第一回大罪大戦《正２の狭間》【戦闘フェーズ02】

ラスト／アドウェナ @temari_sin

→快楽で頬が紅潮していく。それと同時に、髪の毛で出来た弓は本物の金属となり、大きく弧を描いて矢を放った。きっとルクスーリアのことだ、毒でも塗ってあるに違いない。身体の奥が疼き、更なる快楽を求める。髪の毛は休むことなく動き、矢を放った直後には無数の短剣に変化。→

ラスト／アドウェナ @temari_sin

→「その姿も魅力的……」溜め息混じりに呟く。本当に見惚れているようだ。無数の短剣は髪から勢いよく離れ、そのまま“彼”に向けて放たれる。「戦っているのに、ルクスーリアと同化したみたいでこんなに気持ちいい……きっと」彼女は、気付いてしまった。「アタシ、『色欲』ね！」

ファンシー・Ｓ・ピグレーツォ @noamarimo_sin

「ああ、なんじゃ、もう朕の出番か――ふむ」 ボクの体で力が囁きます。その声はもう、ボクのものでは無いでしょう。 「全く、前回助かったのはまぐれじゃぞ？　坊。もうウツシヨには還れぬと悟したか？　……ならばよい」 ボクの視界がラストおねえさんと、無数の短剣を捕らえました。　→

ファンシー・Ｓ・ピグレーツォ @noamarimo_sin

「厄介な者に好かれたもんじゃの、坊。じゃが――成程為程。これも巡り遭わせか」 右腕、を上げようとして、上がらないので左手を上げ。 「千手。カンゼオン」 ボクの背後に浮ぶ曼荼羅から、いくつもの白い手が伸びます。その手の一つ一つが石を持っていて。 無数の短剣に向けて投げつけます。　→

ファンシー・Ｓ・ピグレーツォ @noamarimo_sin

それでも、いくつかの短剣はその中を潜り、ボクの身体に傷をつけます。 「くふ、くふふ。なるほど、毒か。ああ――ぴりぴりするの。尚更猶予は無いということか」 剣雨の中を跳躍します。避けつつも一直線に、隕石に匹敵するその蹴りを与えるべく―― 「己を見据えたか？色欲。ならば寿ごう！」

ラスト／アドウェナ @temari_sin

いつの間にか、身体は触手を抜け出し自由に動いていた。右手にはいつもの短剣。剣雨を避けるファンシーに感心しながらも、ここぞとばかりに近付く。「ねぇ、アンタ。気持ちいいよ……すっごく、ね」→

ラスト／アドウェナ @temari_sin

何とも色欲らしい艶やかな声。誘うような瞳。スカートがなびき、真っ白で整った脚が露になる。舌で唇を舐めて。さあ、あとは──！　髪の毛がまた短剣を造り出す。それを左手に持ち二刀流。左肩がズキズキ痛むが、かえって気持ちがいい。「『気持ちいい』の、もっとして？」→

ラスト／アドウェナ @temari_sin

→一気にファンシーに詰め寄り、自らの剣とルクスーリアの髪の毛で迎え撃つ！

ファンシー・Ｓ・ピグレーツォ @noamarimo_sin

「くふふ、然様か？　ならば更に快楽《けらく》を与おう」 覚醒した『罪《オリジナル・シン》』の動きに、常識は通用しない。 もちろん、今のボクに宿る力も常世の理は通用しないけれど。　→

ファンシー・Ｓ・ピグレーツォ @noamarimo_sin

ラストおねえさんの剣が、的確にボクの右腕の傷を突きます。けれど、その右腕は、まきつく髪を逆に利用し、力任せにおねえさんを地面に投げようとします。 激痛が走りますが、ボクの意志は表に出ません。 「定まりし罪よ！　不羈なる朕と力比べじゃ！」 ぴしり。微かにひび割れの音がしました。

ラスト／アドウェナ @temari_sin

刺さった……！　滲む血の色。床に滴る血。刺さったままの短剣。全てが彼女を興奮させるのに十分だ。身体が投げられて宙に浮くと、髪の毛は増殖。彼女を守るようにクッションになった。ふわりと着地。そのまま身体を翻す。→

ラスト／アドウェナ @temari_sin

→左肩の痛みは、快楽のせいか気にならない。髪の毛が新たな剣を造り出す。今度は髪の毛から分離して、本物の大剣になった。

ファンシー・Ｓ・ピグレーツォ @noamarimo_sin

「使いこなし始めたようじゃな。力を」 ボクの力がひどく大上段からラストおねえさんに語りかけます。 そういえばこいつはそうでした。こいつはボクの、始まりの観測者。上位存在です。 「坊も見習わねばな。じゃが――そろそろ刻限か」 右手の先が白化しはじめていました　→

