#往来新人 「短歌往来」今月の新人欄を読む・第五回
- hikaritoshigo
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【#往来新人 第五回】吉田恭大(@tanka_daya )・千種創一(@chigusasoichi )による批評ユニット #砂上の塔 で短歌総合誌「短歌往来」の「今月の新人」欄を取り上げていきます。今回は2月号の大森静佳さんを取り上げます。
2013-08-01 22:49:46※※※
1.海鳴りはあなたでしたか追いつめて衿をひらけば消えるでもなく /大森静佳「飛行」(短歌往来2013年2月号) #往来新人
2013-08-01 22:50:022.世を抜ける河の速さをおもわせてトイレットペーパーの 最後だ /大森静佳「飛行」(短歌往来2013年2月号) #往来新人
2013-08-01 22:50:173.触れる指、刺す指、こころに至る指まだ夕焼けの梁に添わせて /大森静佳「飛行」(短歌往来2013年2月号) #往来新人
2013-08-01 22:50:254.うつむいて通わせる火の環の揺れのあなたの部屋に眼をかなしめり /大森静佳「飛行」(短歌往来2013年2月号) #往来新人
2013-08-01 22:50:405.もっと呼びたいそしてそこから鳥たちが空に吐く糸熱くてならず /大森静佳「飛行」(短歌往来2013年2月号) #往来新人
2013-08-01 22:50:48※※※
3。上の句、下の句とも抽象度が高いのに歌として散漫になってないのは、「触れる指」「刺す指」という句が、読み手にとって広すぎず狭すぎずの入口として働いているからだろう。#往来新人
2013-08-01 22:52:083の続き。入口がしっかりしているので、読み手は「夕焼けの梁」という難解も肯定的に捉えることができる。夕焼けの時間帯の梁なのか、夕陽を浴びる梁なのか、それとも夕焼けという概念を支える梁なのか。意味を特定させないのが、またいい。#往来新人 .
2013-08-01 22:56:43先ほど吉田さんがつぶやいた歌も含め、大森静佳さんは以前 #塔1020 でも扱いました。http://t.co/TQBvpVCkSK #往来新人 .
2013-08-01 23:10:08要素が二つではなく三つ、指で象徴される感情が並ぶんだけど、どれも梁に触る動作(添わせて)に綺麗に接続するんですね。「夕焼けの梁」は確かに抽象度が高いけれど、指の側に心象の重点が置かれているからあまり深入りせずに読める。 #往来新人 .
2013-08-01 23:14:224が気になりました。上の句はガスコンロ点けてるのかな。綺麗に言い換えられていると思う。ただ、結句がよく分からないんだよね。 #往来新人
2013-08-01 23:25:30眼をかなしめり、の結句が、何となく感情の所作としてうまくまとまっちゃってて、何を悲しんでいるのか気になるけど読み込めない #往来新人 .
2013-08-01 23:27:374。あなたの部屋に(あなたの)眼をかなしめり って読んだ。揺れるガスの青い火の環のような眼をしていてそこに悲しみを読み取った、と。5とかも複雑。糸を吐く鳥は、絵画的に脳内で再生すればいいのかな。 #往来新人 .
2013-08-01 23:36:22景がわかんないのもそうなんだけど、初句の「もっと呼びたい」とそれ以降との関連が作者の中にしかないのが問題なんじゃないかな。 感情を言おうとしている部分と、短歌的な表現の凝っている部分がそれぞれ衝突していてうまく結びついていない感じ。 #往来新人 .
2013-08-01 23:41:30まあ、難解な部分もあるけどスピード感のある連作です。2はそもそも物理的に速い景を使ってるし、3の畳み掛け、4の二・三句目における「の」の連続と下の句への短歌的ねじれ、5の「そしてそこから」のテンポの良さ。飛行というタイトルで統一感が出てる。 #往来新人 .
2013-08-01 23:45:36ちなみに大森静佳さんは今年2013年5月に第一歌集『てのひらを燃やす』を出されています。http://t.co/lr3Z1yw3FO 在庫切れのようで僕もまだ買えてません。なみだ。#往来新人 .
2013-08-01 23:50:46他方で。「今月の新人」欄には200字強のエッセイが添えられてて、僕もだけどみんな結構分量を書いちゃうんだよね。でも大森さんのエッセイは特筆すべき短さです。というわけで以下特筆します。 #往来新人
2013-08-01 23:53:33