自己変容

茂木健一郎さんの連続ツイート「自己変容」。とっても考えさせられました。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

自己変容(1)創造の、最高の形態のひとつは、自分自身が変わることである。今までとは違う自分になる。それを積み重ねることで、自分自身が「作品」になる。

2010-09-15 07:37:19
茂木健一郎 @kenichiromogi

自己変容(2)他者に向き合うことは、新しい自分を引き出すきっかけとなる。最初から(A)という自分があるのではない。他者に向き合う(->)ことで、それぞれ異なる(A')->、(A'')->、(A''')->、・・・が生まれてくるのである。

2010-09-15 07:39:24
茂木健一郎 @kenichiromogi

自己変容(3)他者の存在によって、新しい自分が引き出される。幼い子でさえ、父、母、お兄さん、妹、先生、近所のおじさん、親戚、友だちそれぞれに異なる「自分」で接することを知っている。

2010-09-15 07:40:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

自己変容(4)ボーイスカウトの少年に対して、「いいかい君たち、これからキャンプの準備をするよ」などとハキハキと説明しているお兄さんを見ると、「あの人はそういう人なんだ」と思う。実際には、ボーイスカウトという文脈で少年たちに接していることで、そのような人格が生まれているのだ。

2010-09-15 07:42:31
茂木健一郎 @kenichiromogi

自己変容(5)街で日本語のうまい外人に道を聞かれた時にしか出てこない人格もある。青い眼、金髪の人に流暢な日本語で尋ねられる。こちらも普通に日本語で答えればいいのに、「あ〜それはですね〜」などと、外人っぽい日本語になってしまう。

2010-09-15 07:44:20
茂木健一郎 @kenichiromogi

自己変容(6)タクシーの運転手さんと話す時に人格が生まれる。「最近景気どう?」「まったくねえ、政治も困ったもんだねえ」などと、ふだんあまり考えもしないことについてもペラペラ喋る。タクシーを降りた後で、ふっとため息をつく。今までの私は何だったのだろう?

2010-09-15 07:45:48
茂木健一郎 @kenichiromogi

自己変容(7)英語を喋れるようになるということは、つまりは、新たな英語人格を創り出すということである。日本人の多くが英語を苦手とするのは、(A)から(A')->への自己変容のプロセスを欠いているからだ。

2010-09-15 07:47:23
茂木健一郎 @kenichiromogi

自己変容(8)「自分探し」という言葉が一時期流行った。たった一つの(A)があると思うのならば、それは間違っている。他者との関係性によって、全く新しい自分が生まれる。(A')->、(A'')->、(A''')->と、関係性の数、文脈の数だけ異なる自分を創ってしまっていいのだ。

2010-09-15 07:48:56
茂木健一郎 @kenichiromogi

自己変容(9)「〜らしく」という制限は、関係性を通して新しい自分を生み出すことの邪魔になる。自分にも他人にも、「〜らしく」という要求を押しつけてはいけない。他者との関係性においてうまく「脱抑制」することで、(A)が(A')->になるプロセスを発動させることができる。

2010-09-15 07:51:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

自己変容(10)創発(emergence)は、危機(emergency)に通じる。魂の危機において、新しい自分を模索する中で、それまでにない新しい人格、世界との関わり方に着地することができるのだ。

2010-09-15 07:53:12
茂木健一郎 @kenichiromogi

自己変容(11)最初から、「自分」が定まったものとしてあると思うな。他者との関係性を通して、魔法のように生まれる新しい自分を楽しめ。魂の危機(emergence)を、うまく創発(emergence)に結びつけろ。

2010-09-15 07:54:08