麻生副総理の発言「ドイツのワイマール憲法はいつの間にか変わっていた。誰も気がつかない間に変わった。あの手口を学んだらどうか」の真相のまとめ
- 麻生副総理「ナチス憲法発言」撤回に寄せたコメント全文 2013.8.1 14:05 MSN産経ニュース
麻生太郎副総理兼財務相が発表したナチス発言撤回に関するコメントの全文は次の通り。
7月29日の国家基本問題研究所月例研究会における私のナチス政権に関する発言が、私の真意と異なり誤解を招いたことは遺憾である。
私は、憲法改正については、落ち着いて議論することが極めて重要であると考えている。この点を強調する趣旨で、同研究会においては、喧騒にまぎれて十分な国民的理解及び議論のないまま進んでしまった悪しき例として、ナチス政権下のワイマール憲法に係る経緯をあげたところである。私がナチス及びワイマール憲法に係る経緯について、極めて否定的にとらえていることは、私の発言全体から明らかである。ただし、この例示が、誤解を招く結果となったので、ナチス政権を例示としてあげたことは撤回したい。(原文通り)
- 朝日新聞デジタル:麻生氏が発表したコメント全文 2013年8月1日11時46分
麻生太郎副総理が1日に発表したコメント全文は次の通り。
◇
7月29日の国家基本問題研究所月例研究会における私のナチス政権に関する発言が、私の真意と異なり誤解を招いたことは遺憾である。
私は、憲法改正については、落ち着いて議論することが極めて重要であると考えている。この点を強調する趣旨で、同研究会においては、喧騒(けんそう)にまぎれて十分な国民的理解及び議論のないまま進んでしまった悪(あ)しき例として、ナチス政権下のワイマール憲法に係る経緯をあげたところである。私がナチス及びワイマール憲法に係る経緯について、極めて否定的にとらえていることは、私の発言全体から明らかである。ただし、この例示が、誤解を招く結果となったので、ナチス政権を例示としてあげたことは撤回したい。
- ナチス政権を例示、麻生氏が発言撤回 「誤解招き遺憾」2013年8月1日11時19分 朝日新聞
麻生太郎副総理は1日、ナチス政権を引き合いに「手口に学んだらどうか」とした自らの憲法改正に関する発言について、撤回するコメントを発表した。内外で批判が広がっていることを受け、2日から始まる臨時国会前に幕引きを図った。
麻生氏発言に関する記事はこちら
麻生氏は1日午前、財務省で記者団に「発言が私の真意と異なり誤解を招いたことは遺憾だ。ナチス政権を例示としてあげたことは撤回したい」とするコメントを読み上げた。
麻生氏は7月29日、都内のシンポジウムで「ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていた。誰も気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね」と発言。これに対し、米国の代表的なユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」が7月30日に批判声明を発表したほか、韓国、中国両国外務省のスポークスマンも批判するコメントを出した。国内でも、社民党の又市征治幹事長が7月31日に発言撤回と閣僚及び議員辞職を求める談話を発表していた。
- 麻生氏 ナチス引用発言を撤回 8月1日 13時6分
麻生副総理兼財務大臣は、憲法改正に関連して「ドイツのワイマール憲法もいつの間にかナチス憲法に変わっていた。あの手口、学んだらどうか」などと述べたことについて「真意と異なり、誤解を招いたことは遺憾だ」と述べ、発言を撤回しました。
麻生副総理兼財務大臣は、先月29日、東京都内で開かれたシンポジウムで、憲法改正に関連して「憲法の話は狂騒のなかでやってほしくない。ドイツのワイマール憲法もいつの間にかナチス憲法に変わっていた。誰も気付かないで変わった。あの手口、学んだらどうかね」などと述べました。
