「The Hobbit」における「burglary」の翻訳について
- eastofthesunJP
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解説(その2)(文庫下巻P.393)で、「押入」について「英語では<バーグラー>(burglar)です。『強盗』を意味する、ごく日常的な語です」と書いてしまっているのはマズいのではないかと。#新版ホビット
2013-01-08 23:25:44たしかにあまりデキの良くない英和辞典だと、burglarで「強盗」という訳語が出てくる物もありますが、似た概念であるtheft・robbery・burglaryキチンと区別すべき。#新版ホビット
2013-01-08 23:38:50theftは他人の所有物を返却する意図なく不法に所持すること。robberyは他人の物を取る際に、暴力を行使する、あるいは暴力を行使すると脅した場合。路上でナイフを突きつけるのも、銀行強盗も、古い時代の山賊や追剥の類もrobbery。#新版ホビット
2013-01-08 23:54:12そしてburglaryは古い時代には「夜間に住居に侵入してtheftやrobberyを行うこと」でした。昔の小説だと「夜盗」なんて言葉がピッタリくるかも。でも今は拡大した意味で使われています (続く) #新版ホビット
2013-01-08 23:58:33(承前)現在では日中であっても、「犯罪を実行する意図をもって建物や敷地に不法に侵入すること」です。意図する犯罪はtheftやrobberyが一般的だけれど、国や州により、傷害・強姦・器物破損に対しても適用。意図した犯罪自身が未遂でもburglaryは成立。#新版ホビット
2013-01-09 00:03:23burglaryでいう「侵入」には暴力的に「押し入る」ことだけでなく、詐欺とか脅迫により中に入ることも、こっそり忍び込むことも含まれます。#新版ホビット
2013-01-09 00:06:47ようするにburglarは中に入ることがポイント。だからビルボはthiefやrobberじゃなくてburglarとして見込まれたというワケ。#新版ホビット
2013-01-09 00:08:21ところで山本氏は「ビルボのいちばんの役割がドラゴンの住処の『扉をむりやりに押し開けて入っていく』ということ」と書いているのに違和感。ホビットが足音もなく歩けること+スマウグはホビットのにおいを知らないことから隠密行動に最適、だと思っていたんですが。#ホビット
2013-01-09 00:18:33もしガンダルフが「強盗(robber)」としてビルボを推薦したのだったら「パイプ草の吸い過ぎで耄碌した」と言われても仕方がないレベル。でもburglarとしてだから、ドワーフたちもしぶしぶながらも納得できたのだと私は思います。#新版ホビット
2013-01-09 00:30:58まとめると、burglarの定義から間違えているから、せっかくの3ページ分にもわたる「押売」という用語の解説が意味不明ということです。#新版ホビット
2013-01-09 00:39:21昨日からの「ホビット」の「burglar」談義の続き。「犯罪を実行する意図をもって建物や敷地に不法に侵入すること」を簡単な日本語で何と言うのか考えていたら、警察サイトでは「忍込み」という言葉を使っているのを発見。例:宮城県警http://t.co/e9eKvUz0
2013-01-10 20:01:13まさに「忍込み」。別に忍者じゃなくても「忍込み」使えそうですね。特にそのスジの方たちには。瀬田氏の「しのびの者」という訳語、誤訳でも、子供向けに面白おかしくしたワケでも、奇をてらったわけでもなんでもなく、ごくごくまっとうな訳語に思えてきました。
2013-01-10 20:10:01泥棒さん業界用語の「忍込み」、ビルボの雇われた役割ともピッタリですし、ホビット庄のジェントルマンなビルボが聞いたら卒倒してもおかしくないですよね。
2013-01-10 20:15:09というわけで「東大の教室で『赤毛のアン』を読む」は「『押し入り」などという、ことさらにどぎつくて、生々しくもショッキングな語」をなぜ用いたかについて丸1章当てているのですが、かなり強引なこじつけ話に終始してしまっている感じです。
2013-01-10 20:33:46ネタバレにならない程度に続きを。山本氏、ビルボの役割について「忍びこみ」という訳語を使っています(原文ではstealth)。その後の部分でthiefにもburglarと同じ「強盗」の訳を当てています。やはりこの辺りの語句の区別ができていない印象。#新版ホビット
2013-01-10 21:30:44