【憲法記念日】政治学たんの憲法の背景となる政治思想や政治史講座

備忘用
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政治学たん @seizigakutan

憲法記念日ということで憲法の背景となる政治思想や政治史を扱いましょうかね。

2013-05-03 17:20:13
政治学たん @seizigakutan

まず、主権論からです。人類は群れで暮らし、共同体を形成していました。そのうちの技能を持った人間とそうでない人間とで経済や権力の格差が生まれ、一番偉いリーダーのもとで村や都市国家レベルのものができました。共同体同士の争いによる征服や連合によって強大な国家の君主が登場します。

2013-05-03 17:23:37
政治学たん @seizigakutan

当初は様々な共同体をたばねるだけのトップに過ぎなかった君主が絶対王政を始めるなど、中間団体への支配力を強めていきます。その中で中間団体や外国からの影響力をシャットアウトするために王権神授説による主権論が唱えられました。

2013-05-03 17:32:24
政治学たん @seizigakutan

トマス・ホッブズは主権を神由来ではなく個人の由来であるべきだと考えて、「自然状態」というフィクションを考えました。自然状態ではみんなが違う考えを持ち正義が一定でないため、相互の自己保存欲求による万人の万人に対する闘争が起こってしまうと考えました。みんな自然権を放棄すべきと言います

2013-05-03 17:34:50
政治学たん @seizigakutan

自然権をみんなで放棄して、王様に渡します。これでとりあえず自己保存は最低限守られるようになると考えました。しかし、一旦社会契約をしたら最後、王様の支配は甘んじて受けなければいけません。

2013-05-03 17:35:55
政治学たん @seizigakutan

それでは嫌だと考えたのがロックです。ロックは自然状態をそれよりはマシなまあまあ平和だけどある程度に危険な状態と思いました。その危険を取り除くために社会契約をして、出来た政府は国民の財産を保護します。しかも、政府は国民に都合が悪くなったら取り替えて良く、議会が第一だとしました。

2013-05-03 17:38:07
政治学たん @seizigakutan

それをもっとラディカルに推し進めたのがルソーです。彼は自然状態を満ち足りて平等な理想社会とした一方で、文明が進んで退廃も進んだとしました。これを防ぐために社会契約をして国を作ります。 国は住民の意思の総和である全体意志ではなく、理性に導かれた善なる一般意思に基づくべきだとしました

2013-05-03 17:40:02
政治学たん @seizigakutan

ただ、ロックやルソーの考える国は、これだけではかなり不安定です。 一旦社会契約してもできた政府を短期間で何度も取り替えたりしたら政治は安定しません。また、ルソーの思う国は一般意思を結局国民に押し付ける独裁的な面も存在します。フランス革命の独裁者ロベスピエールはルソー主義者でした。

2013-05-03 17:42:11
政治学たん @seizigakutan

どうも、人間の理性や自然権といったものはかなり怪しいと様々な批判がなされます。理性という名の宗教支配だと指摘したエドマンド・バークや、自然権や社会契約などフィクションに過ぎないと指摘したジェレミー・ベンサムなど、イギリス人はかなりフランス革命に批判的です。

2013-05-03 17:44:24
政治学たん @seizigakutan

人権を認める高らかな宣言を掲げたフランス革命憲法とは違う憲法を持つイギリスは、そもそも不文憲法です。権利章典やマグナ・カルタなど時の王様のサインがそのまま法典になっています。 王様が認めた権力からの自由という伝統を守ろうという立場なんですね。

2013-05-03 17:46:42
政治学たん @seizigakutan

こうした、権力からの自由を守る立場での法の考えを法の支配と言います。それに対して法を作った主権者の命令に法に基づいて従うべきだという発想が法治主義の流れになります。後者は、例えばユダヤ人を迫害する法を作って国民に従わせたナチスのものが典型例です。

2013-05-03 17:48:31
政治学たん @seizigakutan

となると、憲法典に対する考え方もだいぶ異なります。法は自然にできたのか否か、経験的に考えるか人間の理性を信頼して合理的に考えるのか、歴史は偶然の積み重ねなのか法則なのか、普遍なんて疑うのか信じるのか、イギリスの憲法とフランス革命時の憲法にはこれだけの価値観の違いがあるのです。

2013-05-03 17:51:52
政治学たん @seizigakutan

アメリカ憲法は成文憲法ですけども、作成者のマディソンやハミルトンはイギリス的な自由主義・保守主義者で人間の能力・理性というものを疑っていたため、民主政治に対してはかなり批判的に憲法を考案しました。ドイツはそれに対して君主の能力を信じる君主主権の欽定憲法ができました。

