高田崇史氏の「河童の話」

夏休みと云う事で河童の話をされていたので纏めました。忘れてはいけないとても良いお話です。
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高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その26。事実、祇園(スサノオ)信仰とキュウリは密接に結びついていて「キュウリを牛頭天王に供えると熱病にかからない」「土用の丑の日にキュウリを八坂神社に奉納すると病気や災難を避けられる」「祇園祭以前にはキュウリを食べない」などといった俗習が、日本各地に残っている。

2013-08-10 11:33:08
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その27。微妙に話が逸れるけれど「ヤマトタケルがキュウリの蔓に足を取られて片目を傷つけた」という伝承がある。これはこれで、また何か色々なことを騙っているような気がする。

2013-08-10 11:38:08
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その28。河童の別名の「ゴウラ」「ゴランボウ」は、河童が背負っているという「甲羅」からきている。ではなぜ河童が甲羅を背負っているのか。海の生き物「亀」と「河原」からの連想だろう。そして「ゴウラ」には「石がゴロゴロしていて住みにくい土地」という意味もあったという。

2013-08-11 08:51:47
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その29。河原に住んでいた人々は「川郎(かわろう)」とも呼ばれ水辺で瓦(かわら)を焼いた。ここでも野見宿禰に繋がる。ちなみに「磯」にも「かわら」という読みがあり「水中の磧(せき)である」と解説されている。「磧」も「かわら」と読み「石で責められる」場所という意味だ。

2013-08-11 09:03:18
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その30。「ゴランボウ」にはもう1つ意味がある。それは「河原坊」や「御霊坊」だ。だが、どちらにしても「怨霊」を表していることに違いはない。これら「坊」の他にも河童には「○○法師=僧」という名称も多いが、この場合の「僧」は「曽(かつ)て人であった」という意味である。

2013-08-11 09:14:18
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【河童の話】その31。河童の異名に「かしゃ」「かしゃんぼう」「くわしゃ」がある。これは妖怪の「火車」のことと思われる。「火車」は罪人を地獄へと運ぶ火の燃えている車の妖怪で、葬送時に現れて棺の中から死体を運び去るといわれていた。それがなぜ「河童」なのか? それには理由がある。

2013-08-12 07:32:09
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【河童の話】その32。河童=産鉄民たちはタタラの鉄の流れが悪い時には、その炉の中に死体を放り込んで鉄の流れを調節していたという。これは人体の骨=カルシウムによって鉄の融点が下がることを体験的に知っていたのではないかといわれている。

2013-08-12 07:39:32
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その33。ゆえに、河童や天狗が死体を盗む妖怪といわれるようになった。古代、産鉄地の近くには多く処刑場があったという。ちなみに天狗は「山童」であり、河童は「水天狗(水天宮)」であるから、同一(の人々)である。

2013-08-12 08:01:37
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【河童の話】その34。山に入った河童=山童の仲間に「大太法師(ダイダラボッチ)」がいるが、これは「タタラ法師」が元だと思われる。その証拠にダイダラボッチは片眼片足だという伝説や、突如として一本足の妖怪に化けるという話も聞く。もちろん「一本足」というのは産鉄民の特徴である。

2013-08-13 04:27:25
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【河童の話】その35。ダイダラボッチは人(?)が良くて、しばしば人間にだまされてしまったという。「大男、総身に知恵が回りかね」という見下した諺がそれを伝えている。大江山の酒呑童子もやはり頼光たちにだまし討ちに遭った。鬼や河童(山童)たちは他人を疑うことを知らない。

2013-08-13 04:30:07
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その36。ちなみに宮崎駿監督の『もののけ姫』には「シシ神=ディダラボッチ」として登場しているが、「シシ神」はともかく「ディダラボッチ」の首をエボシ御前が狙ってはいけません(笑)。「ディダラボッチ」はタタラの人々の仲間であり、同時に守り神なのだから。

2013-08-13 04:32:34
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【河童の話】その37。河童の特徴の一番は、何といっても頭の上に載せた皿だ。ここに入っている水が乾くと、河童は神通力を失ってしまうという。しかし、もともとそれは「皿」ではなく「ハマグリの形をした窪み」だった。それが戯画となって大きな皿になった。ではこれは何なのか。

