【彼ら彼女らの饗宴】

大層なタイトルが以下略 狸シリーズ第4弾にして、完結。 もう狸の話は良いでしょう、えぇ。
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だいけ @daike0000

死神の目的は、魂を狩ることである。 それはつまり、命を奪うことである。 ――正確には、死を迎える存在の場に現れ、その魂を収穫することにある。

2010-09-23 21:24:22
だいけ @daike0000

天使がその魂を神の御許に導くのとは違う。 死神はその魂を自己の内側に取り込むのが常である。ある意味、食事であるとも言えよう。 そう、食事だ。

2010-09-23 21:25:05
だいけ @daike0000

死にまつわる神の多くは、その魂を集める。低位の死神を使って集めさせている。 ある意味階級社会でもある。

2010-09-23 21:25:41
だいけ @daike0000

しかしながら、死神少女は気紛れな死神だ。 正確なランクは不明だが、下っ端などでは有り得ない。 何しろ、この街で自由に、好きなように動いているのだから。

2010-09-23 21:26:08
だいけ @daike0000

そして最近は欲求不満だったこともある。 何しろこの街では、その本分でもある魂狩りが出来ないのだ。 何故なら。

2010-09-23 21:26:47
だいけ @daike0000

――この街で、本当に死ぬモノなど、在り得ないから。 そのことに、その仕組みに、死神少女は気付き始めている。

2010-09-23 21:27:14
だいけ @daike0000

先の狸にしてもそうだ。 本気で狩るつもりだった。 あの変な青白い炎が邪魔をしなければ、狩っていた。狩れていた。 その筈だったのに。

2010-09-23 21:27:43
だいけ @daike0000

「……ってかさ、あの炎、なんだよ?」 死神少女の声には、怯えとも取れる震えが混じっていた。

2010-09-23 21:28:13
だいけ @daike0000

「確かに、『竜』レベルの存在、これまで2つは見たけどさ……」 あの青白い炎は、死神少女をして、『竜』と呼ばせるだけの素質を備えていた。

2010-09-23 21:28:40
だいけ @daike0000

「そんな伝説級の存在がポンポン出て来られても困るけどさぁ……」 死神少女の視線の先。青い2枚翼が遠ざかって行く。

2010-09-23 21:29:03
だいけ @daike0000

「青い翼なんて初めて見たけど。……でも、生まれたての天使に遅れを取るようなことだけはしたくないね」 大鎌を肩に担ぎなおし、死神少女は1歩を踏み出す。

2010-09-23 21:29:12
だいけ @daike0000

2歩目には、遠巻きにこちらを取り囲んでいたこの街の人間達を飛び越えて、空へ。 まるで見えない空に在る、見えない階段を駆け上るかのようだった。

2010-09-23 21:29:30
だいけ @daike0000

――ウサギの話を少しだけ混ぜよう。

2010-09-23 21:31:40
だいけ @daike0000

空を駆けるベレー帽の少女の真下、

2010-09-23 21:32:09
だいけ @daike0000

少しばかり刺激の強い光景に、ウサギはその真っ赤な目を見開いて、だが、確かに脳に刻み込んだ。

2010-09-23 21:32:48
だいけ @daike0000

「良い日だ。うん。……行き先も視えたし。それから、あとはこの家の主人が持ってる『空翔る獣の角』があれば、あの喜ぶ顔が見られるのか」

2010-09-23 21:33:27
だいけ @daike0000

【悪と名付けられた蛇】

2010-09-23 21:36:52
だいけ @daike0000

不知火、という名の存在が居た。そいつはこの街において、存在に寄生する妖怪の一種だという認識でほぼ間違いがない。

2010-09-23 21:37:10
だいけ @daike0000

幾代もの宿主を得て、幾代もの宿主達との別れを経験して。

2010-09-23 21:37:42
だいけ @daike0000

彼に募ったのは、宿主の魂を奪いに来る剥奪者の存在。

2010-09-23 21:38:13
だいけ @daike0000

死神に対する憎悪。そして、歴代の宿主達への、想い。それらが、不知火の中にはいつまでもいつまでも、いつまでも、――。

2010-09-23 21:38:53
だいけ @daike0000

なおりセンセー、と言えば大方誰もが同じ人間を思い浮かべるだろう。相応に、彼女はこの街では有名人である。その彼女が、街中の公園で奇妙な含み笑いを漏らしていた。

2010-09-23 21:43:30
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