陶芸を通じてアジアを見る-愛知県陶磁美術館・大長学芸員が語る「アジアの現代陶芸」 #a_bunjo

平成25年7月12日に開催された、愛知県文化情報センター主催「はじめてアート講座2013(第5回)」のまとめです。今回の講師は、大長智広さん(愛知県陶磁美術館・学芸員)でした。 関連リンクと補強を交えつつ、当日の要約を振り返ります。
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Arts Audience T…ロプロプ @loplop_org

大長「台湾では国際陶芸ビエンナーレとして、2年ごとに公募展と企画コンペが順繰りに開催されるている。こう云ったことも、台湾の陶芸が力をつけている背景にあるのではないか。同ビエンナーレの出展作家も交感展では展示される」 #a_bunjo

2013-07-17 04:33:50
Arts Audience T…ロプロプ @loplop_org

大長「(張清淵、シャオ・ティン・ルーらの作品をスライドで紹介)この二人は空間やストーリーを重視する作家なので、日本でみられる“素材重視”といったテーマとはやや異なるが、そういったテーマをあつかう作家もおり、多様性がある」 #a_bunjo

2013-07-12 19:40:33
Arts Audience T…ロプロプ @loplop_org

大長「歴史をたどると中日現代陶芸家作品展(1981年、開催期間はわずか10日)にいきつく。日本側からは美術評論家・吉田耕三が企画で参加、多くの日本人作家の作品を持ち込んだ。日展から工芸まではば広い作品を選出、日本の現代陶芸を紹介しようと云う意図よりは(続)」 #a_bunjo

2013-07-12 19:42:47
Arts Audience T…ロプロプ @loplop_org

(続)当時の現状そのままを横断的に示したのではないか。同展覧会を受けた台湾では、日本の彫刻的陶芸の先進性に照らして、台湾の陶芸表現の遅れを指摘する声がおこった。台湾の作り手たちは徒弟制のなかにあって“アーティスト”ではない、そんな時代だった」 #a_bunjo

2013-07-12 19:45:42
Arts Audience T…ロプロプ @loplop_org

大長「このほか“うつわ”をとっても、日本では実用品から離れて見直され、焼き物における位置を獲得してきた。そう云った、焼き物の形態感を見直す日本陶芸のとらえ方・流れが、当時の台湾にはなかった。同展覧会は、その出会いとなった」 #a_bunjo

2013-07-12 19:47:28
Arts Audience T…ロプロプ @loplop_org

大長「台湾には、大陸から移った漢民族のほか先住民族が11もおり、さまざまな国際意識も流入している。多元的な文化意識・国際意識が、陶芸家たちにもある。日本や欧米など、一度国外に出ると云うのが主流になっている」 #a_bunjo

2013-07-12 19:50:50
Arts Audience T…ロプロプ @loplop_org

大長「その逆の例もあり、1960年代後半~1970年前半にかけて日本で陶芸の国際展が相次いだ。国際現代陶芸展(1964年)、現代の陶芸:ヨーロッパと日本(1970年)など。それまで日本の陶芸が最高峰だと内向きに思っていたを見直し、国際意識を持つきっかけとなった」 #a_bunjo

2013-07-12 19:54:05
Arts Audience T…ロプロプ @loplop_org

大長「台湾における日本陶芸のように、日本に影響を与えたのがアメリカの陶芸だった。当時、アメリカの陶芸は抽象表現主義やポップアートを示していた。当時のアメリカ陶芸がもつ触覚や身体性、物質性などに日本陶芸は出会い、一気にそこに向かったこともある」 #a_bunjo

2013-07-12 19:56:13
Arts Audience T…ロプロプ @loplop_org

大長「このように、国際意識や多元的文化主義のもとで影響を受けると云った例は各国にある。続けて韓国を紹介したい」 #a_bunjo

2013-07-12 19:57:55

4:韓国の現代陶芸

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【4:韓国の現代陶芸】大長「(深相浩、Won Kyung Hwan、Kyungmin Lee らのに作品をスライドで紹介)国際展で受賞歴のある作家も多い。韓国と云うと朝鮮王朝(=李朝)時代の白磁などを思い浮かべるが、現代陶芸では美術的な陶芸が中心になりつつある」 #a_bunjo

