「福島県での甲状腺がん検診のこれまでの結果で、甲状腺がんの発生が多発と言えるのか?」by kumikokatase への牧野さんの評価

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Jun Makino @jun_makino

http://t.co/7jn49hXn6y 福島県での甲状腺がん検診のこれまでの結果で、甲状腺がんの発生が多発と言えるのか? とりあえず論理のおかしいところを簡単に。

2013-05-03 15:03:25
Jun Makino @jun_makino

http://t.co/0DOqT83g1O この論 文 から成人の検診における超音波検査における甲状腺がん発見確率(有病 割合)を 0.49% としている。

2013-05-03 15:03:27
Jun Makino @jun_makino

で、それを「全年齢」平均の年間発生率である 10 万人あたり 7.1 人で わって平均有病期間を 70 年としている。

2013-05-03 15:03:29
Jun Makino @jun_makino

で、それを福島県での甲状腺調査にあてはめて、年間発生率 100 万人に 1 人で今回の調査で 38000 人で 3 人 ならコンシステントであろう、と結論してい る。

2013-05-03 15:03:31
Jun Makino @jun_makino

というのがこの人の論理。おかしいところは以下の 3 点くらいかな ( 他に もあるかも )

2013-05-03 15:03:33
Jun Makino @jun_makino

第一に、上の論文での甲状腺がん診断基準と、福島の調査のそれは同じ という保証はない。福島の調査では「甲状腺がんの疑いがある」 7 名をあ わせた 10 名の平均の腫瘍サイズが 15mm だが、上の論文はこの 0.49% の数字 についてはサイズの言及がない。

2013-05-03 15:03:35
Jun Makino @jun_makino

サイズ言及はしかし全くないわけではなくて、著者らの調査で 10mm 以下、 11-20mm 、 21mm 以上の 3 グループに対して 54, 127, 60 例 の穿刺吸引細胞診を行い、 23, 22, 12 例が悪性だった、とある。

2013-05-03 15:03:37
Jun Makino @jun_makino

10mm 以下は腫瘍ありの人数の 7 割程度を占めるが、 細胞診した割合は少ない。この調査での発見率は 0.38% と若干低くなってお り、これは他の調査ではよりサイズが小さいものも発見していることを 意味しているかもしれない。

2013-05-03 15:03:39
Jun Makino @jun_makino

年齢もサイズもわからない 0.49% という数字よりは、その辺が明記され ている 0.38% を使うべきと思うので以下そちらで。

2013-05-03 15:03:41
Jun Makino @jun_makino

そうすると、上のサイズ分布からは、平均が 10mm よりはだいぶ大きいで あろうから福島で 15mm と いうのとは同じようなものとも考えられる。

2013-05-03 15:03:43
Jun Makino @jun_makino

が、平均年齢は 50 歳とあるので、この時に「全年齢」平均の年間発生率 を使うのは明らかに間違いであり、実際の年齢分布を考慮した数字を使う必要 がある。まあ、でも、 7 が 10-11 に変わるくらいだと思うけど。

2013-05-03 15:03:45
Jun Makino @jun_makino

最後に、福島での発見数を 3 として、細胞診では悪性の可能性が高いと されている 7 を無視するのは論文データとの比較としては適切ではない。 論文では細胞診で悪性なものを癌として数えているので、同じ基準で比較する なら福島では 10 名となる。

2013-05-03 15:03:47
Jun Makino @jun_makino

というわけで、このブログでの見積もりは、 0.49 を 0.38 に置き換え ると 1.3 倍、発生率の 10 万人あたり 7 を 10.5 にするとさらに 1.5 倍、 福島での甲状腺癌発生を ( 論文と比較可能な数にするために )10 とするとさらに 3.3 倍。

2013-05-03 15:03:50
Jun Makino @jun_makino

つまり、相対的に福島での発生率を 6.5 倍ほど過小評価しているように思われる。

2013-05-03 15:03:52
Jun Makino @jun_makino

平均年齢 50 歳程度のグループでの平均有病期間 ( ここでは、超音波 + 細胞診では発見されたであろうものが実際に発見されるまでの時間、という ことになる ) が 40 年なり 70 年だったとして、 18 歳以下のグループについて 同じ数字を適用していいかどうかはわからない

2013-05-03 15:57:00
Jun Makino @jun_makino

一方、普通だと実際に発見されるのが例えば 10 年後だとすると、その時 には年齢が 10-28 歳になっているので発生率としてはその年齢のを使うべきで 0-18 歳のを使うのは算数としておかしい。これは確か NATROM さんがだいぶ前に 指摘していたような。

2013-05-03 15:57:03
Jun Makino @jun_makino

なお、以下宣伝ですが、私の書いた「科学」 5 月号の記事ではその辺まで考慮して検討してます。

2013-05-03 15:57:07
Jun Makino @jun_makino

https://t.co/WVaLZ5IUjA 私の指摘の肝心な点である津田氏の「長めの7年」という代表的Dの選択と方法への1桁違い疑惑は解消していませんね。

2013-05-03 17:05:29
Jun Makino @jun_makino

まあ、私がここまでで述べているのは片瀬久美子氏の方法の1桁違い疑惑であって、津田氏の方法が適切かどうかということではない。 ( ブロックされてるからメンションとかしない )

2013-05-03 17:05:31
Jun Makino @jun_makino

なお、「科学」 5 月号での平均有病期間のとりかたについての津田氏のロジックは、実際に専門家が切除が必要という判断をした、ということは平均有病期間が寿命程度とかではなくもっと短いことを意味するであろう、というもの。

2013-05-03 17:05:33
Jun Makino @jun_makino

片瀬氏のブログ記事は、このロジックに対する有効な反論にはなっていない。比較対象の数字は 0.49% と 0.38% のどちらも悪性と診断されただけで切除されたものではないから。

2013-05-03 17:05:35
Jun Makino @jun_makino

https://t.co/NWKHeg6Q7Z 何故なら、津田さんは、最小の人数3人で長めの7年を採ってもコレなんだ、と言いたいんだから、それに従えばどうなるかをまず示さないとアカンねんから。

2013-05-03 17:54:17
Jun Makino @jun_makino

であるとすれば、「 3 人」に対応すると考えられる数字をもってきて比較するべきであり、「 10 人」に対応すると考えられる数字をもってきてもなにかを示したことにはならない。

2013-05-03 17:54:27