この発言に対し、アメリカのユダヤ系の人権団体や野党側から「ナチス政権を称賛する発言だ」などとして批判が出ていました。
これについて、麻生副総理兼財務大臣は、1日午前、記者団に対して「私の発言が真意と異なり、誤解を招いたことは遺憾だ。私は憲法改正について、落ち着いて議論することが極めて重要であると考えている。この点を強調する趣旨で、けん騒に紛れて十分な国民的理解や議論のないまま進んでしまった悪しき例として、ナチス政権下のワイマール憲法の経緯を挙げた。私がナチスおよびワイマール憲法にかかる経緯について、極めて否定的に捉えていることは、私の発言全体から明らかだ」と述べました。
そのうえで、麻生大臣は「この例示が誤解を招く結果となったので、ナチス政権を例示として挙げたことは撤回したい」と述べ、発言を撤回しました。
「ナチス肯定断じてない」
菅官房長官は、午前の記者会見で「安倍内閣、政府の立場はナチスを肯定的に捉えるようなことは断じてない。わが国は戦後一貫して平和と人権を徹底的に擁護する社会を築き上げ、国際社会に貢献してきた。今後もその方向性はまったく変わらない」と述べました。
また、菅官房長官は「麻生副総理には、きのう電話で『誤解を受けている』と伝え、本人は『趣旨と違うので撤回したい』ということだった」と述べました。
さらに、菅官房長官は記者団が「野党側からは麻生氏の議員辞職を求める声が出ているが、この問題はこれで終わりか」と質問したのに対し「今、申し上げたことに尽きる」と述べました。
- 「日本国憲法改正草案」自由民主党 平成二十四年四月二十七日(決定) (現行憲法対照)
http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf - 自民党「日本国憲法改正草案 Q&A」 - 自由民主党
http://www.jimin.jp/policy/pamphlet/pdf/kenpou_qa.pdf
- 【櫻井よしこ 美しき勁き国へ】朝日が日本を国際社会の笑い物に…歪曲された麻生発言
2013.8.5 17:26 (1/3ページ)[安倍内閣]- MSN産経ニュース
なるほど、朝日新聞はこのようにして事柄を歪曲(わいきょく)していくのか。麻生太郎副総理発言を朝日新聞が報じる手口を眼前にしての、これが私自身の率直な感想である。
8月1日と2日、朝日の紙面は麻生発言で「熱狂」した。日によって1面の「天声人語」、社会面、社説を動員し、まさに全社あげてといってよい形で発言を批判した。
討論会の主催者兼司会者として現場に居合わせた私の実感からすれば、後述するように朝日の報道は麻生発言の意味を物の見事に反転させたと言わざるを得ない。
7月29日、私が理事長を務める国家基本問題研究所(国基研)は「日本再建への道」と題した月例研究会を主催した。衆議院、都議会、参議院の三大選挙で圧勝、完勝した安倍自民党は、如何(いか)にして日本周辺で急速に高まる危機を乗り越え、日本再建を成し得るかを問う討論会だった。
日本再建は憲法改正なしにはあり得ない。従って主題は当然、憲法改正だった。
月例研究会に麻生副総理の出席を得たことで改正に向けた活発な議論を期待したのは、大勝した自民党は党是である憲法改正を着実に進めるだろうと考えたからだ。
が、蓋を開けてみれば氏と私及び国基研の間には少なからぬ考え方の開きがあると感じた。憲法改正を主張してきた私たちに、氏は「自分は左翼」と語り、セミナー開始前から微妙な牽制(けんせい)球を投げた。
セミナーでも氏は「最近は左翼じゃないかと言われる」と述べ、改正論議の熱狂を戒めた。私はそれを、改正を急ぐべしという国基研と自分は同じではないという氏のメッセージだと、受けとめた。
