#8 「ライトニング・マイ・パワー・トゥー・ビー・ボールド」(下)

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Astal_jukebox @astral_jukebox

『馬鹿言え。固有術式と武器無しでどこまでやれるか試してただけだ。お前ら三人同時ならUAR!の!グランドマスター括弧笑と同レベルで、しかもこの結界有りならそれ以上と聞いて練習に使ったが…こんなもんとはな時間の無駄!お前達の存在が無駄!生まれてきたのが間違い!』

2013-07-04 23:36:53
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ホワイトはネクロキャリアー戦までつけていた何時もの装備を付けていなかった。 赤い腕輪レッドクローバー、銀アンカー、シルバーハーケン、風結輪ウィンズノット、プロトドライバーとムーバー…。 白衣とサイバーグラス、砕けたフェイスガードしか付けていなかった。

2013-07-04 23:44:56
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スターチェインバー達にはそこまで分かろう筈もない。彼等は映像や写真でしかホワイトの姿を知らない。妨害術式の影響で顔などのぼやけた写真でしか知らないのだ。 手加減されたと分かっていたところで、元より全力だった以上何かが変わったとも思われない。

2013-07-04 23:45:06
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「言ったな…!だが匣は閉ざしている!今更武器は出せんぞ!固有術式だけでどこまでやれる!」 『固有術式一つの解禁で回復されといて良くほざく』 「ッ…!」 魔術師の携帯異空間『匣』。 他人の匣を閉ざす術は難しくない。ただ強化や弱体以上に排他性を持たせるのが難しい。

2013-07-04 23:45:42
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大抵は敵と同じ範囲内の味方のものまで閉ざしてしまう。対抗策としては発動前に自軍側だけ匣から重要物を出しておくことだが、彼等は魔力を当て込んでいた為にそういう対策はしていなかった。 『ところで一つ聞きたいんだが』 突如ビーストコーラーに向き直り、跳んだ。

2013-07-04 23:49:41
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無数の糸が多少結界が乱れるのにも構わず、これまで以上の量で殺到する。 しかし強度を『強化』されたことで頑丈な部分が増え、足場として利用される。 敵の術とは言え、強度を上げるなどプラスの効果が出ると、場合にもよるが自軍の術扱いにされることがある。

2013-07-04 23:50:08
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そのような場合は耐魔力などで防ぎにくく、今に至ってはチェインバーによる強化対象にすら数えられている。 これを利用して、敢えて敵のスピードを強化して自滅を誘う、などするのがホワイトの対魔術師戦術の一つである。

2013-07-04 23:52:17
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『シルバーバレット!』 解禁されたシルバーエッジが両手から解き放たれる。一本のエッジが蝙蝠の頭部を貫通し、二重に込められた必中の術が貫通後の刃の向きを変え、別の個体の頭部をも粉砕する。片手三回分の振りで、今いる蝙蝠が一度全滅し、もう一振りで魔犬を瞬殺する。

2013-07-04 23:55:51
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→→→ 司書よりの報告:黄昏と暁の狭間、冬のより帰還セリ (口語訳:前回寝落ちしました) →→→

2013-07-06 18:55:27
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『シルバーバレット!』 解禁されたシルバーエッジが両手から解き放たれる。一本のエッジが蝙蝠の頭部を貫通する。 二重に込められた必中の術がそこから向きを変え、別の個体の頭部をも粉砕する。 片手三回分の振りで、現存の蝙蝠が一度全滅し、もう一振りで魔犬を瞬殺する。

2013-07-06 18:57:18
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そしてビーストコーラーの眼前に着地する。 ホワイトはその顔には目もくれず杖だけを見る。合成音で問いかける。 『おい。えーと…ビーフジャーキー?おいお前だお前』 胸骨へ右回転肘打ち、胸面に腕打、顎へ手甲、鼻に握り込んだ銀刃 …それら一連の攻撃が一撃となって襲い掛かる。

2013-07-06 19:00:11
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「づぁああ!?」 刃を抜こうとする手を、打ち払って押し倒す。 同時に杖を奪い取りながらその両手を自分の左手で束ね抑え折り砕く。 「ぐぎぃいっ!」 『で、コレはお前のか?』 「な、なんだと!?」 『お前のですか?イヤーッ!』 「グホッ!」 杖で刃の柄を殴る。

2013-07-06 19:03:17
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他二人は黙って見てはいない。 ホワイトが着地したことで即座に全身に蜘蛛糸が縛りに向かい、星と蜘蛛の巣状の魔力弾魔術弾も襲い掛かる。 それを打ち払い引き千切り無視し無防備に受ける。その間も白い戦士はひたすらに質問しながらの打撃を繰り出していた。

