第二大罪大戦《第五の狭間》【戦闘フェイズ1】

紅(ルージュ)は強欲、アヴァリス(@soujyu00_sin) 黒(ノワール)は色欲、フライシェスラスト(@meiji_sin2) 狭間に出で遭い、交叉する。
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イーシェ @meiji_sin2

→ 紅ただ一点を狙ったその攻撃は成功した。 リボンを落とす意味でも、少女を怒らせる意味でも。 「ああ、狙った」 これは俺と居たリズには無かったものだから必要無い。 それなのに。 少女の首に刻み込まれる六枚の花弁、また余計な物が増えてしまった。 素のリズだけがほしいのに。→

2013-08-07 22:15:11
イーシェ @meiji_sin2

→ 光を反射しない黒い眼が怒る金を見つめかえす。 顔に浮かぶのは悲哀の表情、どこまでも黒と紅は交わらない、わかっているのに遠くて届かない。 雨粒より大きい短剣が降り注ぐのを相殺すべく細い水の糸を編んで纏う。 致命傷だけは裂けて、しかし刃は褐色の肌に幾つも朱の道を描く。→

2013-08-07 22:15:18
イーシェ @meiji_sin2

→ 「なあ、紅の強欲〈アヴァリス〉お前の願いは」 紅のまま、死ぬことか。 悪魔〈イブリース〉の笑う声が脳内に木霊する。 『お前の願いは死んでも叶わない』『諦めて生(性)にしがみつけ』 『それが、お似合いだ』『どこまでも身勝手で空っぽのお前にはな』 朱の道は直ぐに乾いて黒へ。→

2013-08-07 22:15:26
イーシェ @meiji_sin2

→ 黒の模様を腕に残したまま、声を振り払うかのように両手を広げ、舞い上がる水。 「許されたいとはもう、思わない。ただ、その名前は呼ばないでくれないか」 此処に居るのはただのイーシェ。ハリボテの内には欲に塗れた愛が詰まってる者。 硬度のある水が針のように、強欲へ再度降り注ぐ。

2013-08-07 22:15:32
リズ @soujyu00_sin

届かなければ消えていく剣。紅の軌跡を付けた処で、それは黒へと変色していく。 決して、交わらない。 「ええ、あたしの願いは『紅の強欲(アヴァリス)』として、大罪として死ぬこと」 そしてあなたに殺される事。それは言葉にしない。 唯首元の紅の華に触れ、笑う。何処までも無邪気に。 →

2013-08-07 23:39:48
リズ @soujyu00_sin

→ 「何度だって言ったはずよ、あたしはアヴァリスとして死にたいと! 叶えてくれると言ったじゃない。約束を破るの、イーシェ!言いたい事があるなら、 言ってみなさいよ!言葉にしなきゃ『あたし』はわからないわ!」 表情の変化には気づく。それでも言葉にしない事に憶測は、しない。 →

2013-08-07 23:40:11
リズ @soujyu00_sin

→ 幾ら彼でも赦せなかった。 『紅色』を傷つけられた。自分の思いも仲間も踏みにじられた様で。 ごめんなさいアセディ。悲しくて泣きたい気持ちは抑える 今のあたしは泣きわめくだけの『コドモ』じゃない 「何それ!呼ばれる様な事したのはそっちでしょ!何に赦されたいって言うのよ!」 →

2013-08-07 23:43:28
リズ @soujyu00_sin

→ 先程よりも更に鋭さを増した水。睨みつけたまま少女は領域を支配する。 「痛みは要らない。此処は『子供』の領域。在るのは優しい楽しい夢。 領域を侵すものは――」 言い――止まる言葉。ぴしり。何処かで何かがひび割れる音がする。 針の雨は止まることなく少女の体へと無残に降り注ぐ。 →

2013-08-07 23:44:03
リズ @soujyu00_sin

→ 「っ、きゃああああああ!」 悲鳴と共に小さな体の至る処へ針が紅を彩り、崩れ落ちる。 望んで受けた訳ではない。『防げなかった』のだ。 罪科の領域は子供の領分。オトナとしての自分でもある今――この領域は緩やかに、 そして確実に壊れ終わりを告げる――其れすなわち、一番恐れた――

2013-08-07 23:48:29
イーシェ @meiji_sin2

「約束は破らない、これが甘やかしているように見えるなら紅は随分と優しいところなんだな」 殺す気で攻撃はしている、無意識に手加減が混じったとしても。 時間差を置いて次々と針の雨は増える、数に上限など無いのだから打ち消えたものは直ぐ次に循環する。→

2013-08-08 00:30:33
イーシェ @meiji_sin2

→ 強欲の『領域』も想定内のこと、致命傷にならずともいくつかが当たれば良いと思っていた。 「でも、俺の前に居るのはリズ〈天使〉なんだ。……俺のリズ」 「愛しているよ」 言葉は悲鳴と重なった。→

2013-08-08 00:30:40
イーシェ @meiji_sin2

→ 領域の支配が緩んだことを知り、しかしここでやめるほうが強欲に対して失礼だ。 崩れ落ちた身体に近づいて針の水を全て解除し消し去る。 本当はこんな傷さえも残したくない、しかし全身に自分の印が残る感覚は悪くない。 薄く笑いながら、その身体へと手を伸ばし。