「憲法改正なんていう話は熱狂の中に決めてもらっては困ります。ワァワァ騒いでその中で決まったなんていう話は最も危ない」「しつこいようだが(憲法改正を)ウワァーとなった中で、狂騒の中で、狂乱の中で、騒々しい中で決めてほしくない」という具合に、氏は同趣旨の主張を5度、繰り返した。
事実を見れば熱狂しているのは護憲派である。改憲派は自民党を筆頭に熱狂どころか、冷めている。むしろ長年冷めすぎてきたのが自民党だ。いまこそ、自民党は燃えなければならないのだ。
にも拘(かか)わらず麻生氏は尚(なお)、熱狂を戒めた。その中でヒトラーとワイマール憲法に関し、「あの手口、学んだらどうかね」という不適切な表現を口にした。「ワイマール憲法がナチス憲法に変わった」と氏はいうが、その事実はない。有り体に言って一連の発言は、結局、「ワイマール体制の崩壊に至った過程からその失敗を学べ」という反語的意味だと私は受けとめた。
憲法改正に後ろ向きの印象を与えた麻生発言だったが、朝日新聞はまったく別の意味を持つものとして報じた。
◇
たとえば1日の「天声人語」子は、麻生発言を「素直に聞けば、粛々と民主主義を破壊したナチスのやり方を見習え、ということになってしまう」と書いた。前後の発言を合わせて全体を「素直に聞」けば、麻生氏が「粛々と民主主義を破壊」する手法に習おうとしているなどの解釈が如何(いか)にして可能なのか、不思議である。天声人語子の想像力の逞(たくま)しさに私は舌を巻く。
朝日の記事の水準の高さには定評があったはずだ。現場にいた記者が麻生発言の真意を読みとれないはずはないと思っていた私は、朝日を買いかぶっていた。
朝日は前後の発言を省き、全体の文意に目をつぶり、失言部分だけを取り出して、麻生氏だけでなく日本を国際社会の笑い物にしようとした。そこには公器の意識はないのであろう。朝日は新たな歴史問題を作り上げ、憲法改正の動きにも水を差し続けるだろう。そんな疑惑を抱くのは、同紙が他にも事実歪曲(わいきょく)報道の事例を指摘されているからだ。
典型は「読売新聞」が今年5月14、15日付で朝日の誤報が慰安婦問題を政治問題化させたと報じた件だ。読売の朝日批判としては珍しいが、同件について朝日は説明していない。
古い話だが、歴史問題にこだわるなら、昭和20年8月の朝日の報道も検証が必要だ。終戦5日前に日本の敗戦を示唆する政府声明が発表され、朝日新聞の編集局長らは当時こうした情報を掴(つか)んでいた。新聞の使命としていち早く、日本敗戦の可能性を国民に知らせなければならない。だが、朝日新聞は反対に8月14日、戦争遂行と戦意高揚を強調する社説を掲げた。これこそ、国民への犯罪的報道ではないか。朝日の歴史認識を問うべきこの事例は『朝日新聞の戦争責任』(安田将三、石橋孝太郎著、太田出版)に詳しく、一読を勧めたい。
これらのことをもって反省なき朝日と言われても弁明は難しい。その朝日が再び麻生発言で歴史問題を作り出し、国益を害するのは、到底許されない。
それはともかく、自民党はまたもや朝日、中国、韓国などの批判の前で立ちすくむのか。中国の脅威、韓国、北朝鮮の反日、米国の内向き志向という周辺情勢を見れば、現行憲法改正の急務は自明の理だ。それなのに「冷静な議論」を強調するのは、麻生氏を含む多くの自民党議員は憲法改正に消極的ということか。日本が直面する危機に目をつぶり、結党の志を横に措(お)き、憲法改正の歩みを緩めるのだろうか。であれば、護憲の道を歩む朝日の思う壺(つぼ)ではないか。自民党はそれでよいのか。私の関心は、専ら、この点にある。
「いつから騒ぎにした。マスコミですよ。いつのときからか、騒ぎになった。騒がれたら、中国も騒がざるをえない。韓国も騒ぎますよ。」の理由がわかるかもしれないまとめ。