#夏の倒錯

2013年夏の企画。 やっとまとめられました。遅くなってごめんなさい。 なんの捻りもなく並べただけですが, 楽しんでいただけたなら幸い。 続きを読む
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ここたん @tomato_cocotan

熱を孕んだ風に惑わされ 翻る裾のチラリズム 照りつける陽に浮かされて 自然に滲むニヒリズム 白い肌が焼ける、 振り返った微笑み、 閉じる瞼の誘惑、 繋がれた手の、 幻を見た #夏の倒錯

2013-08-08 03:21:08
N @L0ve_is_dead

蝉時雨に掻き消される僕の声。熱の抜けない体がどうしようもなく重かった。ひどい眩暈。倒れ込む。飛沫、触れる背中、水面が揺らぐ。一瞬の音。ぼやける光を最後に目を閉じて、激情の如く流れ込む冷たさが肺腑を満たす。深い。暗い。底へ、底へ。永遠の夏に留まる。 #夏の倒錯

2013-08-08 03:57:08
みそら @shiromajyo

冷やしたソーダ水を貴方は好んで飲んでいた。横に座って指を絡めて、はにかんで。それはとても嬉しそうに。紺色の浴衣が似合っていて、長い黒髪が美しく。夏の陽炎を窓越しに見ながら、無邪気に夏の花火を楽しみにしていた。 #夏の倒錯

2013-08-08 09:34:58
みそら @shiromajyo

陽射しが蝕み僕の身体を溶かしてゆく。その感覚が酷く愛おしい。突然の雷雨。雨宿り。其処で出会った君と肩が触れる。堕ちるとこまで堕ちてみたい。逆さまになって、突然の悪天候のせいにして。重く白いワンピースだけが浮いていた。 #夏の倒錯

2013-08-08 09:42:07
N @L0ve_is_dead

「――早く涼しくなってほしいね」 片腕に伝う汗が、新しく増やした傷に滲みる。ねっとりと肌を包む暑さは饐えた空気を助長する。二人ぼっちの密室に君の返事はない。明日も明後日も独り言。腐食していく。僕の鼻はとっくに麻痺してる。 #夏の倒錯

2013-08-08 12:04:23
白露 @alies111

アイシテル、なんて言わなかった。言えなかった。ただそこに居てくれと、消えてくれと、願いながら泣いていた。決別の言葉を嫌った君を、決別の言葉を忘れてしまった僕は、偽ることすら出来なくなった僕は、#夏の倒錯 認めることも、否定することもできなかったんだ。

2013-08-08 13:21:26
のぎへん @noginthepast

何故だか逆方向に働くエネルギー。 積まれた情景が斜めに真っ直ぐ切り取られてから、落ちてゆく。 乗り込んだ電車の先頭車両はがらんどうで、 当時の憧憬を彷彿とさせる。 さっきから頭の隅で鳴る警鐘がやたらとうるさい。 くらくらしちゃうような真夏の街角に、叫ぶに値する思想を。 #夏の倒錯

2013-08-08 22:02:48
@RAIN_CAGE

ひっくりかえって、また一滴。日に日に食が細くなるキミを叱った。きらきらは窓枠の向こう側。向日葵が嘲笑う。夕立に濡れるボクに羨望の眼差しを送り付けるキミを、憎みもした。それでも。強い陽射しに灼かれれば消えそうだった白い腕を、失いたくなくて。秋は来ない。 #夏の倒錯

2013-08-08 23:34:46
@AiTai_______

汗の浮いたほそい頸に、たまらなくどきどきした。 日焼けを知らない白い膚は、きっと甘い味がするのだろう。 濡れた髪の匂いを嗅いで、全身で彼女を感じたい。 ああ、この夏は暑すぎて、 あたしは彼女に狂ってしまう。 灼熱の日差しに煽られて、 あたしは彼女に溺れていく。 #夏の倒錯

2013-08-09 01:44:48
愁夢 @s_shumu

きっと、愛したかっただけだった。近付き過ぎてしまったから、いけなかったのだと。距離感を測ることも難しくて、ただ届けばいいと願った。近くで見つめることで嫌われる我が身を呪う。愛したかった。燃え盛る想いの塊。消えられないまま、ただ想うだけしか出来ない。それでも。愛してる。 #夏の倒錯

2013-08-09 02:54:04
竹村舟路 @takamura_0901

美しい人だった。 うすく血管の透けた咽喉を、零れた曹達水がひとすじ、すう、と辿って鎖骨を濡らす。 無邪気に無慈悲にひき剥がした、ゼラニウムの濃紅を喰んだくちびるが、こちらに気づいてにい、と笑う。 笑う。 嗤った。 (嗚呼) 草の匂いと膚を灼く熱さを憶えている。 #夏の倒錯

2013-08-09 08:42:06
@RAIN_CAGE

蝉時雨を浴びながら進む、長い道のり。塩素に侵された濡れ髪を束ねた。耳障りだ、ぽつり呟くキミに苦笑。夏だからねと応えて見せる。 照り付けられ白くなる世界に、入道雲の影。今日は傘を持っていないのに、なんて不安を、夏の終わりに。注ぐ。 #夏の倒錯

