「限定正社員」は「論外」なのか?(『ブラック企業』著者・今野晴貴氏)
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おそろしいことだ。「限定正社員」導入が具体化しつつある。そして、これを肯定的に評価するような議論すら現れている。悪夢のようだ。
2013-06-15 08:22:43昨晩のNHKの「限定正社員」の解説。改正労働契約法によって、有期雇用の非正規労働者が「期間の定めのない雇用契約」に転換された場合と同じと説明。おいおい、それでは、有期雇用ではないだけで非正規労働者そのものではないではないか。
2013-06-15 09:39:47「限定正社員」は、長期にわたって低賃金雇用できて、かつ、「契約上の仕事」がなくなったことを理由に解雇できる制度として導入を狙われている。これって、違法状態で長期にわたって働かされている派遣社員と大して変わらない。肯定的に評価するなど論外。
2013-06-15 11:00:09「限定正社員」は、長期にわたって低賃金雇用できて、かつ、「契約上の仕事」がなくなったことを理由に解雇できる制度として導入を狙われている。これって、違法状態で長期にわたって働かされている派遣社員と大して変わらない。肯定的に評価するなど論外。
2013-06-15 11:00:09↓限定正社員は論外の制度だというが、無期雇用でありながら、家庭との両立を図る制度自体を全否定してはいけない。もちろん、いかがわしい狙いでこの制度を運用する経営者も現れるだろう。だが、これまでの非正規雇用が無期化することを否定する論理に陥ってはいけないのだ。
2013-06-15 14:21:57「制度そのものの論評」と、「その制度を悪用する経営者への批判」を混同してはいけない。限定正社員という雇用形態そのものの評価と、それが導入されるときにおこりえる事態は別物である。限定正社員を評価している論者の中で、この区別ができている者とできていない者がいることに留意が必要。
2013-06-15 14:23:40逆に、限定正社員という制度を評価する者を、「この制度を悪用しようとしている経営者を支持してる」「悪徳経営者の見方」だというように批判してしまうと、ますます議論は混乱する。そもそも、これまでの「一般職」のような形での限定社員はいくらでもいた。これを全否定するのは大きな間違い。
2013-06-15 14:25:11限定正社員が、悪意をもった者に主張され始めていることは事実である。だが、もともとこの議論をリードしてきたのは、木下武男教授。「ジョブ型正社員」という言葉を2010年に生み出したのも、同教授だ。多くの労働者が、家庭生活と両立した無期雇用を望んでいる。これを表現した概念なのである。
2013-06-15 14:28:16濱口桂一郎「ジョブ型正社員と非常勤講師雇い止め」。非常に興味深い記事。限定正社員を全否定する議論は、非正規雇用が正社員になる道とは、大きく矛盾する。警戒するのは当然としても、全否定では、議論が間違ってしまう。http://t.co/5Rwb0serQ2
2013-06-15 14:37:06川添さんは、限定正社員は派遣と同じだとも評価しているが、直接雇用の無期雇用なわけで、まったちがう。むしろ、派遣が目指すべき雇用は、限定正社員のはずなのである。懸念はごもっともなのだが、議論に大きな混乱が見られる。
2013-06-15 15:31:16もちろん、川添さんのツイートも、ただ派遣と限定正社員がまったく同じたとしているのではないだろう。両者とも違法だらけという意味かも知れない。だけど、同じ違法労働でも、無期直接雇用と派遣とでは、争える可能性が全然違う。だから、非正規は、限定正社員になったほうがよいのだ。
2013-06-15 15:49:18既存の日本型雇用の労働者を、限定正社員に切り替えようとすれば、これは労働契約の変更であるから、同意なしにはできないし、強行しようとすれば、解雇を争うのと同じ枠組みで問題にできる。一方、労働契約法の直接雇用化規定や、雇い止め規制を武器に、非正規から限定正社員を増やしていく展望がある
2013-06-15 16:05:43限定で、かつ無期・直接雇用が増えれば、ここが新しい社会的な階層となっていくだろう。これまで、膨大な労働運動から除外された非正規雇用という階層が、限定正社員という新しい階層へと変質させていける可能性ができるわけだ。これは、日本型正社員の雇用を守ることと、全く矛盾しない。
2013-06-15 16:07:20今号の「労働法律旬報」萬井先生の論文は、極めて興味深い。労働契約法改正によって、労働運動は、雇い止めを争い、5年を突破すれば無期化を獲得できる。そして、平等取扱い条項で、そのさらにその先を目指せるという。非常に実践的な巻頭言である。ただ、平等原則の争い方については、議論が必要。
2013-06-15 16:09:13仮に、改正労働契約法を武器に、雇い止めの係争を通じて5年を突破したとして、労働条件は「限定社員」として差別される。だが、これを日本型正社員との「均衡」によって向上させようとすると、「同じだけ義務を果たせ」となり、勤務地・労働時間限定を望む社員を、むしろ非正規にとどめかねない。
2013-06-15 16:10:44労働契約法改正を機に、無期化の争いはやりやすくなる。そして、労働運動の力量次第では、大幅に無期化された限定正社員の社会階層を形成できるだろう。だが、彼らの労働条件の向上は、既存の正社員との比較ではなく、独自の方法によってすべきだ。最低賃金の向上や、仕事自体の評価運動を通じて。
2013-06-15 16:11:56続きます。