ワトソンの行動主義
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ワトソンのPsychology as the behaviorists views it(1913)を久しぶりに読む。印象深かったのは学習や条件づけへの言及はごく少なくパブロフにも言及してなく、人名が出るのはむしろダーウィンであるということ。
2013-08-18 06:23:09![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
統計的推測でいう「第一種の過誤」(差や関係がないものをあると見誤ってしまうこと)と「第二種の過誤」(差や関係があるものをないと見誤ってしまうこと)の区別は,人間のいろいろなことを考えるのに役に立つ。
2013-08-18 11:38:52![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
人間は自然な状態では(おそらく進化的に)第二種の過誤のほうに敏感で,その結果「ありもしないものをあると思ってしまう」傾向が強い。敵や危険に対してはそうであるほうが生き残ってきたのかもしれない。
2013-08-18 11:42:25![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
いっぽう科学や技術は第一種の過誤のほうに敏感で,正確さのためには(少なくとも一時的には)「あるものをないといってしまう」ことを厭わない。新しい知識や技術が受け入れられるのに一定の時間がかかるのはそのためだ。
2013-08-18 11:44:06![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
グリニッチ天文台事件の例のように,科学的な方法というのがもともと「人間の知覚や認知への不信」から出てきたことを考えると,第二種の過誤を恐れる人間と第一種の過誤を恐れる科学というのはまさに「弁証法的関係」にあったのだと思う。
2013-08-18 11:47:43![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
第二種の過誤を恐れる人間が「怖がりすぎ,心配しすぎ」になることと,科学が「怖がらなすぎ,心配しなすぎ」になることは2つが合わさってちょうどよくなるということ。人間が第二種の過誤を恐れておかした間違いと同様に,科学が第一種の過誤を恐れておかした間違いもたしかにある。
2013-08-18 11:50:39抜かしてる話題もあります。詳細はツイログで→ http://twilog.org/ynabe39/date-130818
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「グリニッチ天文台事件」って心理学の教育を受けた人間なら誰でも習っている常識みたいなものなのだけど,他の分野では意外と知られてないしネット検索してもなかなか出てこない。以下の丸山久美子先生の論文にけっこう詳しい説明があった。https://t.co/AB9rNMk9z9
2013-08-18 12:04:19![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
このワトソンの"The Place of the Conditioned Reflex in Psychology"(1916)というのはすごいものだなあ。
2013-08-18 12:11:48![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「みんなが科学的に考える社会」になると第一種の過誤の危険性ばかりが強調されて社会全体では第二種の過誤が増えてしまうかもしれない。まあそんな社会は来ないと思うので杞憂としか言えないが。
2013-08-18 12:16:47![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
ワトソン(1913)では能力心理学(faculty psychology)と対立するものとして機能心理学(functional psychology)を挙げたうえで,機能心理学が真の機能心理学となるためには行動主義が必要,と主張している。
2013-08-18 12:23:06![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@SF_yomi じっさい科学研究が第二種の過誤を軽視しすぎというのは統計学者からは繰り返し指摘されていることです。ちなみに検定のp<.01というのが「第一種の過誤の小ささ」を示しているんだけど,第二種の過誤について危険率を計算する人はいない。
2013-08-18 12:30:37![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@SF_yomi このことは「(科学者も含めて)人間はもともと第二種の過誤には敏感なものだから,わざわざそれを数値で示して戒める必要はない」ということなんだろうと思います。
2013-08-18 12:31:33