- Ghost_of_a_dog
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昔、大阪に大淀区という区があった頃の話。 その頃、バブルの絶頂にあったがグラフィックデザイナーという聞こえはいいが底辺の仕事をしていたワシは毎日のように終電で家に帰っていた。 住まいは天六駅から徒歩10分ほどの所にある都湯という風呂屋がやっているアパート。
2013-06-10 12:54:48都湯は10時には閉まってしまうので、ワシは割引特典があるにも関わらず都湯には数える程しか入ったことがなかった。 いつも深夜までやっている天六温泉に終電から直で駆け込んで風呂を済ませていた。
2013-06-10 12:57:52風呂を済ませ銭湯を出ると歩いてアパートまで帰るのだが、途中に関西大学天六学舎があるところを通る。 この道は狭く暗いのだが、もう1本北側の道は斎場の前を通らねばならずあまり気が進まなかったのだ。
2013-06-10 13:01:22だが、関西大学の学舎もかなり古くおどろおどろしい。 とはいえ、火葬場よりはマシだろうと考えながらトボトボ歩く。 塀越しに学舎の窓をなんとは無しに眺めると窓には懐中電灯の明かりがゆらゆら揺れながら移動しているのが見える。
2013-06-10 13:06:27「12時過ぎたから定時の見回りなんだろうな」と普通に納得していた。 しかし、その懐中電灯の明かりの後、窓にして2つ位離れたところにも明かりが見える。 こちらは懐中電灯のような光軸がなくぼんやりとした光で、LEDライトのようなほの青いような光だ。
2013-06-10 13:10:07その光はすっと懐中電灯の光に近づき、一瞬大きくなったかと思うと消えた。 懐中電灯の光軸が大きく振れたがすぐに元に戻り歩行が始まったようだ。 ワシは何か良くないものを見たなぁと思いながらポケットに手を突っ込んで道を急いだ。
2013-06-10 13:15:40ちなみに都湯は住んでいたアパートの「都湯荘」という名前を残してずいぶん前に閉めてしまったようだ。 天六温泉はまだやっているようだ。
2013-06-10 13:20:14光を見てからしばらくは天神橋筋を天八まで歩いて城北公園通りを歩いて帰った。 遠回りなのだが、あの辺りを歩くよりまだマシだと思った。
2013-06-10 13:34:40大阪にアメリカ村というところがあるのをご存知の方も多いだろう。 ワシは昭和の終わりごろそこの近くで今はすっかりおしゃれな街に変身したとこら辺で勤めていた。 底辺デザイナーだったワシは毎日終電近くまで働き地下鉄に乗ってアパートに帰っていた。
2013-06-10 15:19:11終電近くなると最寄りの四つ橋線だと谷町線への乗り継ぎが悪くなるのでアメリカ村を抜けて御堂筋線を利用することが多かった。 その日もそうやってアメリカ村を通り抜けて御堂筋線の心斎橋駅を目指していた。
2013-06-10 15:21:58アメリカ村の南の端にサンボウルというボーリング場がある。 その地下にDEPTという店があった(今もあるかは知らない) 扱うファッションはパンクっぽい輸入物が多い店で、入口はちょっと地下倉庫へ繋がるような退廃的なカッコ良い感じがあって好きだった。 深夜、その前を通りがかった。
2013-06-10 15:27:36店の入口はシャッターが閉まっている。 シャッターは金属のパイプでできた目の粗い簾のようなタイプで入口の踊り場みたいなところが見えている。 そこは街灯のせいで暗い影が出来ていた。
2013-06-10 15:30:17近づくと、その暗い場所に人の気配があった。 店はとっくにしまっているしシャッターには当然鍵がついているはず。 歩くスピードを落としてよく見ると、タータンチェックのパンツの膝の部分が見える。 座り込んでいるようなので店員ではないようだが、どうやってそこに入ったのだろうと訝しんだ
2013-06-10 15:35:51近づくにつれよく見えるようになってきた。 通り過ぎるときはっきり見ようと思い入口に目をやると、赤いタータンチェックのパンツと白いガーゼシャツを来た人が膝を抱えて座っているのがわかった。 その少し前に流行していたオデコ靴からして女の子だ。
2013-06-10 15:40:01走った。 翌日からはそのルートは使わなくなった。 元々遠回りだったからというのもあるが、夜はあの辺に近づくのは避けるようになった。
2013-06-10 15:44:24道頓堀の戎橋から下流に下った1ツ目の橋。 今では掛け変わってしまったが以前はコンクリート部分とレンガ部分に分かれた橋だった。 レンガ部分は高くなっていて歩行者専用だった。 ワシは珍しく早めに仕事を終え友人とメシを食う約束をし歌舞伎座の裏にある知人の焼肉屋で待ち合わせた
2013-06-10 16:19:36大黒橋の歩行者専用のところは階段を登らなくてはならないので登りたくなかったのだが、あまり素性のよろしくない人が溜まってるので上を歩くことにする。 上にはもっと素性の宜しくない人がいる場合もあるがそっちは無視すれば良い
2013-06-10 16:27:19