モーサイダー!~Motorcycle Diary~Episode of Spring VI~
- IngaSakimori
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「だっ……だ、誰が中二病だ!! ゴスロリ着て、変な世界に入り込んでるお前に言われたくない!!」 #mor_cy_dar
2013-05-17 20:50:51「はあー!? ゴスロリはれっきとしたファッションです! しかも現代日本独自の! いっぽう中二病の起源は神話までさかのぼりますけど!? 一緒にしないでくださいます!?」 #mor_cy_dar
2013-05-17 20:50:55「うるせえ! そんな格好でいちいちお茶運ばせて━━「ですわ♪」とかやってる方が中二病だ! 悔しかったら、学校でも同じことやってみろ! 笑ってやるから!!」 #mor_cy_dar
2013-05-17 20:51:18「学校には制服を着ていくものですわ! あと、今の発音すんごくむかつくんですけど! そんな媚びを売ったイントネーションで喋ったことなんてありませんから! 勘違いしないでくださいます!?」 #mor_cy_dar
2013-05-17 20:51:32「なーにが「しないでくださいます♪」だ! この語尾自体がもういろいろアレだろ! 中二病そのままだろ!!」 #mor_cy_dar
2013-05-17 20:51:46「だから、違うと言っているでしょうが!」 「いいや、違わないね!」 「ぐぬぬ……」 「ぐぅぅ……」 #mor_cy_dar
2013-05-17 20:51:54日曜の午後。 多くのライダーが集まる場所で。いや、二輪乗りだけではない。都民の森ほどではないにしても、コンパクトカーの家族連れもいる場所で。 #mor_cy_dar
2013-05-17 20:52:18背の高い若者とゴシック・ロリータ姿の美少女が、大声でののしり合う。顔をつきあわせて睨み合っている。 #mor_cy_dar
2013-05-17 20:53:16何名かの見物人が、カメラを構えている。 おそらくものの30分後には『大多磨きたら、なんか痴話喧嘩しててワラタwwwww』というタイトルで、動画投稿サイトにあがっていることだろう。 #mor_cy_dar
2013-05-17 20:53:29「ま、まあ━━今回は痛み分けですわ。 志智。お互いの言葉を撤回することで決着をはかりたいと思いますけれど、いかが?」 「……そういうことにしておいてやるけどさ。 最初に言い出したのはお前の方だからな」 #mor_cy_dar
2013-05-17 20:54:39「意外と根に持ちますわね。 でしたら、わたくしからも少しフォローして『おいてやる』としますけれど、たとえ中二病くさくても志智はなかなか美形ですし、ハマっていることは事実ですわ」 「褒めているのがけなしているのか、それだけ教えてくれ」 #mor_cy_dar
2013-05-17 20:55:24「中二病でも格好よければ許されるということです」 「ふーん、そりゃどうも」 「……自分の容姿に自覚がありませんのねえ。これだからたまに変な虫が……追い払うのも大変ですわ……」 #mor_cy_dar
2013-05-17 20:56:08「え? なんだって?」 「何でもありません。それじゃあ、もう一つの忠告ですけれど」 #mor_cy_dar
2013-05-17 20:57:27「またくだらないこと言ったら、本気で怒るぞ」 「それは素敵ですわね。わたくしも別に本気ではありませんでしたし」 にっこりと笑った亞璃須に志智は眉をひそめたが、数秒たってからその意味を理解する。 #mor_cy_dar
2013-05-17 20:57:39「い、いや待て。別にそういうことじゃないぞ」 「いえいえ。 つまり、わたくしと志智は運命の相手同士にふさわしく、少しの行き違いでは乱れない、声を荒げてはいてもそこに怒りはなく、強い絆が━━」 「うるさい。黙れ。とっとと言え」 #mor_cy_dar
2013-05-17 20:57:55「……まったくもう。 それならば、端的に言いますけれど、志智。来週の勝負ですが、あのR1-Zが同じ250ccのバイクだということは知っていますわね」 「ああ、それがどうしたんだよ」 #mor_cy_dar
2013-05-17 20:58:29排気量だけではない。 その車体のサイズも、後ろから見たテールの細さも、2気筒のエンジンであるという点も、VT250スパーダとR1-Zはよく似ているといえる。 #mor_cy_dar
2013-05-17 20:58:49(前よりよっぽど公平な勝負だよな。 まさか、前はわざわざ口出ししてきたくせに、今回はやめろとか言うんじゃないだろうな) 亞璃須は━━きっと、勝負を受けた自分に満足している。 #mor_cy_dar
2013-05-17 20:59:09確かめたわけではないが、志智にはなぜかその確信があった。 そして、志智自身が意識していたわけではないが、そこに期待があった。つまり、亞璃須は満足するだろうと。喜ぶだろうと。 #mor_cy_dar
2013-05-17 20:59:26(……なんだよ) 今になってそれを覆そうというのか? (それはないだろう……なあ、亞璃須) 志智が視線にこめた思いを知ってか知らずか、亞璃須は無情の言葉をつむぐ。 #mor_cy_dar
2013-05-17 20:59:41「4ストロークは2ストロークに絶対勝てません。 同じ排気量である限り。だから、仮にあなたが負けたとしても、わたくしはそもそも勝負だとみなしてませんから。忘れないでくださいね」 #mor_cy_dar
2013-05-17 21:00:08「……どういう、意味だよ、それ……」 志智の体が震えたのは、失望でも絶望でもなく。 ただただ、困惑だけが理由だった。 #mor_cy_dar
2013-05-17 21:00:22【お知らせ】 本日の投稿はここまでです。次のエピソード投稿は来週を予定しています。この作品に興味をもった方、特にバイク乗りの方、@mor_cy_dar をフォローしてください。そして友人に広めてあげてください。こんな話が読みたいといったご要望もお待ちしております。
2013-05-17 21:01:49