オーズ・ディケイド・平成ライダー 火を噴け！十二人ライダー　03

イマジンカイザー（二次創作投稿用） @i_m_z4643

　同時に、金の縁取りに六本角の紋章が象られたカードを装填。ディケイドの右手に炎が灯り、その勢いのまま、煙幕に気を取られたカニレーザーの胸に叩き込んだ。

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「愚かな。斯様な拳で我が鎧が砕ける訳が無い！」 　余裕たっぷりな笑みを見せるカニレーザーだったが、胸部から亀裂が走ったことで笑顔が焦りに変わる。亀裂の生じた箇所は、先程映司が剣を振るったあの部分。不発に見えたあの一撃で、頑強な装甲に僅かながらヒビが入っていたのだ。

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　そこに叩き込まれた強烈な炎の拳。ヒビを通じて体内に直接叩き込まれた熱は、カニレーザーの体をあっという間に蒸し焼きにしてしまった。

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「ウ、ヌ……！ 私は始まりに過ぎぬ。すぐさまアポロ首領の手の者が貴様たちを、おおッ！」 　カニレーザーは目や口から炎を噴き、堅牢な殼の内側から爆ぜる音を響かせて倒れ込む。そのまま二度と立ち上がることはなかった。

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　ディケイドは安堵の溜め息と共に腰を下ろし、腹部のバックルを左右に引いて変身を解く。ピンクの異形が端正な顔立ちの青年に変わったことに、彼を助けた映司は驚きの声を上げた。

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「あ……。人間、だったんですね」 「棘のある言い方はよせ。それはそうと色男、お前に聞きたいことがある」 「聞きたいこと、とは？」色男と言う部分を無視し、首を傾げて聞き返す。 「ピンク……あぁいやマゼンタにバーコードみたいなラインの入ったカイブツを、どうして助ける気になったんだ」

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「簡単なことですよ」青年の問いに、映司は当然だとでも言わんばかりの顔で言葉を返す。「あなたは自分の身を省みずに、見ず知らずの俺たちを助けてくれた。そんな人が悪い奴だとは、思えなかったからです」 「あんなもん、偶然だ偶然。まぁ、それはさておき……」

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　青年は気恥ずかしそうに後ろ手で頭を掻くと、映司の前にそっと右手を差し出した。 「色々あったがまァ、礼を言う。俺は門矢《かどや》士《つかさ》。写真家で通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ」

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「仮面ライダー……ですか」映司は門矢士の妙に尊大な態度に戸惑いつつも、彼の差し出した右手を握り返して言った。「俺は火野映司。こちらこそ、危ないところを助けて頂いて」

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「気にするな。そういやお前、旅人なんだってな。通りで胆が据わってる」 「よく言われます。それはそうと今の怪物とさっきのオーロラ……これは一体何なんですか」 「気持ちは分かるが順序良く行こうぜ。話すと少しばかり長くなるんでな」 「長く……なるんですか？」

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「何だ。事情は聞きたいが、長話には耐えられないってんじゃないだろうな。そんなガキみたいな言い訳は通らねぇぞ」 「いえ、そうじゃなくて……」子どもを待たせているんだと言おうとした瞬間、映司の背に遠くで待っていた筈のパドル少年が抱き付いた。

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「パドル？ なんでここに！ 危ないから待っててくれって言ったじゃないか」 「悪いやつはエイージがやっつけてくれたんだし、いいじゃん」パドル少年は目をきらきらと輝かせて言葉を継ぐ。「僕、全部見てたよ。エイージ、すっごく格好よかった。エイージは本当に”オーズ”だったんだね」

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「いやいや、やっつけたのは俺じゃなくて、この人だよ。俺はその手助けをしただけさ」 　映司はそう言って士の方へと手を述べるが、当の士はどうしたことか挨拶もせずに、パドル少年の両肩を掴んでこう言った。 「小僧、お前今……この旅人のことを”オーズ”って言ってたな。そいつは本当か？」

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「ほ、本当だよ」士の勢いに気圧され、パドル少年が怯えて答える。「さっきだって蟹のお化けと戦っていたじゃない。あれでオーズじゃないわけないよ」 「なるほど……な」士は顎に指を乗せて暫く何かを考えると、そういうことかと一人で結論付け、映司に言った。

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「“この世界の“仮面ライダーオーズ。そいつがお前なのか、火野映司。どうりでそのメダルを扱える訳だ」 「会ったことがあるんですか？ その……俺じゃないオーズに」 「一度だけな。あの時はお互い素性も聞かず、変身も解かなかったから、顔がどんなか知らないんだが」

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「この世界とかあの世界とかって……士さんこそ一体何者なんです。訳が分かりませんよ」 「面倒臭いが仕方ねぇ。俺はだな、お前らとは別の……」 「えっ？ 何ですって？ 聞こえませんよ、士さん」 「何ぃ？ だから、俺はお前らとは別の」 「何ですか！？ 風の音がうるさくて……」

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　両者の言葉を遮る荒々しい風に、何だ何だと空を見上げる二人。彼らの目に映ったのは煤けた緑色の大型ヘリコプターだ。 「何だッ、やろうってんなら相手になるぜ」士はかかってこいとディケイドライバーを取り出すが、ヘリの側面を見て「何か」を感じた映司に止められる。

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「待ってください、あのマークって、まさか……」 　映司が目を付けたのは、ヘリ左側部に描かれた水鳥を模ったマークと、その下にローマ字で書かれた”KOUGAMI FOUNDATION”と言う文字。もしやと思った映司は士たちを下がらせ、ヘリを着陸させて中から人が出てくるのを待つ。

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「――お久しぶりです、火野さん」 　ヘリのタラップの中から姿を見せたのは、艶のある亜麻色の髪に端正な顔立ち、体のラインがくっきりと見えるライダースーツを身に纏った美女。映司のよく知る人物、鴻上《こうがみ》ファウンデーション秘書・里中エリカだ。

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「旅の途中、お呼び立てして申し訳ありません。事態は一刻を争います。私と一緒に日本まで来ていただけないでしょうか、火野さん。それと……門矢士さん」 「日本に……？ 一体何が」 「いや、ちょっと待て」二人の会話に士が割って入る。「アンタ一体何者だ？ 何故俺のことを知っている」

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　何故だと詰め寄る士に対し、里中は眉ひとつ動かさず、淡々と答える。 「それは機内で説明します。世界の破壊者・ディケイドさん」 「破壊者……ね。オーケイ、そこまで知っててそう言うんなら、大人しく話を聞いてやろうじゃねぇか。乗せてくれ」 「了解しました。足下にお気をつけ下さい」

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　士が里中に手を引かれ、ヘリに乗り込む中、映司はパドル少年の手を握って言った。 「ごめんな、パドル。俺……」 「オーズとして戦いに行くんでしょ？ でもさ、でもさ。ちゃんと帰って来てくれるよね？」 「勿論さ。まだ話してないことも一杯あるしね。約束するよ」 「うん。約束だよ」

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　指切りで約束を交わし、ヘリに乗り込む映司。パドル少年は残された馬と共に、だんだん離れて行くヘリを見送った。

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「青色メダルと輝く勇気と心に剣」終わり　04:アポロショッカーとライダーメダルとコウモリ襲来　に続く

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本日はこれにて終了です。こちらの不手際もあって二時間近くかかってしまいましたが、今後はこれくらいの長さがデフォルトになるかと思います。