49:06
@tigercatver2

「弁護士の仕事は過去に起きた物事の清算ではない。未来への取り組みです。最初は損害賠償から始まり、被害未然防止のための事業差し止めまで到達する。さらに地域の再生」→勝つまで戦うとは別の「たたかい続ける」より。

2013-04-15 02:02:22
@tigercatver2

「 実現させるのは「お上」ではなく、被害者を中心とした地域全体の運動、国民です。私たちの取り組みの真価がフクシマで問われ、検証されようとしている。まさに、たたかいは続いていくのです」(前同)

2013-04-15 02:02:55
@tigercatver2

こういう法曹(例えば髙嶌さんとかも含めて)が来るのが厄介だったのが、ダムや高速道路だった訳で、だから市民運動をして、訴訟までして原発差止めで戦っている当事者達がツイッターで「ずっと考えていると疲れる」と言われると、向こう側はほくそ笑むし、切り崩しのチャンスになる。

2013-04-15 02:14:07
@tigercatver2

国交の役人たちは、例えば公共工事の落札率を調べ上げた市民オンブズマンをよく「正義の味方」と揶揄していた訳で、東電の水発も、道路公団もその辺の認識は同じだったと思う。

2013-04-15 02:20:59
@tigercatver2

だから常に「怒り」は保持しなければならないと馬奈木昭雄弁護士。その「怒り」というのは、単に激発しろというのではなく、権威とその勾配による理不尽に対する抗う心を持てということかと。 それぐらい相手は強大であるということ。艱難辛苦の果てという感じ。

2013-04-15 02:25:35