Turing次数理論のMartin予想をめぐる対話
@DaiskeIkegami チューリング次数の研究では近年は決定性絡みの話ってほとんど無かったというか忘れ去られつつあったかのようなイメージだったので、Marksらによるそういう発展があったのは割と衝撃でした。
2013-08-01 19:01:33@DaiskeIkegami おお、Theta未満の基数上の測度ってマーティン測度とそんなに関係していたんですか。勉強不足で全然知りませんでした。ちょっと勉強してきます。
2013-08-01 19:05:15@DaiskeIkegami ご丁寧に教えて下さってありがとうございます。なるほど、その辺の話には全く無知なのですが、そういう風にgeneric extensionでのTuring degreeの振る舞いを制御したいというようなが割とあるものなんですか。
2013-08-01 19:20:48@DaiskeIkegami ちょっと大雑把なアイデア的なものがあるのですが、この程度のアイデアは他の人が思いついていてもおかしくないので、こんなアイデアではまず上手く行かないと思うのですが、自分のこのアイデアが上手くいかない理由を明確化しておきたいなあという気持ちでの挑戦です。
2013-08-01 19:22:26@DaiskeIkegami あ、遅くまで付き合わせてしまってごめんなさい。別の仕事を同時並行にしてたりで返事が遅くなりました。おやすみなさい。
2013-08-01 19:23:19@tri_iro この結果の証明は,これ(http://t.co/03tPyTtDex)の280ページの(b)に書いてあります。そこでは,任意の λ < Theta に対して,λ 上の測度全体が整列できることも証明されてます。議論は非常にシンプルなので,時間のあるときにどうぞ。
2013-08-02 09:26:54@tri_iro どうなんでしょうね。ここで見ているのは ground model での Turing degrees たちに対する,generic extension での超越的なオブジェクト(ω-cofinal な sequence)なんですが,
2013-08-02 09:33:37@tri_iro こういうオブジェクトをくっつける強制法を考える文脈は他にもあります。Perfect tree T がpointed perfectとは,任意のTのinfinite path xがTよりもTuring degreeの意味で強い(あるいは同じ)もののことを言います。
2013-08-02 09:36:20@tri_iro AD を仮定したとき,pointed perfect trees を condition とする強制法と Martin 測度には密接な関係があります。
2013-08-02 09:38:34@tri_iro Martin は,ADを仮定したとき,任意の実数の部分集合が,ある pointed perfect tree の無限枝全体を含むか,そういう集まりと disjoint となることを証明しました。Perfect set property をちょっと強めた感じです。
2013-08-02 09:45:07@tri_iro この結果と先程述べた強制法の density argument を使うと,G をその強制法の generic filter over V としたとき,{ [T] ; T in G } から生成される実数全体上のフィルターが V-超フィルターになります。
2013-08-02 09:47:13@tri_iro この V-超フィルターを使ってVのウルトラパワーを(V[G] で)取ったとき,そのultrapower mapを i とし,Martin 測度を使って (V で) V のウルトラパワーを取ったときの map を j とすると,i と j は順序数上で一致します。
2013-08-02 09:51:56@tri_iro この二つのウルトラパワーの本質的な違いは,V = L(P(R)) のときに前者で Los が成り立つのに対し,後者では(V に choice がないので)Los が成り立たないところです。
2013-08-02 09:55:49@tri_iro この違いが生じる原因は,前者の台集合が実数全体なのに対し,後者が Turing degree 全体なためです。測度 1 の実数たちに対して何かを選ぶというのは DC や AD^+ とかあるとうまくできるんですけど,
2013-08-02 10:01:43@tri_iro 測度 1 の Turing degrees たちに対して何かを選んでくる,というのは AD の文脈では不可能なことが多いです。
2013-08-02 10:01:47@tri_iro で,前者の Los のあるウルトラパワーを使って ground model の HOD をいじったり,任意の実数の集合に対する木の表現を作ろうとすることは頻繁にあります。
2013-08-02 10:07:34@tri_iro このウルトラパワーの map のターゲットを M としたとき,関心のあるオブジェクトはみんな M で可算になっているので,Σ^1_1 集合たちの理論が M で使えてその結果を ground model に引き戻してくる,というテクニックが有効になります。
2013-08-02 10:08:41@tri_iro で,この文脈で Martin 測度が活躍するのは,上記の M が wellfounded になっているところで,そこに上記の i と j が順序数上で一致する,という fact が利いてきます。
2013-08-02 10:11:34@tri_iro このように,determinacy の model では,考えている測度のウルトラパワーが Los を満たさないことが多いですが,適切な強制法により V-超フィルターを作り V のウルトラパワーを取ってあげることで,
2013-08-02 10:16:07@tri_iro 元々のウルトラパワーとある意味似ていて Los のあるものができる,という現象がよく起こります。Martin 測度ではありませんが,僕も,AD_R と Bl-AD_R の関係を調べるときに似たような状況に遭遇しました。
2013-08-02 10:18:03