高田崇史氏による「河童の話」

高田崇史さんによる、河童についての一連のツイートと、丸山天寿さんとのやりとりをまとめました。
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高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その17。河童の別名である「ひょうすべ」は「兵主部」と書くがこれは単なる当て字で「日雇(ひよう)」からきているという。また「眇(びょう)」が元という説もある。こちらは「すがめ=片目」で、タタラの火によって目をやられてしまった製鉄業従事者の特徴の1つでもある。

2013-08-09 07:12:32
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その18。これは「河童が厠で女性を狙う」という話にも繋がってくる。河童が狙うのは「ホト」つまり「火処(ほど)」であり「真処(まこ)」であるからだ。もともと自分たちの物であった製鉄所や金や鉄を、何とか奪い返そうと試みているのである。

2013-08-09 07:18:42
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その19。ちなみに雷様も同じだ。雷様がなぜ人間のヘソを狙うのか。これも「ヘソ=ほぞ=ほと」で、やはり奪われてしまった火処(製鉄)を取り返そうとしているのである。

2013-08-09 07:22:08
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その20。河童が馬を川に引きずり込もうとするという伝承もまた同じ理由で、馬は「馬っ子=まこ=真処」なので、やはり鉄を表している。また「元気な馬が家に入ってくるとその家は栄える」という言い伝えも同様。普通なら家に馬などが入ってきたら、家中メチャクチャになる。

2013-08-09 09:24:44
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その21。家の中に元気な馬が入ると云々……の言い伝えは、もちろんもう1つ意味を持っているが、ここには書けないので「その18」から連想してください(笑)

2013-08-09 09:27:44
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

「河童の話」は、夏休みの自由研究の参考にでも……と思って書き始めたのだけど、だんだん生臭く(キナ臭く)なってきてしまった(笑)

2013-08-09 09:32:46
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その22。水戸黄門が「この瓜はなはだ穢れ多し。(中略)植えるべからず。食すべからず」(『桃源遺事』)と言ったとされ、江戸時代には「これ瓜中の下品(げほん)なり」とされたというキュウリが、河童の好物とされている。そんな平安時代のキュウリを再現するという番組があった。

2013-08-10 07:46:47
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その23。そして(平安時代の)キュウリを採取したのだが、固くて苦く、とても食べられるような代物ではなかったという。それが河童の大好物といわれてきたのである。言い換えれば、彼らはそんな物しか口にすることができなかったということになる。

2013-08-10 07:51:30
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その24。そんなキュウリの断面図らしきものを神紋にしている神社がある。京都・八坂神社。主祭神・素戔嗚尊(スサノオノミコト)である。木瓜(もっこう)「織田瓜」で、正式にはキュウリの切り口ではないといわれているが、とても無関係とは思えない。

2013-08-10 07:56:37
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その25。というのは、やはり素戔嗚尊も朝廷に財産を奪われ、しかも手足の爪を剥がれた上に流されているからだ。そのため、牛頭天王と結びついて大怨霊神となった。河童たちや猿田彦命同様の運命をたどった素戔嗚尊を祀る神社の神紋が、そのような形をしているのは偶然ではないだろう。

2013-08-10 08:02:35
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その26。事実、祇園(スサノオ)信仰とキュウリは密接に結びついていて「キュウリを牛頭天王に供えると熱病にかからない」「土用の丑の日にキュウリを八坂神社に奉納すると病気や災難を避けられる」「祇園祭以前にはキュウリを食べない」などといった俗習が、日本各地に残っている。

2013-08-10 11:33:08
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その27。微妙に話が逸れるけれど「ヤマトタケルがキュウリの蔓に足を取られて片目を傷つけた」という伝承がある。これはこれで、また何か色々なことを騙っているような気がする。

2013-08-10 11:38:08
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その28。河童の別名の「ゴウラ」「ゴランボウ」は、河童が背負っているという「甲羅」からきている。ではなぜ河童が甲羅を背負っているのか。海の生き物「亀」と「河原」からの連想だろう。そして「ゴウラ」には「石がゴロゴロしていて住みにくい土地」という意味もあったという。

