バルチック艦隊が二縦陣だったワケ
- furukawa1917
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日本においては司馬遼太郎のせいで、戦艦アレクサンドル3世の乗員の名誉が理由もなく貶められているということは留意すべき点である。
2013-05-27 18:32:17日本海海戦といえば丁字戦法ですが、あの乱暴な戦術がなんで綺麗に決まったかといえば、バルチック艦隊の陣形が混乱していたから、というのが定説です。 http://t.co/AvCxQpQXKa
2013-05-27 20:03:26図の通り、連合艦隊は単縦陣を成して整然と艦隊運動を行ったのに対し、バルチック艦隊は主力となるべき戦艦隊が2列に別れた複縦陣を成しています。複縦陣は主に航海中に多用される陣形で、戦闘序列には向いていません。
2013-05-27 20:06:00では何故そんな陣形で戦闘に突入したのかといえば、ロジェストヴェンスキー提督のやたらと神経質な艦隊運用が原因といわざるを得ません。「坂の上の雲」では第1戦艦隊2番艦の戦艦アレクサンドル3世の信号の誤読が原因となっていますが、それはあきらかに間違いです。
2013-05-27 20:10:18もともと、ロ提督は連合艦隊は単横陣でやってくるとの予想を立てていました。そこで、バルチック艦隊も単横陣を形成して対抗することとします。 http://t.co/ZqkLZnSTGm
2013-05-27 20:15:16単横陣はバルチック艦隊主力のボロジノ級戦艦などの特徴が生きる陣形です。図の通り、敷島型戦艦などと比べて艦首尾線方向の火力が大きいため火力の面で優位に立てるわけです。 http://t.co/12b3I7L2dP
2013-05-27 20:27:45ボロジノ級は正面に向けて305mm砲を2門、152mm砲を8門指向できるのに対し、日本側の主力である敷島型戦艦は305mm砲を2門、152mm砲を4門指向できるにすぎません。
2013-05-27 20:29:18本当に単横陣を形成できてさえいればバルチック艦隊もあれほどまでの大敗を喫することはなかったのでしょうが、今度はなぜ単横陣を形成できなかったかという話です。
2013-05-27 20:32:52単縦陣で対馬海峡へ突入したバルチック艦隊はロ提督の願いむなしく、日本側に捕捉され、5時間ほど防護巡洋艦和泉に追跡されることとなります。 陣形を察知されることを嫌ったロ提督はそのまま航行を続けさせますが、もはや戦闘は避けようの無いものと理解していました。
2013-05-27 20:39:04連合艦隊とバルチック艦隊で微妙に時刻が違うのと、DjVu形式に対応していないので明治三十七八年海戦史を読みにくいため、記述のすり合わせが面倒くさいので、ここからはロシア側の記述のみ。
2013-05-27 20:49:55日本の巡洋艦隊との偶発的な砲戦などもありましたが、おおむね日露双方とも静かに対馬海峡を航行していましたが、ロ提督は陣形を察知されることを嫌い、陣形を転換せず、バルチック艦隊は12時5分まで単縦陣を維持していました。
2013-05-27 20:53:0612時5分にバルチック艦隊は日本の巡洋艦隊との触接を失います。これを好機と見たロ提督は単横陣への転換を開始。 http://t.co/nRHdrHnGwS
2013-05-27 20:59:51図で示したものはほんの一端で、実際は第一戦艦隊、第二戦艦隊、第三戦艦隊の戦艦8隻、海防戦艦3隻、装甲巡洋艦1隻が右八点へ逐次回頭を開始する予定という大規模なもの、全艦が回頭し終えた後、図2の通り、左八点へ一斉回頭して単横陣を成す予定でした。
2013-05-27 21:01:37ところが第一戦艦隊が右八点の逐次回頭を終え、次は第二戦艦隊というところで再び日本の巡洋艦隊が出現。手の内を明かすことを極度に畏れていたロ提督は艦隊運動の中止を命令し、第一戦艦隊に対しては左八点の逐次回答を命令します。 http://t.co/EWIpYcXBnd
2013-05-27 21:05:11司馬遼太郎は第1戦艦隊の2番艦アレクサンドル3世が信号旗を読み違えて、本来この図のような陣形になるはずだったのに、やり損なったと書いていますが、そんな話どこにも載ってないので、なんかの勘違いでしょうね。 http://t.co/7XngmK9CxM
2013-05-27 21:10:11ロ提督曰く、複縦陣には二つの利点があるとのこと。 まず、第一にもともと低速な第二、三戦艦隊を第一戦艦隊が追い越して前へ出ることで迅速に単縦陣へ戻ることが出来る。 http://t.co/ewQ8BjWWfr
2013-05-27 21:15:37第二に、それぞれの列が右八点逐次回頭の後、左八点の一斉回頭を行うことで単横陣を迅速に形成できる。 http://t.co/RriM0U7uSu
2013-05-27 21:20:02複縦陣の形成からほどなくしてバルチック艦隊は連合艦隊主力と接触。 戦闘直前、しかも元から単横陣での戦闘を企図していたロ提督としては迅速に単横陣を形成できる第二案を取るべきでしたが、なぜか第一案を取ってしまいます。 http://t.co/jmJKWHW6i6
2013-05-27 21:23:18その理由はどこにも語られていないのですが、ともかく減速を強いられた第2戦艦隊は砲戦開始の時点ではほとんど停止の状態に。第2戦艦隊の旗艦である戦艦オスリャービャは高速軽装甲の戦艦でしたが、その俊足を生かせることなく、七面鳥のように撃たれて撃沈されてしまいます。
2013-05-27 21:26:30このように、アレクサンドル3世の乗員たちが信号を誤読したことで単横陣を形成し損なったというのは悪質なデマなのであります。
2013-05-27 21:31:55