孫泰蔵さん「今日の芸術 - 時代を創造するものは誰か」(光文社、知恵の森文庫)を読んで考えたこと

孫泰蔵さん (@taizoson) が、「今日の芸術 - 時代を創造するものは誰か」(光文社、知恵の森文庫)を読んで考えたツイートをまとめたもの 「今日の芸術 - 時代を創造するものは誰か」岡本 太郎 (著)  amazon   http://amzn.to/bHpi48
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taizoson.eth @TaizoSon

今朝は岡本太郎氏の言葉にハッとさせられたのでここに記述しておこう。太郎氏は現代の社会について次のように語っている。

2010-09-22 08:03:09
taizoson.eth @TaizoSon

「近代社会では生産力の拡大とともに仕事が細かく分化され、社会の生産活動がかならずしも自分本来の創造の喜びとは一致しないため、人間一人一人の働きが部品化され、目的、全体性を見失っている。人々は人間の本来的な生活から自分が遠ざけられているにもかかわらず、その自覚さえ失っている。」

2010-09-22 08:03:16
taizoson.eth @TaizoSon

つまり現代の人々は「自己疎外」という毒に広く、深く蝕まれている、と彼はいう。「人々は義務付けられた社会生活のなかで、自発性を失い、自分を偽ってその時々はけっこう楽しんでいるようでも、どこか空虚なのだ。人は自分の生命から溢れ出てくるような本然のよろこびがなければ満足できないのに。」

2010-09-22 08:03:50
taizoson.eth @TaizoSon

「くりかえしていいますが、ほとんどの人間はあきらめて、適当にやっています。だれでも子供の時には人生ってもっと晴らしいものだと思っている。大きくなったら、と夢想していた。にもかかわらず - 毎日毎日の生き方が何かほんとうではない、こんなものではないはずだ、とあせります。」

2010-09-22 08:03:59
taizoson.eth @TaizoSon

「よほど正直に判断し、偏見だとか固定観念などもっていないと思っても、実は大人になるまで耳目にしてきたすべてが、知らずしらずのうちに、膨大な知識・教養になっており、常識で型どおりに割りきって見ようとする、通俗性と功利的な人生観を与え、人間としての純粋さを失わせることが多いのです。」

2010-09-22 08:04:07
taizoson.eth @TaizoSon

これらは今から五十年以上前の1954年に書かれた彼の言葉だが、この21世紀初頭の今日でさえ、まったくもって古式然とした感じはせず、むしろ現代社会を生きる我々にとって今だからこそ切実に胸に響くように思えるほどだ。今の問題というのはそう簡単に変化しないものだとつくづく感じる。

2010-09-22 08:04:14
taizoson.eth @TaizoSon

そして彼は今日の芸術というものは何かについて次のように語った。

2010-09-22 08:04:26
taizoson.eth @TaizoSon

「芸術、それは失われた人間の全体性を奪回しようという情熱の噴出といっていいでしょう。現代の人間の不幸、空虚、疎外、全てのマイナスが、このポイントにおいて逆にエネルギーとなって噴き出すのです。失われた自分を回復するための最も純粋で、猛烈な営み。そこに今日の芸術の役割があるのです。」

2010-09-22 08:05:26
taizoson.eth @TaizoSon

「まことに芸術はいつでもゆきづまっている。ゆきづまっているからこそ、ひらける。そして逆に、ひらけたと思う時にまたゆきづまっているのです。そういう危機に芸術の表情がある。」

2010-09-22 08:05:34
taizoson.eth @TaizoSon

人生だって同じです。まともに生きることを考えたらいつでもお先真っ暗。いつでも何かにぶつかり、絶望し、そしてそれをのりこえる。そういう意思のある者だけに人生が価値をもってくるのです。つまり、むずかしい言い方をすれば、人生も芸術もつねに無と対決しているのです。だからこそおそろしい。

2010-09-22 08:07:22
taizoson.eth @TaizoSon

実践者であった彼ならではの、論理をこねくりまわして積み重ねただけでは出てこない強い共感に満ちた文章を、ただただそのままここに抜粋する。

2010-09-22 08:07:30
taizoson.eth @TaizoSon

岡本太郎著「今日の芸術 - 時代を創造するものは誰か」(光文社、知恵の森文庫)を読んで、今朝はそんなことを感じた。

2010-09-22 08:07:43