テキストの読み方と批評について

主に牧眞司さんのツイートをまとめました。
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牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

RT @ken_nishizaki テキストは呪物で、面白くないテキストなんてない。面白くないのはそのテキストの固有の読み方ができないせいだろう。こんなことを言っても伝わらないだろうけど、批評の際に安直に自分や自分の問題意識を反映させるのはやめて欲しい。//

2013-08-25 13:25:49
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

西崎さんの主張はたいへん興味ぶかい。だけど、ほんらい別個の問題がひとつの水準にならんでいるように、ぼくには思える。 (続く

2013-08-25 13:26:34
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

分けると―― (1)テキストは呪物で、面白くないテキストなんてない。 (2)面白くないのはそのテキストの固有の読み方ができないせいだろう。 (3)批評の際に安直に自分や自分の問題意識を反映させるのはやめて欲しい。

2013-08-25 13:26:56
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

(1)は、まあ事実で、テキスト=呪物としたとたんに、主観的・恣意的な価値判断が入りこむ余地はなくなる。ただし、その場合、面白くないテキストもないかわりに、特権的に面白いテキストもなくなる。ロラン・バルトからはじまるテクスト理論も、たぶんそんな感じ。

2013-08-25 13:27:15
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

(2)は、そう言えばそうなのかもしれないが、「テキストの固有の読み方」なんてものが果たしてあるのか? ぼくはないと思う。「テキストそのものに由来しない読み方」はたくさんあってそれは謗られてしかるべきだが、逆に「固有の読み方」のような一意的なものがあるわけでもない。 (続く

2013-08-25 13:27:49
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

せいぜい、推理小説のコードみたいなレベルでは「固有」と言えるかもしれないが、それはテキストの問題ではなくて、読者・作者の共通了解の問題にすぎない。

2013-08-25 13:28:29
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

(3)については、まったく同感。もっともこれはテキストうんぬんを持ちだすまでもなく、作品に対するときの常識だろう。

2013-08-25 13:28:54
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ごちゃごちゃと書いたけれど、ぼくの基本姿勢は、「面白い作品」「面白くない作品」の区別はあるが、ただしそれはあくまで読者の評価軸なので、それを明確化せずに作品を断じるようなことは慎まなければいけない――ってところです。

2013-08-25 13:32:24
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

あ、すみません。でも、西崎さんの主張は基本的に、創作物全般にあてはまる論ですよね。 RT @ken_nishizaki 短歌の批評について言ってたので、ちょっと予想外のほうからの反応でした。

2013-08-25 14:08:05
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

それは全面的に賛成です。ただし、あくまで批評(というより読書)の姿勢としてであって、あらかじめ「テキスト固有の読み方」が定まっているとは思いません。 RT @ken_nishizaki //「テキストの固有の読み方」を考えない批評って全然おもしろくなさそうじゃないですか。

2013-08-25 14:10:50
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

「読み方」というのは、テキストそのものによって一意的に規定されるのではなく、読者との相互作用によって発生・発展するものとぼくは思っています。ただし、読者が自分勝手に価値観や評価軸を定めるのではなく、テキストによってその妥当性を審判されもする。

2013-08-25 14:16:13
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

「これは面白くないよ」と示すのも批評だと思います。たんに貶すものではなく、読者(それは批評家自身も含む)の、さらなる豊かな読書の契機になるものであれば。 RT @ken_nishizaki 「こう読むと面白いよ」と提言できないのは、怠慢のような気がします。

2013-08-25 14:20:59
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

「読み」は幾つもありうるけれど、その間に差はある。とは思っています。 RT @ken_nishizaki 「面白さ」は幾つもあってそれを幾つもあげることはいいことだと思うのだけど、「読み」つまり「解釈」が幾つもあって、その間に差がないとしたら、批評は存在しないと思うのだけど。//

2013-08-25 14:25:42
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

ただし、そこでの「差」は、どれだけ正解に近い(つまり「テキスト固有のッ読み方」に沿っている)かではなく、批評どうしが参照しあう差であり、ときにそれが相互補完になることもあり、どちらか一方の不備や不充分を明らかにすることもある。

2013-08-25 14:30:00
中野善夫 @tolle_et_lege

読者が本を読むだけでなく、読者も本に読まれることになるのだ……と云っていた人がいるような気がするのだが、誰だったか。

2013-08-25 14:30:50
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

もちろん、批評者自身がはなから「読み方はひとそれぞれだよね」みたいな能天気な相対主義でいてはつまらない。それはたんなる感想文です。

2013-08-25 14:32:24
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

はい! もともとぼくは「一般読者」みたいなことはわからないし信じてもいないので。 RT @ken_nishizaki //でも読者のためとか批評家自身のため、とかはあまり言わないほうがいいんじゃないかな。私は牧さんが牧さんのために書いたものが読みたいですよ。//

2013-08-25 14:40:20
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

批評と呼べるようなものは書いていないけど、ぼくが書評や解説を書くときに意識している「読者」とは、友人たちや担当編集者。

2013-08-25 14:43:30
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

書評や解説を書きます。 最近の著書『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』(扶桑社、電子書籍/オンデマンド)amazon.co.jp/dp/4594750389/。 最近の編書《ラファティ・ベストコレクション》(ハヤカワ文庫SF)。 趣味は『けいおん!』をはじめ山田尚子監督作品の鑑賞、読書。

allreviews.jp/reviewer/56

中野善夫 @tolle_et_lege

「読者が本を読むだけでなく、読者もまた本に読まれるのだ」

2013-08-25 14:44:32
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

……というのは、ちょっと優等生的な発言であって、正直に言えば、ぼくにとっての読者とは――(1) 高校生だったころの自分、(2)10年後の自分、(3)坂口安吾。

2013-08-25 14:45:50
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

(1)は、もっと凄い小説が読みたいと目をギラギラさせているヤツに、「あるよあるよ、凄いのあるよ」とそそのかしたい。

2013-08-25 14:48:18
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

(2)は、読んだ本の記憶が曖昧になっているショボくれているヤツに、「ほら、こんな面白い話なんだよ」と、復活の呪文をかけたい。

2013-08-25 14:50:02
牧眞司(shinji maki)『『けいおん!』の奇跡、山田尚子監督の世界』刊行 @ShindyMonkey

(3)は、安吾先生にバカにされないような誠実な文章を書くぞという自戒。安吾先生は、すぐにナニナニ派みたいな分類をするしたり顔の評論家を、とことん軽蔑していた。

2013-08-25 14:53:58