2013-08-11 08:51:47
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その29。河原に住んでいた人々は「川郎(かわろう)」とも呼ばれ水辺で瓦(かわら)を焼いた。ここでも野見宿禰に繋がる。ちなみに「磯」にも「かわら」という読みがあり「水中の磧(せき)である」と解説されている。「磧」も「かわら」と読み「石で責められる」場所という意味だ。

2013-08-11 09:03:18
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その30。「ゴランボウ」にはもう1つ意味がある。それは「河原坊」や「御霊坊」だ。だが、どちらにしても「怨霊」を表していることに違いはない。これら「坊」の他にも河童には「○○法師=僧」という名称も多いが、この場合の「僧」は「曽(かつ)て人であった」という意味である。

2013-08-11 09:14:18
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その31。河童の異名に「かしゃ」「かしゃんぼう」「くわしゃ」がある。これは妖怪の「火車」のことと思われる。「火車」は罪人を地獄へと運ぶ火の燃えている車の妖怪で、葬送時に現れて棺の中から死体を運び去るといわれていた。それがなぜ「河童」なのか? それには理由がある。

2013-08-12 07:32:09
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その32。河童=産鉄民たちはタタラの鉄の流れが悪い時には、その炉の中に死体を放り込んで鉄の流れを調節していたという。これは人体の骨=カルシウムによって鉄の融点が下がることを体験的に知っていたのではないかといわれている。

2013-08-12 07:39:32
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その33。ゆえに、河童や天狗が死体を盗む妖怪といわれるようになった。古代、産鉄地の近くには多く処刑場があったという。ちなみに天狗は「山童」であり、河童は「水天狗(水天宮)」であるから、同一(の人々)である。

2013-08-12 08:01:37
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その34。山に入った河童=山童の仲間に「大太法師(ダイダラボッチ)」がいるが、これは「タタラ法師」が元だと思われる。その証拠にダイダラボッチは片眼片足だという伝説や、突如として一本足の妖怪に化けるという話も聞く。もちろん「一本足」というのは産鉄民の特徴である。

2013-08-13 04:27:25
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その35。ダイダラボッチは人(?)が良くて、しばしば人間にだまされてしまったという。「大男、総身に知恵が回りかね」という見下した諺がそれを伝えている。大江山の酒呑童子もやはり頼光たちにだまし討ちに遭った。鬼や河童(山童)たちは他人を疑うことを知らない。

2013-08-13 04:30:07
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その36。ちなみに宮崎駿監督の『もののけ姫』には「シシ神=ディダラボッチ」として登場しているが、「シシ神」はともかく「ディダラボッチ」の首をエボシ御前が狙ってはいけません(笑)。「ディダラボッチ」はタタラの人々の仲間であり、同時に守り神なのだから。

2013-08-13 04:32:34
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その37。河童の特徴の一番は、何といっても頭の上に載せた皿だ。ここに入っている水が乾くと、河童は神通力を失ってしまうという。しかし、もともとそれは「皿」ではなく「ハマグリの形をした窪み」だった。それが戯画となって大きな皿になった。ではこれは何なのか。

2013-08-14 04:56:49
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その38。『落窪(おちくぼ)物語』という作者未詳の平安時代の物語がある。平安版シンデレラともいわれているが、この「落窪」という名称は単に「落ち窪んだ場所」というだけではなく(物語の内容的にも)女性器を表しているのではないかという非常に真面目な説がある。

2013-08-14 05:00:21
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その39。確かに「ハマグリ」という形容もそうだが、そうなると再び「ホト」の出番(?)で、つまり河童は頭に「火処(ホド)」を載せており、それが乾くと(なくなってしまうと)神通力を失うという、とても分かりやすい話になる。

2013-08-14 05:02:45
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その40。河童の異名である「河伯(かはく)」にも同様のことが騙られている。一見「河の長(おさ)」のように立派な名前に見えるが、この名称には「乾く・渇く」という意味がこめられている。肝心の皿が乾いて何もできない河童という意味である。

2013-08-15 05:33:41