2013-07-12 20:01:26
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大長「韓国の現代陶芸のは社会の動きと連動しており、1970年代から始まった。現代陶芸が広義には大正から、厳密には戦後すぐから始まった日本よりは遅いが、台湾のそれよりは早かったと言える。しかし1950年代~1960年代から陶芸の個展は開催されており、下地はあった」 #a_bunjo

2013-07-17 04:33:57
Arts Audience T…ロプロプ @loplop_org

大長「その後、表現としての焼き物が花開いたわけだが、(工房に入るのではなく)大学での教育から始まることが圧倒的に多い。海外にも出て、美術的な方向性が強い。こう云った傾向を受けて、昨今の韓国では(韓国陶芸が)外形的な成果=美術的に見えることばかり模索した結果(続) #a_bunjo

2013-07-12 20:06:15
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(続)陶芸の文化的な価値などに触れてこなかったことが問題として指摘さられている。たとえば伝統的な陶芸作品を作りづけると、韓国では単なる職人としてやや下に見られることがある。日本と韓国の間には、伝統概念のとらえ方の差がある」 #a_bunjo

2013-07-12 20:08:05
Arts Audience T…ロプロプ @loplop_org

大長「日本では文化財保護法(1950年)、美術としての視点はいっさいなく技術としての保護・助成をめざして定められた。陶芸の分野でも、特定の技術をピンポイントで念頭に置いており、対象者が選ばれている。つまり、伝統が制度として(国が)定めている」 #a_bunjo

2013-07-12 20:10:30
Arts Audience T…ロプロプ @loplop_org

大長「日本伝統工芸展では、当初は創作性が評価されなかったため議論を呼び、5回目からは“日本工芸展”となった。しかし、高松宮宣仁親王の提言から6回目からは“伝統”の文言を戻すことになり、そこで“伝統”概念自体を変えることになった」 #a_bunjo

2013-07-17 04:34:04
Arts Audience T…ロプロプ @loplop_org

大長「第6回の序文では“流れる水のごとく一瞬もとどまることなく”変わることが伝統、として謳われ伝統概念が変遷した。韓国もこれに遅れる形で、焼き物をめぐる情況は大きく変わりつつある」 #a_bunjo

2013-07-12 20:16:20
Arts Audience T…ロプロプ @loplop_org

大長「1997年頃の経済危機下では、陶磁器が持っている経済的効果のもとでクラフト的な表現に向かった。ある種の手堅さでもあるが、韓国陶芸はそこにとどまらず発展的な方向に向かった。国外での展示や、大規模な陶芸関連施設の建設など(続) #a_bunjo

2013-07-12 20:18:52
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(続)文化の戦略的なとらえ方が日本とは異なる部分もある。(現代の韓国陶芸をスライドで紹介)クラフト系は国際的にも評価が高い。つづけて中国を紹介したい」 #a_bunjo

2013-07-12 20:20:49

5:中国の現代陶芸

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【5:中国の現代陶芸】大長「中国については、範囲が広すぎて自身はまだとらえ切れていない。昔の技法をそのまま引きずっていくと云う作家ないし職人が多く、彼らが作家活動を行っている。それが中国陶芸の特徴となる」 #a_bunjo

2013-07-12 20:22:42
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大長「中国陶芸の美術的な表現を振り返ると、1980年代からとなる。文化大革命とそこで教育された世代が主流をしめるなかで、それらへの反発として1980年代から中国のアバンギャルドが始まった」 #a_bunjo

2013-07-17 04:34:59
Arts Audience T…ロプロプ @loplop_org

大長「その流れ(=中国のアバンギャルド)において、徐々に現代陶芸も始まった。ここで伝統的な仕事の他に造形的、コンセプチュアルな仕事も制作されるようになった」 #a_bunjo

2013-07-17 04:35:05
Arts Audience T…ロプロプ @loplop_org

大長「中国では、近年、現代陶芸展が初めて開催された。その写真をいま見ると(冗談で)きれいなお土産品に見えてしまうと云う声もある。陶芸が強い清華大学の教授は、陶芸は芸術に含まれていないと言う。その壁は、他国のそれよりも一段と高いのではないか」 #a_bunjo

2013-07-12 20:29:17
Arts Audience T…ロプロプ @loplop_org

大長「しかし中国陶磁市場は加熱しており、流通している作品の質と、そこにつけられる値段の落差をみると驚く。あまりの加熱ぶりに、本来の意味での陶磁文化の伸展には結びつかないのではないか、と危惧する声も(中国国内から)あがっている」 #a_bunjo

2013-07-12 20:31:37