氏家法雄( @ujikenorio)さんの吉野作造をめぐるツイート

氏家法雄( @ujikenorio)さんの吉野作造をめぐるツイートを勝手にまとめた。現今の日中問題にも資する点が多し。
0
氏家法雄 @ujikenorio

大正デモクラシーをリードした吉野作造の舞台は『中央公論』になりますが、中央公論における処女作が、「学術上より見たる日米問題」(『中央公論』1914年1月号)。日露戦争後とくに激しくなったアメリカにおける日本人移民排斥の問題をとりあげ、その解決策を論じたもの。

2010-09-29 02:17:23
氏家法雄 @ujikenorio

当時の日本人移民排斥の問題では、当初の労働者の雇用をめぐる摩擦という域を超えて政治的色合いを濃くし、日米戦の可能性までも話題に。1913年のカリフォルニア排日土地法の成立は、その議論をますますヒステリックなものへと加速させ、「白閥打倒」を声高に叫び始める論者も多くなってきた…… 

2010-09-29 02:17:36
氏家法雄 @ujikenorio

こうした状況の下で執筆されたのが吉野の「学術上より見たる日米問題」。特徴的なのは、冷静そのもので理路整然問題を対象化した吉野の筆致。  

2010-09-29 02:17:49
氏家法雄 @ujikenorio

この論説で、確かにアメリカ側の日本人対する誤解や偏見があること、そしてそれが排日思想の一つの原因となっていることを認めながらも、基本的には日本側にある問題をより重視する立場をとります。 

2010-09-29 02:18:01
氏家法雄 @ujikenorio

吉野は日本人移民の移住動機そものものが「個人的乃至国家的利己心」に存在し、移住先たるアメリカの建国の理想を理解しようとする気持ちが殆ど見られない。「之では米国に於て歓迎せぬのも、当然ではあるまいか」。  

2010-09-29 02:18:13
氏家法雄 @ujikenorio

この状況では、アメリカに限らず世界のどの地域でも日本人が受け入れられるはずがない。そしてその根本原因こそ「要するに現今の教育は、善良なる国民は作つたけれども、世界の一員としての資格は作つてやらなかつた」という吉野は述べている。

2010-09-29 02:18:27
氏家法雄 @ujikenorio

ということで、そのへんの吉野の文章を紹介します。  

2010-09-29 02:18:41
氏家法雄 @ujikenorio

吉野日米問題①「日本人は能く米国の理想を解することが出来るかといふに、残念ながら予は否と答へざるを得ぬ。何故かといふに、日本従来の国民教育の方針が全然この主意に反して居たからである」。  

2010-09-29 02:18:52
氏家法雄 @ujikenorio

吉野日米問題②「従来併びに今日の国民教育は、子弟に向つて世界文明の進歩に対するする日本帝国の責任といふやうなことを教へて居るか。我々は一個人として知らねばならぬ多くの智識は教へられた。郷党に対する義務、殊に国家に対する義務は完全に教へられた」 

2010-09-29 02:19:02
氏家法雄 @ujikenorio

吉野日米問題③「併し世界の一員としての責任については、何等の智識も授けられて居ない。要するに現今の教育は、善良なる国民は作つたけれども、世界の一員としての資格は作つてやらなかつた」。 

2010-09-29 02:19:13
氏家法雄 @ujikenorio

吉野日米問題①-③。出典、吉野作造「学術上より見たる日米問題」、『中央公論』1914年1月号。なおこの問題については、『新人』(一九一三年一二月)に掲載された「排日問題と基督教徒」で同じように論じていることを附言しておく。 

2010-09-29 02:19:23
氏家法雄 @ujikenorio

吉野作造は排日問題の根本原因を、これまでの日本の教育が、国境をこえて広く世界や人類を見つめる普遍的な視座を欠如し、ひたすら国家に忠誠な内向きの国民の創出に終始してきた、その偏狭さにあるとした。 

2010-09-29 02:19:33
氏家法雄 @ujikenorio

ここには、今後の吉野の社会的発言を特徴づける、国民国家の相対化・世界志向の発想が明快な形で示されている。さてこれをどう読むか。現代の課題でしょうネ、ふふふ。 

2010-09-29 02:19:43
氏家法雄 @ujikenorio

国民国家にはいろいろと問題が多いのだろうけど、最終的には感情と相手の術中に陥らない徳の高さになるんだろうね。これが人道競争ぢゃ。

2010-09-29 02:20:43