西上柾さんのつぶやきをまとめてみた
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西上さんのつぶやきをまとめてみた
ゲームデベロッパー・作家・翻訳家の西上柾さんによる、主にゲームデザインにまつわるツィートをまとめてみました。(2013/5/28 18時現在)
西上さんの著書についてはこちら↓
http://www.amazon.co.jp/本/s?ie=UTF8&field-author=西上柾&page=1&rh=n:465392,p_27:西上柾
前フリ的な何か
@MiyamaSui 先手必勝を避けるために敵味方ともHPを増やして死ににくくしたのがD&D4e、命運という強力なダメージ・コントロール資源で「HPは普通だけど実は死ににくい」ことにしているのがメガテンX、東京鬼祓師では「毎ターン雑魚が湧く」というアプローチを取りました。
2013-03-26 16:09:39@MiyamaSui D&D4eは結局、戦闘の冗長化が問題になってモンスターの一律ダメージ上昇・HP削減のパッチがあたりました。SW2.0あたりだと「PCが先手を取る」のを前提にバランスを組んでいるようなフシもありますね。鬼祓師では開き直って「PCが必ず先行」にしましたが。
2013-03-26 16:42:05@MiyamaSui T&T的な前衛・後衛の割り切り方も時には羨ましくなったり。鬼祓師では開き直って「誰が攻撃を食らうかは防御側が決めて良い」としましたが。
2013-03-26 16:45:33その昔、汎用TRPGへの憧れがまだ残っていた時代はPCとモンスターを同じ書式で表現できる(PC作成ルールとモンスター作成ルールに互換性があった)ことがもてはやされたけど、このアプローチはD&D3eあたりで限界になって、今はPCとモンスターは非対称であるのが主流な気がする。
2013-03-26 16:47:30基本方針として、自分がキャラシートに書き写す時にウンザリするような漢字はルールタームとして使わないようにしているけれども、元ネタによってはなかなかそうもいかない。
2013-04-11 01:31:44もし初心者向けTRPGをデザインするなら、「義務教育で習わない漢字にはすべてルビ」とかやらんと駄目な訳だが、このレベルの校閲をかけるにはやっぱりプロの手がいる。
2013-04-11 01:33:15『上海退魔行』の時には「障害物」というタームが問題にされることはなかったが、念のため東京鬼祓師TRPGでは「ハードル」という言い方にあらためた。これは僕がどういう立場であるか、という意味ではなく、僕の知らないところでユーザー同士の喧嘩になったら目も当てられないからである。
2013-04-11 02:30:28「リソース抱え落ち」問題について
マジックの開発コラムには、膨大なプレイテストとリサーチに基づく画期的な知見がある。たとえばこれ。 http://t.co/FYTPhDxnnY
2013-04-11 08:53:41ここに出てくる土地「Deadly Bog」は、そのままだとちょっと弱い土地だけど、クリーチャーを倒す呪文としても使える。このため、プレーヤーは土地だと思ってデッキに入れてしまうが、実際に使う時になるとどうしても「これは呪文だ」と考えてしまい、結果として「抱え落ち」を誘発する。
2013-04-11 08:58:48Deadly Bogが最悪なのは、プレーヤーが決断するべきタイミングと、その結果が分かるタイミングがかけ離れていることである。Deadly Bogをデッキに入れて他の土地を削った時、既にプレーヤーは過ちを犯している。
2013-04-11 09:19:25Deadly Bogが手札にあって、他に出せる土地がない時、プレーヤーは「次に土地を引くかも知れないから我慢しよう」と考えてしまう。しかし、あなたはデッキを作る時にそれを土地にカウントしたはずではないか。あなたが待ち望んでいる土地は、今まさに手札にあるDeadly Bogである。
2013-04-11 09:21:37もう少しかみ砕くと、これは「一見強そうに見えるけれども、上級プレーヤー以外には本当の使いどころを見分けるのが難しく、『あの時使っておけばよかった』という感覚だけをもたらしやすい」要素であり、マジックの開発者たちはこれがユーザー・エクスペリエンスを低下させると結論づけた。
2013-04-11 09:29:16こういう知見は、莫大なコストをかけてテストプレイやリサーチをしないとなかなか「結論」にはいたらない。「注意深く扱わないといけない」とか「デザイナーの腕の見せ所である」とか勘違いしやすいものだが、「これは駄目だ」という結論が得られたのはものすごいことである。
2013-04-11 09:33:37「リソース抱え落ち」の話をもう少し。TRPGではあんまり全滅とかしないので、プレーヤーが自分の敗着手を気にするということは少ない。このため、扱い方の難しい要素があっても、「ユーザーに不快感を与えるかどうか」という点ではあまり問題にはならない。
2013-04-12 00:25:36ただし、気をつけなければならない点が2つある。「初心者がリソースの使用をためらってしまう場面は改善した方がよい」「全滅した後で、プレーヤーが何が敗着手だったか気づきにくい要素は、少なくとも初心者向きでない」。初心者向きでない要素は、初心者がそれを選ばないようにしなければならない。
2013-04-12 00:30:14国産TRPGでは「ボス戦」という考え方が定着したので、初心者のリソース抱え落ちという問題はシステムレベルでサポートされている。海外のTRPGではあまりはっきりと「ボス戦」とは宣言しないものが多いが、これはリアリティのためである(ボスだって退却したいんだもん)。
2013-04-12 00:41:23とりあえずの対策として、ボス戦がサポートされていないシステムでも、GMが「さーボス戦だー」と気軽に言ってしまうのが初心者のためにはよい。寝込みを襲われるかもしれないからと一日毎パワーを取っておくのは上級者だけの楽しみである。
2013-04-12 00:50:05さて、ここからしばらくD&D4e話。以下言い訳。えー、これは別に4eをけなしている訳ではなくて、みんなが知ってそうなシステムで話をしないと役に立たないからで……(略)。
2013-04-12 01:06:034eでは初心者が一日毎パワーの切り時を計りかねて「抱え落ち」するというのが問題になるけれども、これには「エッセンシャルクラスを使う」とかさっき言ったように「DMがボス戦を宣言する」とか根本的な解決方法が既に存在する。では、初心者から一歩進んで一日毎パワーを使いこなすには?
2013-04-12 01:11:40ややこしい話をすると、4eは「回復パワー」と「回復力使用回数」をマネジメントするゲームである。これらがすべてなくなるとパーティは継戦能力を失い、やがて全滅する。極論を言えば、回復回数さえ残っていれば、遭遇終了時にひとりを残して倒れていても問題ではない。
2013-04-12 01:17:05パーティの誰かの回復回数が一度尽きてしまうと、パーティの戦闘力がガタ落ちするので、各遭遇では「誰かひとりにダメージが集中するのを防ぐ」ことと「パーティ全体の総ダメージ数を少なくする」ことが重要になる。このためにはヘイトコントロールとクラウドコントロールが必要である。
2013-04-12 01:20:46