国立デザイン美術館について2

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Jo Hashiguchi @johashiguchi

(1)先日、国立デザイン美術館をつくる会のシンポジウムが終わって、宮島達男さん @tatsuomiyajima に挨拶をして帰ろうと思い、待っていると、それまで宮島さんとお話をされていた女性が私にすれ違いで「確かにそういう時代かもしれませんね」とおっしゃった。

2013-05-13 14:05:38
Jo Hashiguchi @johashiguchi

(2)「時代」という言葉が私の心に凄く響いたのを覚えている。私は、「国立デザイン美術館」を「公設民営方式」で新たな認定NPOが運営したほうがよいと発表した。何か意見を述べる場合、その人の背景にある思想やプリンシプルを聞き手に示さなければ、その意見は単なる安っぽいものとなる。

2013-05-13 14:05:42
Jo Hashiguchi @johashiguchi

(3)そして、自分の思想やプリンシプルは時代の流れを的確に捉えている必要がある。そのシンポジウムで私の発表時間は非常に限られていたため、テクニカルな事柄だけしか話す事は出来なかった。だから、自分のバックにある考えをロゴスで言うことはできなかっため、ここで簡単に言おうと思う。

2013-05-13 14:05:45
Jo Hashiguchi @johashiguchi

(4)昔から「大きな政府vs小さな政府」という考え方の対立・議論は続いている。戦後、国民に安心・安全の提供のため、政府の役割は非常に重要であった。その過程で政府は徐々に大きくなっていき、今や一年間国を運営するのに膨大な予算を必要とするようになった。

2013-05-13 14:05:48
Jo Hashiguchi @johashiguchi

(5)ところが、政府が肥大化した結果、日本は膨大な財政赤字を抱えることになった。さらには、行政の効率性、市民の多様なニーズへの対応に疑問が持たれ始めるようになり、そこで登場したのが先日お亡くなりになった英国のサッチャーであった。

2013-05-13 14:05:50
Jo Hashiguchi @johashiguchi

(6)そこで、肥大化しすぎた行政のスリム化、民間主体・資金の活用というNPM(新公共経営)という考え方が登場した。世界を見渡すと使い方に差こそあれ、どの先進国も同じような方向性で時代が進んでいる。日本は遅れに遅れ、最近ようやっとその考え方を取り入れるようになってきたと言える。

2013-05-13 14:05:53
Jo Hashiguchi @johashiguchi

(7)NPMには、市場メカニズムを再活用しようという考え方がある。維新の会やみんなの党、あるいは安倍内閣はこの考え方を重視していると言える。そして、私もこの考え方を受け入れなければならないと思う。行政サービスも民間ができるものは民間に任せた方が結局は国民のためになる。

2013-05-13 14:05:56
Jo Hashiguchi @johashiguchi

(8)しかし、高い固定費を要するインフラ系産業には、市場メカニズムが働きにくい。経済学では「費用逓減産業」という。このようなものは国が安定した供給をする必要が今まではあった。が、もしこの固定費の問題を解消できたならばどうなるだろうか。ここから「国立デザイン美術館」の話に戻る。

2013-05-13 14:05:59
Jo Hashiguchi @johashiguchi

(9)固定費という負担がないとして、運営主体は行政がよいか、あるいは民間NPOがよいかという議論である。私は民間資金を活用でき、効率的かつクリエイティブに運営を行い得る民間NPOが良いと思っているために「公設民営方式」がいいのでは、と先のシンポジウムで問題提起をした。

2013-05-13 14:06:01
Jo Hashiguchi @johashiguchi

(10)このような考え方の背景を口答で(しかも短時間で)述べるのは容易ではない。この問題に関しては、1本のレポートが書けるくらい重要な論点である。すれ違いの女性の方がおっしゃったことを心に留めて、今からの時代はどうなるのかを考え、議論していかなければならない。

2013-05-13 14:06:04