2013-07-06 19:09:26
Astal_jukebox @astral_jukebox

『お前のですか?イヤーッ!』 「づあっ!やめろっ!」 『お前のですか?イヤーッ!』 「うぐっ!やめ!」 『お前のですか?イヤーッ!』 「分かっガッ!」 『お前のですか?イヤーッ!』 「分かった!言ヴぁっ!?」 『お前のですか?イヤーッ!』 「これは俺のぶ!」

2013-07-06 19:24:37
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『お前のですか?イヤーッ!』 「おれのつっは!」 『お前のですか?イヤーッ!』 「杖どぅわぼ! 『お前のですか?イヤーッ!』 「それが何、ぎゃ!! 『お前のか?ウォリャーッ!』 「グワーッ!」 一際力の入った打撃で、とうとう杖とビーストコーラーの頭蓋が割れた。

2013-07-06 19:28:36
Astal_jukebox @astral_jukebox

『「イヤーッ」を止めたとたんにグワりやがって…まあいいや』 立ち上がり、杖の残骸を踏みにじる。 召喚獣達を象ったであろう杖は蝙蝠や双頭犬、魚の怪物他二・三種の精霊・魔生物が習合した、特徴的かつ独創的なデザインであった。 彼のハンドメイドだ。

2013-07-06 19:36:27
Astal_jukebox @astral_jukebox

全身を太糸束で拘束されるのも意に介さず、ダン!ダン!ダン!と駄々っ子じみた足踏みで徹底的に踏み砕く。 無数の星弾に打たれるのも、数の減った再召蝙蝠に噛まれるのも無視して踏みにじる。 五分はそうしてからマウントポジションに戻った。 『お前がそうか…ま、早い方がいいわな』

2013-07-06 19:52:56
Astal_jukebox @astral_jukebox

『ヒールアクセル・アンリミテッド!』 ようやく威力が消えきった回復異常強化に再び火が灯る。 蝙蝠が膨圧で粉砕され、糸が引き千切れ、星弾が弾かれる。 『お前には拷問しない』 「え?」 『聞くことは無い。ただ苦しめて殺す』 拳を握る。

2013-07-06 20:16:19
Astal_jukebox @astral_jukebox

『ペインアクセル・アンリミテッド!』 痛覚強化を寮の拳に纏う。 そして振り下ろす。 そして殴る。 「が…は…っ!?」 ホワイトが、殴る。殴る。殴る。 コーラーが吐血し、泣き、叫ぶ。 顎が砕け、声帯が裂ける。 物を言わぬ生者を更に殴る。 生きたサンドバッグを殴る。

2013-07-06 20:24:01
Astal_jukebox @astral_jukebox

「やめろっ!」 スターチェインバーが『ジャッジメント』の範囲を犠牲に効力を上げる。 ホワイトは意に介さず、左右の拳を振り下ろし続ける。 「放しやがれっ!」 ビッグネストが両腕を重点的に締め上げる。 ホワイトは腕が折れるのも構わず無理に引き千切り、殴る。

2013-07-06 20:33:37
Astal_jukebox @astral_jukebox

「ッ!!」 ビーストコーラーが体を捩じって逃れようとする。 殴ることでスタンさせて阻止して更に殴る。 死に物狂いで杖の補助も無しに強引に掃討犬複数を召喚する。 骨肉を食いつかれながらも、食い破られるより先に完治させつつ殴る。 殴る殴る殴る。

2013-07-06 20:56:24
Astal_jukebox @astral_jukebox

右腕に巻きついてくる糸を千切り、殴る。 脇腹に食いつく犬を膝で蹴り殺して殴る。 右腕を食う蝙蝠達を跳ね飛ばしつつ殴る。 蜘蛛巣弾が、肉を裂くのを無視して殴る。 纏わりつく召喚獣を無視して右腕で殴る。 撃ち込まれる魔弾を無視して左腕で殴る。 右腕で殴る。左腕で殴る。

2013-07-06 21:04:52
Astal_jukebox @astral_jukebox

無限にも思える乱打。 実際はたかが二分弱程度ではあるが、その嵐の中、ビーストコーラーの意識は薄れて行った。 (一体、何故、こいつは、ここ・・・まで) このダメージでは最早助からない。 それを自覚した彼はせめて殺される理由を知りたかった。

2013-07-06 21:28:24
Astal_jukebox @astral_jukebox

ホワイトの表情はひび割れたグラスがなおも隠しており見えない。 だが拳には明らかに殺意と憎悪…恨みが篭っていた。 ビーストコーラーにはホワイトに、どころか他人から恨みを買う覚えなど無かった。

2013-07-06 21:33:41
Astal_jukebox @astral_jukebox

何せ 人間を召喚獣の実験台にした際も 女を気晴らしに犯してから殺した際も、 目撃者を含めて全員確実に殺し、証拠も残さずに消した筈だからだ。 他所の魔術師など殺した覚えは勿論、やり合ったことすらないのだ。 恨みの買い様が無い、と彼は本気で信じ込んでいた。

2013-07-06 21:33:53