2013-05-03 17:53:58
政治学たん @seizigakutan

実は、君主主権も人民主権も主権があって主権に従うべきだという考えでは実は近いのです。 簡単に言えば少数の専制か多数の先生の違いということでしょうか。 ドイツの皇帝は政治にいろいろ口を出して失敗しましたし、逆にワイマール憲法も主権者の国民がナチスを支持してやはり独裁になりました。

2013-05-03 17:56:02
政治学たん @seizigakutan

大日本帝国憲法は、こういう意味ではなかなか曲者でした。欽定憲法で君主主権に見えながら、運用面では米英的な法の支配によることができるように工夫されていました。天皇は政治に口出しをせず、憲法が天皇を含むすべての国民を拘束するというシステムは、作成者の伊藤博文たちの意図でもありました。

2013-05-03 17:58:07
政治学たん @seizigakutan

君主との関係は絶妙な大日本帝国憲法は、実はプロイセン憲法の元となった立憲君主国ベルギーの憲法もかなり参考にしています。 しかし、議会や陸海軍など様々な機関の調整が元老が衰退・死去するとできなくなり、内閣を無視して勝手に暴走するという致命的な弱点を抱えていました。

2013-05-03 18:00:01
政治学たん @seizigakutan

大日本帝国憲法は伊藤博文ら上層部が作って国民に一方的に発布したわけですが、今度はGHQが作って日本に押し付けたわけで、国民主権を謳いながら実は国民によってできたわけではありません。帝国議会は通過しましたが、当時は公職追放であまり議員がいませんでした。

2013-05-03 18:03:14
政治学たん @seizigakutan

とはいえ日本の一番大事な国体である天皇制はなんとか維持されて、明治時代から憲法で認められた(但し、法の範囲という弱点があったため、治安維持法などが出現した)権利も認められています。なんとかどうにか運用して行くしかありません。

2013-05-03 18:05:09
政治学たん @seizigakutan

国民主権ということは国民が民主主義の名のもとに軍国主義時代に軍や官僚の独走を許してしまうかもしれませんし、逆に憲法九条で自衛権が怪しい中で侵略戦争を受けて滅ぼされてしまうかもしれません。 軽軍備で、かつ国民の不満を抑えるために経済成長と社会保障の充実が必要、難しいですね。

2013-05-03 18:07:08
政治学たん @seizigakutan

朝鮮戦争が起き、日本の弱体化路線を大いに後悔したマッカーサーに対して、吉田茂は憲法を逆手にアメリカ軍による保護を勝ち取り、岸信介は不平等な日米安保条約を改正して対等にしました。これで経済に集中できるようになって高度経済成長の条件が整うことになりました。

2013-05-03 18:09:28
政治学たん @seizigakutan

しかし、ベトナム戦争の戦況悪化と金流出に悩んだアメリカは金交換停止と中国接近の二つのニクソン=ショックを起こし、双子の赤字に悩む中債務国に転落し、プラザ合意でなんとか支えられるまでに弱体化しました。しかも、ソ連崩壊で敵を失った中で日本経済を攻撃するジャパン・バッシングを始めました

2013-05-03 18:11:53
政治学たん @seizigakutan

私も政治史に関して世界史たん、政治思想に関して倫理たんとはよくおしゃべりをしますね。 勿論、政経たんをはじめ法学たんや経済学たんなど社会科学系のbotたちとは分野が結構かぶります。 政治学は人文社会双方にまたがるということですね。

2013-05-03 18:12:07
政治学たん @seizigakutan

しかも、湾岸戦争で国際貢献を求められて、北朝鮮の核危機や中国の台頭及び周辺諸国への影響力拡大など、確実に東アジア地域の蓋然性は高まっています。 アメリカの力が落ちる中、自力である程度防衛しなければならない時代がやってきたと言えます。

2013-05-03 18:18:46
政治学たん @seizigakutan

私は今の憲法に対して人権や国民主権などがきちんと自由主義・法の支配などで暴走できぬようにできているか、守られるべき国民の権利は大丈夫か疑問なのでそこは調整してほしいですが、解釈でなんとかなる部分はあります。 ですが、憲法九条の集団的自衛権は解釈ではかなり難しいと思います。

2013-05-03 18:21:09
政治学たん @seizigakutan

人権や主権、ねじれ国会で機能が問われる参議院などの統治機構については私は考えがまとまっていませんし法学たんなどの専門家に聞かないとわからないですけども、集団的自衛権に関してはなければ不味いと政治学的に思っているので、ここだけはいじってほしいと思います。

2013-05-03 18:23:08