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「どんな本を仕事の参考にされてるんですか」 「え、本は読まないですよ」 「プーッ」 「本になるまでに何年かかると思うんですか。学会にシンポジウムに個人的なメールの遣り取り、時には直接現地に出向くでしょ普通」 「え」 「たとえば先月出た本ですけど、内容自体は3年前には公表済だよ」
2013-07-08 20:50:30「その」 「いいですか。本ってのは、ある程度の推敲を経て『出版してもそれほど恥をかかない程度にツッコミどころを解決した』後の内容なんですよ」 「そ、そうですよね」 「下手すりゃ出版前に出た最新研究で根底から覆される事もあるのに」 「じゃあ本が出るのは」 「読みやすい日本語だから」
2013-07-08 20:53:12「」 「出典が明記してあって、著者の経歴が分かって、人間関係や組織の系列が分かって、過去技術との関連性も載せてる場合が多くて、なおかつアマゾンで買いもとめられるから」 「」 「後は数年おきに改定版出ると、その都度最新情報で否定されたり復活されてる技術の比較が出来て有意義」
2013-07-08 20:55:09出版社で刷りあがった最新著書を読むよりも、学会で仲良くなって飲み会で年齢層の近い研究者の集いで本音トークかました方がよほど刺激的な情報が入る事もあるある。
2013-07-08 21:03:13「図書館の奥で何やってるんですか」 「文献調査」 「最新のですか」 「1974年に発表された論文」 「え」 「今やってる基礎研究と同じ系列でコンセプトが近いのを探してたんだけど、他の文献当たってみるとどーもその論文がネックで」 「でも四十年近く前のですよ」 「だから追試もするよ」
2013-07-08 21:26:58「え」 「その文献に書かれてた手法と測定法を今の技術と知識で再検証する。んで、文献通りの結果になるかどうかも見る」 「なんで!」 「その文献の結論考察だと今やってる研究が否定されちゃうから」 「否定されたら?」 「2年間の研究がパァ」 「その追試をするとなったら」 「半年あれば」
2013-07-08 21:28:55「留年確定じゃないですか!」 「そうだよ! 今からでもテキトーな研究室に移って就活に切り替えた方が人生設計安泰だよ!」 「なんでそんな研究始めたんですか!」 「こんな大ごとになるとは思わなかったんだよ畜生!」 理系あるある留年物語
2013-07-08 21:30:07