2013-08-09 12:33:56
莉奈 @rin407

「やめます」夏が衝撃的な告白をした。どうやら本気らしい。「どうして?」「俺は暑いから」深刻そうな顔。「私も四季の一つとして、あなたの大変さはわかる」でもね、と夏の手に触れると、辺りがかっと熱された。あ、私。 #夏の倒錯 触れることもできない。永遠に叶うことのない恋だから。

2013-08-09 20:40:22
@RAIN_CAGE

「お前、溶けないの」「溶けませんね、私の融点、地球上の生物が死滅する温度よかは高いので。」「なんだそれ不死身か」「元々死にませんよ。でも硬度は誇れるほどではないので、割れることはあります。まあ、」 置いては行きませんよ、と。氷人形は笑った。 #夏の倒錯

2013-08-09 23:00:05
ひねくれもの @warparallel

カチカチと歯を鳴らす 暑い、暑すぎる 君に解かされ丸裸 もう恥なんて、 ないね ねぇ、私の全てを知って? #夏の倒錯 隠すことは、もうない

2013-08-09 23:05:38
絵空 @es0rag0to24

空のあいだの緑が透けて 照りつける熱が僕をからかう ぺたぺたと足を引き摺っても 道は揺れ、あの子のもとには届かない ああ、蝉など嫌いであるのに。 目眩と共に僕が分かれた。 (タイムトラベルをして) #夏の倒錯

2013-08-09 23:17:01
和純(ピクシブ琴雪文音) @kasumivoice

畳の上でぐったりしている君の名を呼ぶ。声は酷く掠れた。吐き出せない謝罪が喉奥に絡み付く。衝動に任せて君にぶつけた、一方的な好意。夏の暑さに浮かされた、など言い訳にしかならない。君はゆっくりと起き上がると、僕の頬に熱い掌を当てた。 「続きは?」 掠れた声は、僕とお揃い。 #夏の倒錯

2013-08-09 23:21:01
あやめ @ayameyame

するり、と音がした気がした。 それは君の汗が頬を伝った音なのか、それとも僕の本能が束縛から逃れた音だったのか。 ────気付いたら、舌が汗を追いかけて、 #夏の倒錯

2013-08-10 00:08:55
小早川 @dodoitsu_

汗のにおいに心が触れる いつもと違う、と にじり寄る #夏の倒錯 #dodoitsu

2013-08-10 00:19:24
@RAIN_CAGE

宵の口、少し早まった夕暮れ。微温い空気が躊躇いがちに撹拌される。鳥居の向こう側、砕けた林檎飴を無邪気な子供が踏み潰した。ぱりん。散らばる紅の結晶。落とし主の涙を拭う。 「また買ってやるよ」「……いらない」 また無くすのが怖いから。微笑う少女の横顔は透過していた。 #夏の倒錯

2013-08-10 00:30:53
綺想編纂館(朧) @Fictionarys

深い青と高い青の狭間。寄せては返す静寂に真夏の残響。体温との境目を失った気体が、深海に焦がれるように体内を漂う。照りつける日差しは肌にじわじわと染み込みながら、消えない暑さを私に刻む。高見を覗けば眩むほどの炎天。その先の視界は白。其処へ、底へ、真っ直ぐに落ちる。 #夏の倒錯

2013-08-10 00:36:46
華音 @Yuki_glow

二人でベッドに沈む夜。肌を生温い風が撫でる。指で君の輪郭をなぞる。目の前の君は目を覚まさない。綺麗な、綺麗な君。僕だけのものにしてみようか。細い手首を持ち上げキスを落とす。僕の気持ちになんて、ずっと気づかなければいい。 #夏の倒錯

2013-08-10 00:38:51
@RAIN_CAGE

夏の夜、囚われる雨の檻。細い格子を越えて会いに行くには、遠く。茹だる身体を重力に投げ出した。落下、落下。 虚脱感に抱えられ、夢見る世界はふたりきり。地面を撃つ水滴の打音に耳を塞ぐ。綴じ込められる。 君をさがす腕を畳んだ。届かない。伝う汗の痕跡すら、もう。 #夏の倒錯

2013-08-10 03:56:40
紗那 (サナ)@チョコミン党 @sana_pastelli

パシャンと音を立てて破れた袋。見てしまった。袋の中の小さな金魚を気にする余裕なんかなくてただ走る。なんであの子と。私の左薬指に鎖を巻き付けておきながら。 #夏の倒錯 小さな赤い命の代わりに君の命が、なんて思ってしまうよ。

2013-08-10 10:38:55
穴井秋乃 @AnaiAkino

蝉時雨の下に雨傘、群青。え、雨なんて降ってないって? 蝉を取ったら時雨が残るの。ね、ね、雨でしょ。雨よ、雨。だから雨傘くるりくるりくるり。猛暑に酷暑に真夏日に、頭のネジが溶けちゃった。太陽遮る日傘なんて村雨に会えば木っ端微塵よ。雨に唄いましょ。蝉と一緒に時雨れましょ。 #夏の倒錯

2013-08-10 16:04:05