GF大賞の発表がありました。今年は準入選が出たとのことで、受賞者の方、おめでとうございます。そして突然ですが覚え書き程度に、「TRPG持ち込む時に押さえておいたほうがいいポイント」をいくつか。
2013-07-01 04:05:23なお、この記事はGF大賞等、何らかの賞の選考基準とは無関係です。単に自分が見た経験が元になっております。もちろんこれに当てはまらないこともあるので、適当に他山の石にしてください。
2013-07-01 04:05:56他の商品と同等の水準にあること:ここは押さえておくといいです。最低限テキスト、可能ならDTPやイラストについても他の製品と遜色ない内容であることが望ましいです。まあ、小説なら小説の体を成してる、マンガならマンガになってる、ってやつですね。
2013-07-01 04:07:18よく抜けてるのを見るのが、「この本は何なのか」というイントロダクションテキスト、サンプルキャラクターやアーキタイプの解説、GMガイド、シナリオの作成方法、シナリオフック、索引あたりです。「マニアが読み飛ばす箇所」と僕は呼んでおります(あなたが読み飛ばしてないのはわかってますw)
2013-07-01 04:08:44たとえばルールの最終的な裁定権は誰にあるのか? 何人でプレイするのか? ダイスは何をどれだけ使うのか? セッションには何時間かかるのか? といったことです。何となくで流しがちなんですが、こういうところを埋められるのがプロの基本的な原則です。
2013-07-01 04:09:27まあ、ここを埋めるのは簡単でして、売れてるルールブックを10冊くらい買って来て、「それらの項目と同じものがすべてあるか?」「ないとしたら、それがないのは仕様か? 考えた末に削ったか?」ということを考えるとよいです。
2013-07-01 04:11:04学園もののRPGでダンジョンルールがない、という判断はアリでしょうが、学園もののRPGで学校の地図がないのは本当にアリなのか? というのはいっぺん立ち止まって考えたほうがいいかもしれません。このへんは、他のゲームへの研究が必要だと思います。
2013-07-01 04:11:46あと、ルールブックは頭から読むものだ、というのを念頭に置いておくとよいです。どういう物語で、どういうゲームなのかを読者に掴みで理解させるのが肝要です。D&D赤箱の「ドラゴンとタイマンするマッチョな戦士、その下には財宝」は完璧なイントロでした。
2013-07-01 04:13:04よく、「全部読んでもらえばわかりますよ」という説明を新人さんから受けるんですが、お客さんは店頭で表紙を見て、あるいはせいぜい裏表紙の解説を読んで買うかどうか決めるので、その段階で理解できるかどうかには気を払っておくとよいと思います。
2013-07-01 04:14:00@u_kodachi そもそも全部読んでもらおうと思ったら、途中で飽きないように、常に興味を引きつつ、わかりやすく伝わる形に情報を整理しないといけないから、その意味でも表紙とか裏表紙とか「このゲームは」とかは、すごく大切だよね。
2013-07-01 04:25:09あと、あまりニッチな題材を狙うのはおすすめしません(商業作を前提にする場合)。同人誌だとそれが正解の場合もあるんですが、商業だと同人誌の何百倍ものお客さんが相手なので、好きな人だけ狙うにもそれなりの戦略が必要になります。
2013-07-01 04:15:47これは判定システムについても同じで、よく非常に凝った大変に面白いダイスシステムを見せていただくことがあるんですが、「実際にそれをセッション中に何回やるのか」「それに何分かかるのか」「飽きたらどうするのか」という視点が抜けてることが多いです。ここは注意するといいですよ。
2013-07-01 04:16:57あー、あと。どっかの出版社なり事務所なり(うちとか)に持ち込む場合、あるといいスキルは「そこの書式通りの原稿が書ける」です(笑)。なるべく同じ文体、ルールブックの書式と同じ文字量、周りに合わせた原稿が書けると重宝されます。作家とはまたちょっと違うライタースキルですね。
2013-07-01 04:39:22三輪さんはこれを学ぶために、ダブルクロス2ndを一冊全部書き写したという話です。(写したあとは廃棄)
2013-07-01 04:41:33最後に。企画を持ち込む時に一番大事なのは、きちんと勝つつもりでやることです。あなたが戦うべきなのは、「D&D」や「ソードワールド」や「アリアンロッド」や「シノビガミ」なのです。(戦わなくていいのはレッドドラゴンくらいだ)そこはきちんと計算しましょう。頑張ってください。
2013-07-01 04:45:22ぐだぐだえらそうに話しましたが、趣味の同人TRPG制作のレベルでは気にしなくてよい話なので、注意してください(笑)。あくまでプロユースです。
2013-07-01 04:45:42さっきの話ちょっと追記。ゲームの設計について、覚えておくとよいこと。世界観とルールと本の設計は三位一体です。これは現代のTRPG設計ではほぼ切り離せません。
2013-07-01 04:53:05「どういう物語をプレイするのか(以下、物語の意義について一々説明しません)」に、ルールは直結しているからです。ルールがその物語性を反映しないなら意味がありませんし、ルールブックの設計はそれを裏打ちする必要があります。
2013-07-01 04:54:21天下繚乱の基本ルールがなぜチャンバラしかないかというと、つまりあれは殴り合いでコンフリクトを解決する世界を軸にゲームを作っているのであり、本の設計はそこに落とし込むためのものなのです。
2013-07-01 04:57:27ここで「ゲームをするための世界」である、というメタ構造(それを読者に意識させるかどうかはゲームによりますが)を著者が意識できていないと悲惨なことになるわけです。
2013-07-01 04:58:25基本的にTRPGのワールドはセッションに奉仕するためのものなので、架空世界としての完成度よりも、シナリオの作りやすさ、PCがどれだけ活躍しやすいか、プレイヤーがどこまでイメージできるか、という点のほうが大事だったりするわけです(まあ、例外もありますが、基本的には)。
2013-07-01 04:58:50まあ、物語、という言葉がお嫌いなら「セッション」という単位でも構いません。実際のゲームにどのように奉仕するか、という概念だけが必要なんですね。ちなみにこの中には「プレイには使わないが読み物として楽しく、雰囲気を伝えることでセッションに奉仕する」を含みます。
2013-07-01 05:00:38つまり「中世ヨーロッパのリアルな都市人口」とか「現代の低強度紛争における歩兵の意義」とかも大事なんですが、それ以前に「どういうシナリオを作れるねん」「それはどうPCの活躍に奉仕するねん」というビジョンが必要なのです。
2013-07-01 05:02:55メタ構造を先に構築して、理屈と考証を後から貼り付けたほうが楽ですし、事故らない、というのが自分の見解です。逆にすると、世界そのものが自律性を持って、メタ構造を阻害するので(TRPGの場合なので、他のメディアだとまた色々あると思います。為念)
2013-07-01 05:03:59考証がどうでもいい、という意味ではありません。ただそれは、「考証がしっかりしていることで世界が実在感を持つのでセッションが楽しくなる」という意味合いにおいてなんですね。考証そのものが目的ではないんですよ。
2013-07-01 05:05:17