トリチウムの問題が色々と報じられておりますが、これは明らかにおかしいと思うのですが

「トリチウムの問題が色々と報じられておりますが、これは明らかにおかしいと思うのですが」というご質問があったので、核物理の視点から答えてみました。
270
N_Pinyonyo @Opinyotonukes

@y_mizuno お久しぶりです。お忙しいところ申し訳ありません。トリチウムの問題が色々と報じられておりますが、これは明らかにおかしいと思うのですが。 http://t.co/BfnM2IUWpu また事故前から流しているものは同じ量というのは本当でしょうか?

2013-08-04 18:58:42
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

はい、どう言えばよいのか、誤解の上の誤解だと思います。元々の報道が、意図的な誤解を元に騒ぎ立てることを目的としたものだったからかもしれません。 @Opinyotonukes これは明らかにおかしいと思うのですが。 http://t.co/Hmi7jnC39i

2013-08-05 03:59:56
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

トリチウムは、宇宙線の中性子で天然海水中にも生成されている元素の一つです。既定の環境基準濃度の枠内で、事故前から放出されてましたし、そう報道もされてますね。@Opinyotonukes トリチウムの問題が色々と報じられて…事故前から流しているものは同じ量というのは本当でしょうか?

2013-08-05 04:05:04
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

宇宙には、宇宙線という放射線が常時飛び交っている。それは元々、銀河中心にあるブラックホールから来ているらしい。宇宙線の主体は高エネルギーの陽子で、それが大気上空の空気分子の原子核に衝突すると、中性子を発生する。その中性子は、地上にも届いていて、宇宙線の代表的な主成分の一つである。

2013-08-05 04:11:23
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

地上にまで届く宇宙線で有名なのは、宇宙線のミューオン(μ粒子)だ。しかしミューオンに次いで多い宇宙線が中性子だということは、意外に知られていないようだ。だから今回の報道を契機に、天然の宇宙線には中性子成分が意外に多いという事実を理解しておくことは有用かもしれない。

2013-08-05 04:15:28
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

天然のトリチウムは(つまり中性子は)どの程度あるか?まず中性子から。地上付近における宇宙線の成分を、自然被曝の空間線量率(μSv/h)の数字で比較すると、ミューオンの半分程度が、実に中性子である。グラフは次の図の右端が地上付近の場合。http://t.co/o5AWoLh4Jz

2013-08-05 04:20:37
拡大
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

もちろん、ブラックホールから来ていない宇宙線もあって、太陽から来ている高エネルギー宇宙線もある。しかし、宇宙線の起源は、まだ全部は分かっていない。どこからそんな高エネルギーの素粒子(放射線)が飛来するのか。謎だらけというべきだ。だが宇宙には宇宙線が飛んでいることは事実である。

2013-08-05 04:23:29
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

とにかく地上にも、大気上空の宇宙線で生成される中性子が、(2次)宇宙線として常時、降り注いでいる。だから中性子は、身の回りにも、海水中にも、常時、微量だけれど有限の、目に見える強さで存在している。中性子自体は、半減期約15分で消滅するので、中性子は常時、生成されては消滅している。

2013-08-05 04:28:13
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

そんな宇宙線の中性子によって海水中の天然の(非放射性の)重陽子から、トリチウムが常時生成される。だから海水中には天然トリチウムが(ほとんど)無限に存在している。でも微量だから回収は難しい。だが天然トリチウムは雨にも、普段飲んでいる水にも、常に含まれている、有名な微量成分の一つだ。

2013-08-05 04:37:32

天然トリチウムは、海水中よりも、空中で生成される成分の方が多いようなので、補足しました。

MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@yukinori_h ご指摘、ありがとうございます。天然トリチウムの生成の起源ですが、宇宙線でできるのは当然だとしても、どうも空気中での生成の方が(私が指摘した海水中よりも)多いようです。あとで補.. http://t.co/WLKNzg2hOM

2013-08-08 21:28:53
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

補足:天然トリチウムは宇宙線で常時生成され消滅している。これは宇宙線の中性子で空中で常時生成される放射性炭素14と同じ。ただし天然トリチウムは宇宙線の陽子でも生成されている。これは1次宇宙線の陽子や2次的な陽子が、空中の酸素や窒素を核破砕し、その破片としてトリチウムが生成される。

2013-08-08 21:39:40
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

補足2:天然トリチウムは、何通りかのでき方があるようだ。1)1次宇宙線の陽子と、空中の酸素・窒素の核破砕反応のカケラ、2)1次宇宙線陽子と酸素・ 窒素核の核破砕反応でできる2次的陽子・中性子が再度、空中で酸素・窒素核と核反応して出来るカケラ。3)地上に届く中性子が海水中で生成。

2013-08-08 22:07:15
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

天然トリチウムの生成場所は、海水中より大気中でできる量の方が多いようですのでお詫びして訂正します(私自身は、トリチウムは空中でできるより海水中の方が多いと思っておりましたので、そういう書き方をしましたが)。ただし天然トリチウムが宇宙線によって常時生成されていることはその通りです。

2013-08-08 21:58:29

補足は以上です。

MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

環境中の天然のトリチウム(原発事故前から、たぶん40億年くらい前から、存在していた天然のトリチウム)の成分について。最近数十年のデータ。「環境中のトリチウム測定調査データベース」 http://t.co/X1CDsMlqQm

2013-08-05 04:45:03
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

今回のトリチウムは、自然に生成されたものではないことが問題。そういう放射性物質は、たとえ天然生成物と同じ物質だとしても、本来は量的に把握され、放射線管理の対象になる。だからベクレル数よりむしろ、社会的な管理上の問題として報道するにはどうすればよかったのか。報道の問題もありそうだ。

2013-08-05 04:55:05
N_Pinyonyo @Opinyotonukes

@y_mizuno 「天然海水中にも生成されている」…それは驚きでした。そうなのですね。

2013-08-05 20:19:11
Yoshi Kato PhD @across_the_view

ちゃんと説明してください http://t.co/RTLLgKw8GS RT @y_mizuno: 宇宙には、宇宙線という放射線が常時飛び交っている。それは元々、銀河中心にあるブラックホールから来ているらしい。宇宙線の主体は高エネルギーの陽子で、それが大気上空の空気分子の原子核…

2013-08-05 04:48:27
Yoshi Kato PhD @across_the_view

@y_mizuno 後で説明されていましたが、説明の順序が逆だと思いましたd(^_^o)

2013-08-05 05:06:23
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

なんだか分かり易いかなと思いまして(誰でも知っている)ブラックホールを先に出してしまいました。すみません。でもHillas plot は面白いです。こういう現象論は面白い。@across_the_view 後で説明されていましたが、説明の順序が逆だと思いましたd(^_^o)

2013-08-05 05:09:46
Yoshi Kato PhD @across_the_view

加速メカニズムもそうですがプロトンか重元素かもまだはっきりしてないのでは?ちゃんとフォローしてませんがw RT @y_mizuno: …でもHillas plot は面白い… @across_the_view 後で説明されていましたが、説明の順序が逆だと思いましたd(^_^o)

2013-08-05 05:15:07