2013-08-14 04:56:49
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【河童の話】その38。『落窪(おちくぼ)物語』という作者未詳の平安時代の物語がある。平安版シンデレラともいわれているが、この「落窪」という名称は単に「落ち窪んだ場所」というだけではなく(物語の内容的にも)女性器を表しているのではないかという非常に真面目な説がある。

2013-08-14 05:00:21
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その39。確かに「ハマグリ」という形容もそうだが、そうなると再び「ホト」の出番(?)で、つまり河童は頭に「火処(ホド)」を載せており、それが乾くと(なくなってしまうと)神通力を失うという、とても分かりやすい話になる。

2013-08-14 05:02:45
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その40。河童の異名である「河伯(かはく)」にも同様のことが騙られている。一見「河の長(おさ)」のように立派な名前に見えるが、この名称には「乾く・渇く」という意味がこめられている。肝心の皿が乾いて何もできない河童という意味である。

2013-08-15 05:33:41
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その41。ここでクイズ(?)ですが、日本史上で最も有名な河童は誰でしょう? 答えは「天照大神」。 平安時代の藤原道綱母の『蜻蛉日記』の中で彼女は「今ぞ知るかはくと聞けばきみがため 天照る神の名にてこそありけれ」と詠んでいる。

2013-08-15 05:34:49
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【河童の話】その42。ちなみにこの歌の現代語訳は、「今ようやく知りました。かはくという神は、あなたのために空を照らす天照大神だったのですね」となり「かはく」に「乾く」と「河伯」を、「天照る」に「空が晴れる」と「天照大神」をかけている。

2013-08-15 05:36:23
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その43。このように当時の貴族たちの間では天照大神も「河童」として認識されていた。そうなると素戔嗚尊も猿田彦命も、おまけに天照大神も河童で「人」がいなくなってしまうが、まさにその通りで当時は貴族だけが「人」だった。我々庶民は等しく「鬼や河童」に分類されていたのである。

2013-08-15 05:46:36
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【河童の話】その44。平安時代の日本の人口は約500万人といわれている。その中で五位以上の殿上人、いわゆる「人」と呼ばれる貴族はせいぜい150人だったろうという。つまり残りの約499万9850人(99.997%の、我々の祖先たち)は全員が鬼や天狗や河童や妖怪だった。

2013-08-16 06:03:07
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その45。伊勢神宮の入り口、五十鈴川に架かる宇治橋のたもとには大勢の河童たちが棲んでいたという伝承がある。あれだけ大きな川で河原も広いし「五十鈴川」というからには当然、鉄も採れただろうし、そんなこともあったかも知れないとぼくは漠然と思っていた。

2013-08-16 06:04:58
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その46。ところが以前に伊勢に行った時、地元の方から「大昔、あの橋のたもとには大勢の子供たち(浮浪者)が住み着いていたので、橋を渡る時には参拝客がお金や食べ物を放ってあげたんですよ」と聞かされた。ああなるほど、と納得した。話がつながる。そして昔の人たちは優しかった。

2013-08-16 06:05:50
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その47。「河童」は実在していた。ところが河童を「妖怪」──架空の存在にしておかなくては都合の悪い人々がいた。河童の実在を認めてしまうと自分たちが彼らに対して行った悪行が暴露されてしまうからである。その悪行とは、もちろん「河童」たちの財産の不当な掠奪だ。

2013-08-17 09:03:23
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その48。被害者は河童だけではない。鬼や天狗や妖怪たちも同じだ。彼らの財産(鉄や土地)を掠奪した朝廷は「彼らは人ではないから」と言い始めた。自分たち「人」は、いわゆる「人でなし」には何をしてもかまわないという貴族的な思考で、彼らの存在を無視することにした。

2013-08-17 09:04:57
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その49。河童や天狗たちは、ぼくらと何一つ変わらぬ人間でこの世に暮らしていた。小説やマンガという手段で(愛情を持って)彼らの話を書くことは素晴らしいことだ。しかし学問上から、その全てを「妖怪」──想像上の生き物、の一言で片づけてしまうと歴史を誤ってしまう。

2013-08-17 09:06:11
高田崇史@club-TAKATAKAT @clubtakatakat

【河童の話】その50。だから、本当の彼らの姿を知ることや実在を認めることが長い間不当に虐げられてきた鬼や河童や天狗たちに対する鎮魂・供養の第一歩になると思うのである。 夏休み&お盆特集(?)【河童の話】終わり。 (この場に書けないことがまだたくさんあるけど、取りあえず終わり)

2013-08-17 09:07:07