リボルバー・アンド・ヌンチャク #2

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニンジャ……だって?」その神秘的な響きを聞き、マッチ・ジュンゴーの中で何かが爆発した。バチバチバチ!頭の中の不発弾に導火線着火されたかのような、いてもたってもいられない初期衝動が起こり、彼は自分の部屋へと走った!あの夜のように瞳孔が限界まで開き、無限の力が沸き出してきた! 25

2013-07-20 23:41:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「どけファック野郎!」「アイエエエ!」邪魔なヨタモノを押し倒して駆ける!「ついにこの時が来た!」スターン!彼は自宅のフスマを開けると、ニンジャ資料集やゴミやケーブルの山をかきわけ、オイランドロイドを放り投げて、埋もれていた薄汚いファイアパターンのジャケットを掘り起こした。 26

2013-07-20 23:48:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

それは彼がチョット・ピザで働き出した年に買ったもので、時代遅れもいいところだ。ヨタモノ連中にバカにされたのでずっと着る機会が無かった。二年前にニンジャハンターになると決意したときも、結局着る機会が無かった。ジュンゴーはそれを羽織り、威圧感を増すためにブラックベルトを巻いた。 27

2013-07-20 23:52:23
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「もっと燃料……音楽!」ジュンゴーはチャブの上に置かれたサイバーヘッドセットを装備した。ギュオオオーン!ジダイが好きだったヤクザパンクが右のヘッドホンから流れる!「アーッ!そいつは……モーターサイクルに乗った……ヴァンパイア・ヤクザの差し金!……アーッ!」盛り上がってきた! 28

2013-07-20 23:56:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハァーッ!ハァーッ!ハァーッ!」ジュンゴーは立て掛けた木人を放り投げ、タンスの奥から、傾いたアナログ・サングラスと銀色のリボルバーを引っ掴んだ!そしてスリケンを……あの夜に拾った戦利品スリケンに針をくっつけたものを、ニンジャ保安官のようにジャケットの左胸に輝かせた! 29

2013-07-21 00:00:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アーッ!銃で撃っても死なねえぜ……!スカーフの下には白い牙……!」右耳から注がれるサイコビリーの力により、天然アドレナリンが涌き出す!「俺はニンジャハンターだ!」本当はジダイと二人でそうなりたかった。ジュンゴーは神棚に置かれた黒いヌンチャクを取りベルトに挿す!「完璧だ!」 30

2013-07-21 00:06:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ゴボボーッ!」ホバタは割れた酒瓶を持ちながら、ふらふらと廊下を歩いていた。「黙れクソジジイ!」「静かにしてほしい!」「バカ!」「TVが聞こえねえだろ!」ヨタモノたちの悪辣な罵声が、強化フスマの奥から聞こえてくる。皆現実から目を背け、IRC電脳空間やTVに逃避しているのだ。 31

2013-07-21 00:11:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ホバタは階段を登った。踊り場に、銀色のリボルバー銃を持った狂人が座り、彼を待ち構えていた。一瞬驚いたが、それはすぐに、マッチ・ジュンゴーだと解った。だが、何かが……アトモスフィアが完全に異なっていた。 32

2013-07-21 00:17:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「どけーッ!どきやがれ!わしを笑いに来たのか!オモチャ持って何してやがる!」「……ホバタ=サン、俺は知ってるんだぜ」ジュンゴーは銀色のリボルバーを見事な手さばきでクルクルと回転させた。まるで別人のような口調だった。「な、何をだ……」ホバタはたじろいだ。ジュンゴーは答えない。 33

2013-07-21 00:20:08
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……言えよ!知ってるって、何をだよ!」ホバタが怒鳴る。「シーッ……ニンジャだろ、爺さん」彼は静かに言った。「おめえ、何でそれを……!」冷水を頭からぶっかけられかのように、老人の顔付きが変わった。酔いが醒めた。「俺は、ニンジャの事なら何でも知ってるんだ」彼はニヒルに笑った。 34

2013-07-21 00:25:39
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「図星だな。要するにあんたは、ニンジャのせいで酷い目にあってる……だから俺が力になろうってのさ」「やめてくれ!ニンジャの事を知った奴ぁ、全員消されちまう!」「シーッ、静かにしなよ。ニンジャが聞いてるかもしれねえだろ」「そ、そうか。すまねえ。……でも、ニンジャに敵うはずが…」 35

2013-07-21 00:30:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「爺さん、見なよ」ジュンゴーは左胸のスリケンバッジを指差した。「そいつぁ、おめえ、もしかして……スリケンじゃねえのか…!」「戦利品さ。俺は昔、ニンジャハンターだったんだ。爺さん、俺はニンジャを殺せるんだ」ジュンゴーは銃口に息を吹きかけた。「まさか……そんな…」「ついてきな」 36

2013-07-21 00:35:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

二人はジュンゴーの部屋に向かった。突き倒されて怒ったヨタモノが待ち構えていたが、ニンジャハンターの勇姿を見て恐れ入り、尻尾を巻いて逃げていった。「入ってくれよ、爺さん」ジュンゴーが手招きし、ボンボリライトを点けた。「あ、ああ……」老人は夢を見ているような気分で後に続いた。 37

2013-07-21 00:42:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「これは……!」老人は驚いた。昔、彼の部屋にはゴミと中古のオイランドロイドしか無かったはずだ。それがいつの間にか本棚が立ち並び、ニンジャ装束を着せられた傷だらけの木人と、中古の情報収集用UNIXがゴミの中に聳えている!額には半分焼け焦げた不気味な暗号マキモノが飾られていた! 38

2013-07-21 00:46:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ニンジャは殺せる」ジュンゴーはノートを広げて語った。「奴らは吸血鬼と違い、銃で撃たれても平気な化物というワケじゃないし、日光に弱くもない。顔を覆面やメンポで隠してるのは、何か別の理由だ。それはまだ突き止めていないが、殺すうえで特に問題はない。また、奴らは死ぬと爆発四散する」39

2013-07-21 00:52:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼は様々なフィールドワークで情報を集めた。また本棚には他にも、様々なニンジャ・カトゥーンやムービーが納められていた。その中から真実だけを抽出しようと試みたのだ。それはひとりの無力なネオサイタマ市民が調べた情報としては、奇跡的な成果だった。何より、彼の言葉には説得力があった。 40

2013-07-21 01:00:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「…ただのピザ屋の店員じゃなかったんだな……!やれるかもしれねえ……!」ホバタは息を吹き返したかのように目を輝かせた。ジュンゴーはそれを見て、不意に、嬉しいと思った。「俺はあんたみたいなのを放っておけねえのさ」ジダイと初めて話した時、自分もそんな目をしていたはずだと悟った。 41

2013-07-21 01:06:51