ジャック・ウォマック『ローラの日記(2月分)』(山本ニュー訳)
「変わらないものなんてあるの?」とあたしが聞いたら、パパは首をふっておそらくなにもないと言った。それから、いろんなことが大きく変わってしまうだろうなと言った。「大きく?」とあたしが聞いたら、パパははっきりとはわからないけど、不安で仕方ないかい?と聞いてきた。 #RASV 0093
2013-08-11 22:49:17「どんなふうに変わってしまうかわからないから今は考えられないし、それってもしかしてパパとママがりこんするってこと?」とあたしは聞いた。ブーブはだまってじっとしてたけど、どうしていいかわからなくてパニクってるんだとあたしには分かった。 #RASV 0094
2013-08-11 22:54:07パパはちがうちがうそういう話じゃないんだと言ったので、「だったらよかった」とあたしは言った。パパは、これから先どんなことが起こっても4人いっしょなのはぜったい変わらないから、パパとママがりこんだとかなんとかそんなことは言わないでくれと言った。 #RASV 0095
2013-08-11 22:58:49「じゃあいつ引っこさなきゃいけないの?」と聞いたら、パパはぜったい引っこすって決まったわけじゃないんだからまだ心配しなくていいと言った。ママも「がちょうちゃんたちはなんにも心配しなくていいの。なんにも、ね」と言って、それで夕食は終わった。 #RASV 0096
2013-08-11 23:03:08でも心配しないわけないじゃん?アン、あたしは少しの間だってここをはなれたくないよ。だって生まれてからずっとここにいたんだもん。ブーブだってあたしと同じ気持ちだと思う。 #RASV 0097
2013-08-11 23:08:53実はきのうの夜、アンにあったことぜんぶ話そうと思ってじゅんびしてたら、ブーブが来たの。ノックの音がしていっしょにねてもいい?って聞いてきた。あたしはいいよって言って、それでふたりでベッドに入った。 #RASV 0098
2013-08-11 23:12:22「ブーブ、あんた大じょうぶ?」ってきいたら妹はだまってうなずいたけど、ぜんぜん大じょうぶじゃないってあたしにはわかった。だっていつもならうるさいくらいにあたしに話しかけてくるのに、その時はひとこともしゃべらなかったもん。 #RASV 0099
2013-08-11 23:14:37ブーブの体は熱が出てるみたいに熱くて、おふとんの中にデブ犬入れていっしょに寝てるみたいな感じで、あたしはひとばん中ブーブをおしのけてばっかりいた。ブーブは何回もねがえりうってた。かわいそう。 #RASV 0100
2013-08-11 23:18:06とにかく、これがきのう起こったことぜんぶ。朝起きたらみんなきのうはなんにもなかったみたいにしてるから、あたしも引っこしのことは考えないことにした。くよくよなやむのとかきらいだし。 明日はもしかしたら日記書かないかも。でも何か起きたらすぐに書くからね。 #RASV 0101
2013-08-11 23:20:52