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【彼ら彼女らの饗宴】

大層なタイトルが以下略 狸シリーズ第4弾にして、完結。 もう狸の話は良いでしょう、えぇ。
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だいけ @daike0000

「くふふ……。何この『ゆかい』な感覚。あぁ、楽しいわー」

2010-09-23 21:43:46
だいけ @daike0000

さっき見た『黄色いウサギさん』の左前足に、とても面白いモノを見た。その光景が、今でも脳を激しく揺さぶって、そして、知らぬ知識がどんどんと流れ込んで来る。だから酷く『ゆかい』な気分になるのだ。そして今、この手には、

2010-09-23 21:44:40
だいけ @daike0000

「離せー! いや離して下さいお願いしまス――――ン!」

2010-09-23 21:44:57
だいけ @daike0000

白いケモノがもふもふと騒いでいた。――ヒイラギだ。

2010-09-23 21:45:10
だいけ @daike0000

「いやいや、折角捕まえたのに、離す訳ないでしょう。角が無ければただのケモノと同等かそれ以下。なら、アナタの角には、どれほどの『力』が篭められているのかしら?」

2010-09-23 21:46:16
だいけ @daike0000

なおりセンセーの目は、怪しく輝いていた。――赤く。

2010-09-23 21:46:39
だいけ @daike0000

「それがあれば、そうね、死人も生き返らせられるんじゃないかしら? ――この街は、何でも在り、のようだしね」

2010-09-23 21:47:00
だいけ @daike0000

――その認識は決定的に間違っているのだが。そも、この街に、

2010-09-23 21:47:20
だいけ @daike0000

【役と薬の違いにて】

2010-09-23 21:51:46
だいけ @daike0000

そういう訳で、彼の出番である。 頭痛薬にして頭痛役の青年である。 その彼が、ぼんやりと街を歩いていた。 手元、何かを抱き寄せるような仕草を見せて、だがそれは空を切る。

2010-09-23 21:52:52
だいけ @daike0000

「……あ、そっか。今は居ないんだったっけ」

2010-09-23 21:53:12
だいけ @daike0000

それが誰に向けられた言葉だったのか、敢えてその部分を記述することはしない。

2010-09-23 21:53:38
だいけ @daike0000

「……んー、何だろ。分かってるんだけど。寂しいな。……って!」

2010-09-23 21:54:02
だいけ @daike0000

そう、だから彼はそれを見て思わず声を上げた。 何気無しに見上げた空。青白い炎に包まれた狸が、

2010-09-23 21:54:17
だいけ @daike0000

「「――っ!!!」」 声にならぬ声を上げて、一直線に彼の胸元へと飛び込んできた。同時に、彼も無音の悲鳴を上げた。

2010-09-23 21:54:38
だいけ @daike0000

彼の字名は『頭痛役』である。 人々の痛みをその身に引き受けることを常とする彼ではあるが、しかしその身を焼く炎の痛みには、

2010-09-23 21:55:56
だいけ @daike0000

「……なんだ、この程度……っ!」 それよりも、何よりも大切なモノが目の前に居た。 青白い炎を纏いながら、身体を燃やしながら、ソイツが鳴いた。

2010-09-23 21:57:11
だいけ @daike0000

「……たぬ……ぅ……」

2010-09-23 21:57:38
だいけ @daike0000

彼が手を伸ばす。すぐに、触れることが出来た。 だから、抱き寄せた。いつものように、いつもの通りに。

2010-09-23 21:58:21
だいけ @daike0000

「大丈夫だ……! 俺が居るから、一緒だから、もう大丈夫だ……!」 そして、彼は1つの選択をする。それは、

2010-09-23 21:58:44
だいけ @daike0000

――ここで、私は彼に応えを求めよう。2人して共に炎に燃やし尽くされるのか。それとも、どちらかだけが助かるのか。その、どちらを選択するのかを。

2010-09-23 22:00:03
だいけ @daike0000

.@robonagare さて、”頭痛役”さん。――アナタの選択は?

2010-09-23 22:02:37
だいけ @daike0000

【白のケモノ、在る筈のモノ】

2010-09-23 22:04:14
だいけ @daike0000

「……すぐ近くに居ますね。走ります」 ヒイラギは鷲掴みにされていた。振り解いて逃げようという気は、とうの昔に失せていた。

2010-09-23 22:05:07