ファンシー・Ｓ・ピグレーツォ @noamarimo_sin

「では、その大剣と、勝負と行こう。色欲よ。汝が罪を、赦免せん――」 　　　　　天 　　　　　清 　 　内外清　浄　清根六 　 　　　　　清 　　　　　地 　　 カクリヨ・ヤスラギ ―― 幽明異境：浄罪戦浄 ――

ファンシー・Ｓ・ピグレーツォ @noamarimo_sin

ボクの腕にこの戦場の光が集まります。 罪を許し、罰し、不羈なる自由を強制的に与える力。 罪の大戦における、イレギュラー。 三重にこの腕を曼荼羅が包み、ラストおねえさんに向けて――　拳撃。

ラスト／アドウェナ @temari_sin

「使いこなした……というより、ルクスーリアの『色欲』とアタシの『色欲』がリンクしてるって感じかな」律儀に答え、身の程もある大剣を構える。大剣に込められた『原初の大罪』の力が光を跳ね返す。新たに作られた罪とは格が違うのだ……。光を跳ね返した直後、白化した右手を握る。

ファンシー・Ｓ・ピグレーツォ @noamarimo_sin

不思議な事ですが。ボクはそれを半ば予想していました。 「ふむ。流石に――練りきられておらぬ罰《ちから》では、ここまでか。しかも、二人分ではの」 ボクの身体で、あいつがカラカラと笑います。二人分？ 握られた右手が、ばらり、と白い欠片になって崩れました。　→

ファンシー・Ｓ・ピグレーツォ @noamarimo_sin

「色欲。ぬしはこれから、どう生きるのかの。黒か紅か。ははは、今なら扉も選べるやもしれんな」 ボクには、この力《意志》に見えている真実はわかりません。 でも――もしかして。ラストおねえさんは、本当は紅の――？ ぱらり。また欠片が落ちる音がしました。

ラスト／アドウェナ @temari_sin

握り締めた手が、ばらばらと崩れる。そのまま慈しむようにファンシーを抱き締め、柔らかな口付けをひとつ。頭を撫でて。「んー……大剣（これ）は、もう、要らない……？」笑うように尋ねた。→

ラスト／アドウェナ @temari_sin

→そして、答える。「紅か、黒かなんて……そんなの決まっているでしょ」また、ファンシーを強く抱き締めて。「アタシはルクスーリアの元へ帰るの」

ファンシー・Ｓ・ピグレーツォ @noamarimo_sin

抱きしめられました。困ります。……なんで困るんだっけ。いや、確かご主人様はもうボクには一人だけなのです。 「ははは、坊が困っておる。大剣《支え》か？　それは、ぬしが決めることじゃな。ああ……そうか。紅《ルージュ》は、悲しんでおったぞ」 抱きしめられた背中が剥離しました。

ラスト／アドウェナ @temari_sin

「そうね、じゃ、気持ちよくなりたいから……」大剣を、遠慮なくファンシーのお腹に突き刺す。ずぶっ、と嫌な音。「『紅』とか『黒』とか、記憶が抜けているせいかアタシには分からない。ただルクスーリアと居たい、だけ。同じ『色欲』として」剥離する背中を離さないように、力を込めた。

ファンシー・Ｓ・ピグレーツォ @noamarimo_sin

「おう？　ああ……なんじゃ、くれるのか？　ははは、なくとももう崩れるのみじゃがのう」 いや、凄く痛いんだけど、そろそろ感覚もなくなってきたカナ……？ 「ふうん……じゃが。罪としての不羈はもはや坊のもの。預言をしてやろうぞ色欲。いずれぬしは、結局どちらかを選ぶのじゃ」

ラスト／アドウェナ @temari_sin

ずっと、ずっと、抱き締める。身体を押し付けて、唇に触れて。ファンシーの身体から、生気が抜けていくのが分かる。だからこそ最期まで抱き締めていたい。「お節介ありがと。アンタが何を言おうと、アタシはアタシのやりたいようにやるよ」頭を、耳を、撫でた。

ファンシー・Ｓ・ピグレーツォ @noamarimo_sin

「やれやれ。くすぐったいが、朕の意識はそろそろ仕舞いじゃ。あまりやりすぎて、浮気にならんといいがの……くくくっ」 足はもう崩れている。耳も片方は砂になって飛んだ。尾も今は８本のうち５本が崩れている。 「早くいきなよおねえさん。自由なのはボクの罪。あなたの自由は罪にならないからね」