2013-08-08 00:30:46
リズ @soujyu00_sin

睦言の様に優しく囁かれたその言葉は、悲鳴にかき消されるように。 致命傷では無い。さりとて直ぐに立ち上がれるものでもない。 針が消えた事により血は確かに体を伝う。二人で嘗て見た、海の様に青いワンピースは、 じわりじわりと紅に染まっていく――その時には、もう戻れないと言う様に →

2013-08-08 00:54:48
リズ @soujyu00_sin

→ 近づく気配に崩れ落ち倒れ伏した体は、相手が触れるより先に警戒無く近づいた相手の懐へと 素早く立ち上がりながら飛び込む。手には気づけば領域から生み出した白銀のナイフ。鳩尾を狙い迷いなく。 「違えないなら何より!そしてそれ以上紅の。あたしの大事な人達の事を踏みにじらないで!」 →

2013-08-08 01:11:12
リズ @soujyu00_sin

→ 残酷な事を乞うているのは分かっている。 天使なんて可愛らしいものではない。子供故の残酷さと無邪気さは悪魔の様なものだ。 それでもこの願いは止められない。誰にも否定も阻みもさせない。 あなたを傷つけても。誰を傷つけても。悲しい程に止められない。 けれど後悔は――無い。 →

2013-08-08 01:12:28
リズ @soujyu00_sin

→ 出来なかった約束だらけの中。唯一自分がはっきりと答えたのは『黒を殺す』事。 領域は消えていない。だからこそ少女は未だ猫の様に素早く軽やかに動く。 あたしはまだ『大罪』として此処に在る 「あたしは紅の罪華。散る事が望み、覚悟の上。 黒を殺して、最後の最期まで咲いてみせるわ!」

2013-08-08 01:13:24
イーシェ @meiji_sin2

透き通る海の色が、紅に染まる。洗い流さなければ、不快な色のまま残ってしまいそうだ。 『清浄』の雨が降り出す、血の匂いも色も溶けて流れてしまうように。 猫のように身軽な動作で飛び込んでくる強欲を受け止める。 感じるのは腹部に熱。内臓が傷ついて血が溢れ出す。→

2013-08-08 02:14:01
イーシェ @meiji_sin2

→ 「っ、そうだ俺は黒の大罪。紅〈お前〉を殺して帰る、んだ」 戻る場所がある、待つ人もいる。新しい顔も迎えた、まだ好きな味も覚えていない。 どれだけ愛を注いでも ほんとうの 願いは叶わない、俺らしくないと閉じ込めてしまったから。 醜い色欲が愛されたいと、願うなど許されない。→

2013-08-08 02:14:10
イーシェ @meiji_sin2

→ 突き刺さるものをそのままに、より深く迎えるようにナイフごと強欲の背に腕を回す。 「美しい華、俺が摘み取ってしまおう」 「二度とその紅へ戻れなくなるといい」 囁く呪いのことば、軽く咽ると口内も血の味。 「かわりに、俺が居るから」 互いに此処で果てるとしても。

2013-08-08 02:14:17
リズ @soujyu00_sin

ぱた、ぱたり。降り出す雨が肌を伝う。柔らかな筈のそれは互いの肌を濡らし、血を洗い落とす。 紅が流れれば傷口に触れる水。優しい筈のそれは傷を抉る痛みを伴う、哀しい痛み。 少女の領域で降るそれは――ああ、まるで涙。    が泣いてるようで。 泣かないで。願うのに声さえ届かない。 →

2013-08-08 03:10:30
リズ @soujyu00_sin

→ 確かに手元に感じる手ごたえ。正しくて、間違ってる。嫌な感触。 其れが更に抉る様に深く食い込むと同時に、感じる温もり。 言葉に、腕に閉じ込められた事に驚いたよう瞳を開く。その、表情は。 「何を言ってるのかしら。あたし、あなたを生かして返すなんて約束はして無いわ!」 →

2013-08-08 03:10:42
リズ @soujyu00_sin

→ 躊躇は一瞬。 囁かれる言葉は色の違う互いを呪い。 そして今この場で二人を繋ぐ微かな細い糸。色欲の血で手を紅に濡らしながら、 それでも笑う。――戦場に不釣り合いなほどに、わらうのだ。 「いいえ。あなたに殺されればあたしは紅へ還れる」 ――あなただけが、叶えられる。 →

2013-08-08 03:12:58
リズ @soujyu00_sin

→ 「でも、あなたも譲らないわ。あたしは強欲よ」 ――黒は殺さねば。それは約束。そして手放せない。あたしがあたしである故に 「だから素直に殺されてなんかあげないわ!」 ――ねえだから、最期まであたしを見てて。囁いて。望んで。 欲しがりで手放せない、あなたが愛したアヴァリスを →

2013-08-08 03:14:35
リズ @soujyu00_sin

→ 告げれば色欲に刺さる短剣は姿を消す。 自由になった両手には、新たな短剣が、一つ。 ぴしり。『領域』がまた崩壊していく。間もなく完全に領域は壊れるだろう。 自由自在に動く事も願い叶う事も出来ず、痛みに体が支配されて行く。 それでも震える手で確かに握り、温もりの中狙うのは――心臓

2013-08-08 03:49:11
イーシェ @meiji_sin2

影になって表情は見えないだろう、涙は浮かばないかわりの雨。 柔らかく、しかし肌にあたり全てを洗い落としてしまうような強さも秘めているそれを弱めるつもりはなく。 領域の中を夏の匂いで血を薄めてゆく。 水は全て雨となりもう使えないから強欲の、少女の声に応えるように使えるのは己の腕。→

2013-08-08 16:40:51
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