仮面ライダーW　Rの脅威/帰って来てくれ仮面ライダー　『チャプター10・Wのキセキ/風の都の贈り物』

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

［――君は僕が居なくとも一人で仮面ライダーを続け、必死に街を護り続けた。けど、君や照井竜の力だけじゃあどうにもならない状況が起きた。未来の君が起こしたこの事件。彼は明確な悪意と復讐の念を抱いて犯罪者を解き放ち、街を泣かせようとしていた］25 #WR

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

［――だが君と君の仲間たちは諦めなかった。街を守るため、身を粉にして死ぬ思いで自分よりもはるかに格上の相手と戦い続けた。ずっと街のために戦い続けた戦士のために、街が起こしてくれた奇跡。……非論理的だが、それが一番しっくりくるとは思わないか？］26 #WR

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

　”奇跡”、か。それが本当ならどれだけ素敵なことだろう。翔太郎は嬉しさと気恥ずかしさに少し顔を竦める。27 #WR

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

「成る程な。これでますます死ねなくなっちまった。街に助けられたんなら、一生かけて恩返ししなきゃ釣り合わねぇ」 ［――その為にも、何が何でも生き延びなきゃね。腹の傷は塞いだよ。然るべき処置と休養が必要だが、少なくとも死ぬことは無い］28 #WR

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

「悪いな。これでまた戦えそうだ。フィリップ、お前と二人でな」 　彼の言葉を受け、フィリップは申し訳なさそうに口を開く。[――あぁ、翔太郎？ 実はとても……言いにくいことなんだが]29 #WR

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

　Wの右半身はそっと腹部のロストドライバーを指差す。ダブルの記憶を宿したメモリは、役目を終えたと言わんばかりに色身を失い、消えかけていた。30 #WR

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

「なんだよ……、何なんだよ！ フィリップ、これは一体……」 ［――僕たちは二人で一人。そして数多くのメモリを用い、いくつもの形態を駆使して戦った。故にどんな相手にも対応してこれたし、何より強かった］31 #WR

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

［――けれど、そのせいで内包される記憶がメモリの容量を超えてしまったんだ。それでも尚ロストドライバーという単一のドライバーで行使する……。むしろ今まで平気だった事自体、奇跡だと言う他無い。悪いがここでお別れだ翔太郎。アキちゃんや照井竜に会えないのは残念だが……］32 #WR

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

「待てよ……おい、待てって！」 　メモリを引き抜こうとする右手を、左腕がそれを許さず抑え込む。このメモリには地球の記憶が呼びこんだフィリップのデータが綴じ込められている。それを引き抜くということがどういうことか。翔太郎が理解出来ない訳がない。33 #WR

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

「勝手に決めんなよ、なんでそうなるんだよ。抜かなくてもいい方法だって……」 ［――ダメだ］翔太郎の言葉をフィリップは無理矢理遮った。［メモリの膨大な情報量に、ドライバーが悲鳴を上げている。このままではメモリはおろかドライバーまで使い物にならなくなってしまう］34 #WR

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

　メモリの過剰使用にロストドライバーが火花を散らしている。フィリップの言う通り、このまま挿し続ければ間違いなく壊れてしまうだろう。ロストドライバーとて、半年間連れ合ったもう一つの相棒だ、これ以上苦しませたくないし、別れなくてはならないことも理解している。35 #WR

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

　それでも彼は、左手の力を緩めることは出来なかった。 「どんなに痩せ我慢して頑張っても、お前がいなきゃ何も出来ない。どうしようもなくダメな奴なんだ。このままじゃ俺はあいつと同じになっちまう。街のことを嫌いになって傷付けて……。頼むフィリップ、行かないでくれよ」36 #WR

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

　再び相棒を失いたくないとまくしたてる相棒の泣き事を、フィリップは蔑むことも馬鹿にすることも無く言葉を返す。37 #WR

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

［――弱い？ 駄目な奴？ 何を言ってるんだ翔太郎。君は己を……、人間が乗り越えるべき最強にして最大の存在を乗り越えた。今更何を恐れる必要がある。最早誰よりも強いじゃないか］ 「それは！ お前が、お前が居てくれたから……」38 #WR

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

［――いいや、僕は何もしていない。僕が今ここにいるのは、どんなに弱ろうと、どんなに辛い目に遭おうと、誓いを胸に戦ってきた君に、街がくれたご褒美なんだ。君は己自身の力で僕を地球の記憶から引っ張り出したんだ。それは君だからこそ出来たことなんだよ。翔太郎］39 #WR

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

［――アキちゃんや照井竜、それと……、母さん。街の皆には君からよろしく伝えておいてくれ。……また会おう、相棒］40 #WR

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

　――待ってくれ！ フィリップ！ 　Wの右半身は強引に左手を振り払い、メモリを勢いよく引き抜いた。それは粉々になって塵に帰し、変身解除で生じた緩やかな風に舞って風都の風に還って行く。 　翔太郎は何も言えないまま、膝をついて項垂れる。 「フィリップ……。お前、お前……」41 #WR

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

「どうしたの？ どうかしたの翔太郎君！」 「左……、しっかりしろ、左！」42 #WR

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

『Wのキセキ/風の都の贈り物』終わり『エピローグ』に続く #WR