九十二話：おやつのじかん　第九十三話：嘘つき　第九十四話：『会いたい』

さく@今日も生きる @C_N_nyanko

　答えようとしたところで、目の前に私の抹茶ラテが置かれた。 「――少し違うわ」 　店員がいなくなるのを待って、私は言う。 「伝言はこうよ」 　言うなり、顔がメキメキと変形した。 　男はハッと目を見開いた。 http://t.co/Yoa5FrowrV #角川小説

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「君、は……」 　彼に呼ばれ、知らない女の顔は、乞うように言った。 「『会いたい』」 　伝言を終えた私は、元の顔に戻った。男は呆然として、何故だか泣いていた。男のくせに泣くなんて、みっともないと思った。 http://t.co/Yoa5FrowrV #角川小説

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　恋人だったのだろうか。 　すぐ立ち去る気にはなれなかった。珍しい伝言だったからか、あるいは、この人間に興味があるからなのか。 　男は涙を拭って、私に向き直る。 「その『君』は、今どこに？　君は知ってるんだろ？」 http://t.co/Yoa5FrowrV #角川小説

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　私は少し間を置いて、頷いた。 「簡単よ」 　口にして、少し哂ってしまった。 「彼岸に逝けば、会えるわ」 　男は、まっすぐに私を見た。その奥に、強固な決意がちらりと顔を覗かせたような、そんな気がした。 http://t.co/Yoa5FrowrV #角川小説

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第九十四話：続 http://t.co/Yoa5FrowrV #角川小説