多細胞生物と単細胞生物―「動物」以前の進化史

多細胞生物が生まれ、「動物」になるまでの原初の進化史についての読みやすい解説。特に多細胞生物と単細胞生物との関係性について。
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中埜長治🏨オーバールック @borisbadenov85

口と肛門が別れていることは物凄く画期的なことなんだが眠いので眠る。

2013-05-15 04:06:37
中埜長治🏨オーバールック @borisbadenov85

人間の作る施設を眺めたらわかるが、大抵の施設は出入り口が複数ある。機密性や防犯といった、施設本来の機能とは別のところに焦点が当たった施設は出入り口が一つだけになる。出入り口は複数ある方が便利なのだ。

2013-05-15 21:36:47
中埜長治🏨オーバールック @borisbadenov85

消化器の役割は、内部に入ってきた食物を、各種酵素で分解して細胞が摂取できる単分子の大きさにすることだ。こう書くと非常に簡単なように見えるが、ご存知の通り、人間の消化器は唾液でデンプン、胃液でタンパク質、膵液で糖分とタンパク質、胆汁で脂肪と、食物の消化は複数の酵素が必要だ。

2013-05-15 21:47:46
中埜長治🏨オーバールック @borisbadenov85

刺胞動物のような袋状の消化器だと、出した酵素と食物、そして食物の未消化物が滞留するので、例えばタンパク質分解酵素がデンプン分解酵素を分解してしまったり、どうでもいいうんこに消化酵素が絡み取られるといった非効率が生じる。食物は順序良く分解されてうんこになる方が効率が良いのだ。

2013-05-15 21:51:56
中埜長治🏨オーバールック @borisbadenov85

さらに、自分のでも他人のでもいいので口と肛門を眺めてみよう。同じ「穴」なのに随分違う構造をしている。口は食べ物を取り込み、溜め込まず、機械消化がし易いようにダイナミックに動ける形をしている。一方、肛門は排泄物を溜め込み、短時間だけ放出し、内臓の露出を最低限にする形をしている。

2013-05-15 21:58:07
中埜長治🏨オーバールック @borisbadenov85

つまり、食物を取り込む穴と、排泄物を出す穴は異なる要請を受けている。刺胞動物は、口を摂食にも排泄にも使えるように対応して現在まで生存してきているが、我々のご先祖は役割を分けることにした。

2013-05-15 22:01:23
中埜長治🏨オーバールック @borisbadenov85

排泄の役割から解放されると、消化器の入り口は入り口として色々な形をとる可能性ができた。ゴカイは吸い込むような口を維持したが、一枚貝やウニ、ヒトデは「齧る」「小削ぐ」という凶悪な摂食器官を採用するものが現れた。

2013-05-15 22:33:31
中埜長治🏨オーバールック @borisbadenov85

「石にへばりついておけば食べられない」「細胞口より大きければ食べられない」というその当時主流だった防衛手段はノコギリやペンチのような歯の前に崩壊した。タニシやウニは無慈悲な殺戮者として台頭した。

2013-05-15 22:38:41
中埜長治🏨オーバールック @borisbadenov85

「原始的な動物」は皆、苔を小削いで食べたり、泥や土、死体を溶かして吸って生きている。実にみすぼらしい。しかし、彼らが登場した時代は、原生動物や原生植物が「普通」の生物だった時代なのだ。彼らは巨大で、あらゆる防御を無効にする怪獣だったのだ。

2013-05-15 22:47:56
中埜長治🏨オーバールック @borisbadenov85

そして、時代はくだり、動物たちは、小さな住民を貪ることに飽き、動物同士で食い合いを始めた。原生生物を石から小削ぐのに使った歯を、今度は他の動物を破壊する兵器として使うようになった。動物達は柔らかい組織を歯から守るため、固い殻に身を包んだ。カンブリア爆発である。

2013-05-15 22:54:46
中埜長治🏨オーバールック @borisbadenov85

これ以降の流れは有名である。三葉虫がイカに食われ、魚がイカを食い、陸地にあがって両生類、恐竜、人間である。

2013-05-15 22:59:55
中埜長治🏨オーバールック @borisbadenov85

進化史で、人間のご先祖はだいたい負け組で、逃げた先で化けて大きくなるというのを繰り返している。魚の時代はイカに負けて陸に上がったし、ネズミの時代は恐竜から逃げ回っていたし、猿をやめた頃は森から追われて肉食獣に追い回されている。

2013-05-15 23:13:07
中埜長治🏨オーバールック @borisbadenov85

真核生物になってから多細胞生物になる過程も、こんな風に逃げ回った末だったならば、人類に判官贔屓の性質が備わっているのは遺伝子にご先祖の苦悩の記憶でも宿っているのかもしれない。まる。

2013-05-15 23:15:22
中埜長治🏨オーバールック @borisbadenov85

生物学で内臓と個体発生の話をするとき、肛門の話題は避けて通れない。

2013-05-15 23:25:31